【目次】
・【生理時の腰痛】どうして起きるの?
・【生理時の腰痛】ひどい場合は子宮内膜症を疑う
・【生理の時の腰痛】湿布は有効?
【生理時の腰痛】どうして起きるの?
生理のときには、剥がれ落ちた子宮内膜を外に出すためのホルモン「プロスタグランジン」が分泌されます。この成分で子宮が収縮する時に近くにある臓器が影響を受けて、痛みが出ます。
どこが痛くなるのかは、子宮の向きや内膜症の有無などによって異なります。子宮は生まれつき前向き(前屈)の人と後ろ向き(後屈)の人がいます。後屈の人は体の後ろ側に子宮が向いているので、腰痛症状を認めることがあります。
痛くなった部分に悪いところがあるわけではなく、子宮の向きで痛む場所が決まってしまうのです。ちなみに子宮は前屈でも後屈でも異常ではありません。
【生理時の腰痛】ひどい場合は子宮内膜症を疑う
我慢できないほどの痛みが伴う腰痛の場合は、何か病気がある恐れがあります。考えられる病気の一つが「子宮内膜症」です。
体の外に排出されるはずの生理の血が、子宮の中を逆流して卵巣や、直腸と子宮の間などにくっついてしまうことがあります。その状態が続くと、子宮内膜症の成分が増えて子宮内膜症を起こします。
内膜症は様々なところにできるが、子宮と腸の間にある「ダグラス窩(か)」というところに内膜症の成分がつくと、腸と子宮がくっついてしまうことがあります。こうなると、子宮が収縮する時に腸が引っ張られてしまうので、かなり強い腰痛が出てしまうことに。
生理のたびに生理痛が重くなってきていて、腰痛もひどくなって来ている人は、内膜症がないかどうかを調べた方が良いです。内診もしくは超音波検査で調べることができます。
ひどい腰痛が起きる子宮内膜症の治し方
子宮内膜症には様々な種類があって、卵巣が腫れるもの、子宮の筋肉が厚くなるもの、子宮の腸の間にできるものなど色々です。
子宮ではなく卵巣にできる卵巣の中にできる「卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)」だった場合は、不妊症の原因となったり、がん化することがあるので手術となることもあります。月経痛などのコントロール目的に、ピルやイナゲストというホルモン剤で排卵を抑える治療を行います。
もっと状態が軽く、痛み止めだけでコントロールできる場合はピルも使わず、半年に一度の経過観察で済む場合もあります。
自分のこの腰痛は内膜症なのか、そうではないのか、というのは病院で検査を受けないとわからないこと。子宮内膜症は30代から40代に多い病気でしたが、最近は、20代でも子宮内膜症で卵巣が腫れていたりする人も多いので、毎月の生理で異常を感じる人は、やはり早めに検査を受けましょう。
【生理の時の腰痛】湿布は有効?
生理の時に子宮を収縮させる成分、プロスタグランチンは血管も収縮させる働きがあります。
血管が収縮して血のめぐりが悪くなっているときは、温めるのが効果的です。温めることが大切なので、冷湿布ではなく必ず温湿布を使用しましょう。
腰痛に限らず、生理で不調な時に体を温めるのはとても良いこと。特にデスクワークでずっと座りっぱなしの状態でいると、骨盤は血流が悪くなります。夏は冷房でさらに体が冷えるので、オフィスでの冷え対策はとても大切です。症状にあった薬を使う、そして体を温める工夫をすることで生理痛は軽くすることができます。
ちなみに温湿布は、痛みのある腰のあたりに貼るのもいいのですが、同時に首回りにも貼って温めると、体はより温まりやすくなります。オフィスで首に湿布は、ちょっと無理…という場合は、ストールなどを巻いておくだけでも効果ありです。生理時の腰痛を和らげる工夫、そっとやってみてください。
初出:しごとなでしこ
教えて下さったのは…三浦彩子先生
聖マリアンナ医科大学大学院卒業後、産婦人科専門医、婦人科腫瘍専門医取得。現在は聖マリアンナ医科大学病院と、「優ウィメンズクリニック」に勤務。わかりやすい説明と丁寧な診察で、不安になりがちな婦人科も安心して受診できるドクターです。優ウィメンズクリニックは、スタッフは全員女性、おしゃれなインテリアと最新設備が整った女性専用クリニック。しごとなでしこ世代の患者さんも数多く来院しています。