【目次】
・【ワキガの臭い】に種類はあるの?
・【ワキガの臭い】強い人と弱い人の差は何が原因?
・【ワキガの臭い】を抑える効果的な方法って?
【ワキガの臭い】に種類はあるの?
ワキガの臭いの違いは、脇に発生する悪臭物質の差によって引き起こされます。
脇の下には毛穴の中に開口するアポクリン腺と呼ばれる汗腺が多く分布しており、毛穴の中の皮脂や老廃物を含んだ汗が分泌されています。
アポクリン腺から分泌した汗は本来無臭
アポクリン腺から分泌した汗は本来無臭です。しかし、皮膚の表面に常在する黄色ブドウ球菌をはじめとする細菌が、アポクリン腺から分泌した汗に含まれる皮脂や老廃物のたんぱく質を分解し、その際に発生する脂肪酸などの物質が悪臭を放つのです。
ワキガは、こうして細菌が生成した悪臭物質が原因で発症しますが、悪臭物質には様々な種類があり、当然ながら放つにおいにも差があります。
また、皮膚の常在菌は黄色ブドウ球菌だけでなく、多くの種類が存在し、それぞれ生成する悪臭物質にも違いが見られます。
このように、ワキガの原因となる悪臭物質はどのような常在菌がどれくらいいるか、汗に含まれる皮脂や老廃物の量などによって違いが生まれるのです。
【ワキガの臭い】強い人と弱い人の差は何が原因?
ワキガは遺伝すると考えられている
現在では、ワキガの発症に関与する遺伝子も分析されており、ワキガの遺伝性はほぼ解明されつつあります。
しかし、同じくワキガを発症したとしても、臭いが特にきつい人もいれば、ほとんど自覚がないほど臭いが弱い人もいます。
このような差は、汗の量と皮膚常在菌の量・種類によって生まれ、汗の分泌が多く、より多くの常在菌がいる人の方が臭いが強くなる傾向にあります。
また、日常生活上の好ましくない以下のような習慣がワキガの臭いをきつくする原因になることがあります。
精神的に緊張しやすい
脇に分布するアポクリン腺は、緊張したときやストレスを感じたときに活発に働いて汗の分泌量が増加します。
蒸れやすい服装
身体にぴったりと密着したり、ナイロンやポリエステルなど吸水性の悪い化学繊維の下着や衣類は、脇が蒸れやすくなって悪臭物質を増加させる原因になります。
腋毛の処理が不十分
腋毛がたくさん生えていると、悪臭物質を生成する常在菌が繁殖しやすくなり、臭いがきつくなります。
脇の垢や汚れ
脇の皮膚は適度なたるみがあり、シワが目立つ部位です。シワに垢や老廃物などの汚れが溜まると、悪臭物質も増えやすくなって臭いが悪化します。
運動不足
運動不足によって汗の分泌が低下すると、毛穴内部に汚れが溜まり、一気に内部の汚れが汗と共に排出された際に強い臭いを放つことがあります。
偏った食生活
常在菌の餌である皮脂の分泌を促すような高脂質な食事を好んで摂っていると、悪臭物質が増加します。
【ワキガの臭い】を抑える効果的な方法って?
ワキガの臭いを抑えるには、まず上記のような好ましくない生活習慣を改善する必要があります。
それぞれの対処法は次のことがおススメです。
リラックスしやすい環境を作る
緊張やストレスなど、交感神経が活発に働くような生活を改め、適度なストレス解消法を身に付けましょう。また、十分な睡眠や休息の確保も大切です。
吸水性の良い下着を
下着は綿やシルクなど吸水性・通気性に優れた天然繊維のものを選ぶようにしましょう。また、衣類と肌がきつく密着するような服装は避け、脇と衣類の間に隙間が開くようなゆったりした服装を選びましょう。
腋毛の処理は適切に
腋毛はたとえ冬でも定期的にケアしましょう。おススメは脱毛器などを用いて根元からしっかり腋毛を除去することです。剃刀などは肌を傷つけることがある上に、中途半端に切れた腋毛が皮下に潜り込んで成長する「埋没毛」の原因となって臭いがきつくなる原因にもなりので、控えることをおススメします。
汚れはオフ
臭いが気になる場合は、入浴時に限らず、汗を多くかいたときなどはこまめに汗を拭きとって脇を清潔に保ちましょう。
また、ゆっくりと半身浴をし、毛穴を開いてアポクリン腺の中に溜まった汚れの排出を促すのも有用です。
適度な運動習慣
一日30分を目標に、汗をかきやすい有酸素運動を行ってみましょう。多量の脇汗をかくことで、アポクリン腺内の汚れを浮き上がらせ、臭いを改善する効果が期待できます。
和食中心の食生活を
脂質の多い肉類や菓子類などの過剰摂取は控え、和食を中心としたあっさりメニューを選びましょう。
これらの対策を行っても臭いが改善しない場合は、市販のデオドラント製品や制汗剤などを使用するのもよいでしょう。
また、強い臭いが気になることで「人前に出るのが怖くなった」、「外出できない」など日常生活に大きな支障を来たしている場合には、皮膚科や美容外科などで治療を受けるのも一つの方法です。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。