「木偶」という漢字を読めますか? なかなか一筋縄ではいかない読み方です。普段の生活では、あまり馴染みがないかもしれませんが、読めると周囲の人に自慢できるかもしれませんよ? この記事では「木偶」の読み方や意味、由来について紹介します。
「木偶」とは? 読み方・意味・語源を解説
まずは、「木偶」の読み方や意味、そして語源について見ていきましょう。
「木偶」の読み方と意味
「木偶」は 「でく」 と読みます(※この他に「ぼくぐう」、「もくぐう」という読み方もあります)。「木偶の坊(でくのぼう)」という表現もよく知られていますね。辞書では、以下のように定義されています。
でく【木=偶】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 木彫りの人形。また、人形。
2 あやつり人形。
3 役に立たない人。また、そのような人をののしっていう語。でくのぼう。「この―め」
「木偶」は、もともとは木製の人形を指す言葉ですが、そこから転じて「無能な人」「役に立たない人」を意味するようになりました。
「木偶の坊」も同じく「役に立たない者」を意味します。主に人をののしるときに使われますよ。

「木偶」の語源は?
「木偶」の語源には、諸説あります。ここでは2つ紹介しましょう。1つ目は、「土偶(とく)」の意味を表すというもの、もう1つは「出狂坊(でくるぼう)」を略したものというものがありますよ。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「木偶」の類語や英語表現は?
「木偶の坊」は、文脈によって適切に言い換えることができます。ここでは、類語や英語表現を紹介しましょう。
「木偶の坊」の類語や言い換え表現
「木偶の坊」と同じような意味を持つ表現はいくつかあります。状況に応じて使い分けることで、適切な言葉選びができますよ。

うどの大木
ウドの茎は大きく成長しますが、柔らかく実用性がないことから、「身体は大きいが何の役にも立たない人」を指す比喩として使われます。
例文:「彼は体格は立派だが、仕事ではまるでうどの大木のようだ」
無能(むのう)
能力がなく、期待される役割を果たせないことを意味します。ビジネスシーンでは「無能な上司」「無能な管理職」などの表現で使われることもあります。
例文:「彼の無責任な態度は、リーダーとしては無能と言わざるを得ない」
お荷物
周囲にとって負担になる存在を指します。組織やチームにおいて貢献できていない人に対して使われることが多い表現です。
例文:「プロジェクトが進む中で、彼が完全にお荷物になっているのは否めない」
「木偶の坊」の英語表現
「木偶の坊」に該当する英語表現もいくつかあります。状況によって適切な言葉を選びましょう。
a block of wood(木製の人形 → 何もできない人)
「木の塊」のように、無表情で動かない、何の反応もしない人を指します。
例文:“He just stood there like a block of wood, doing nothing.”
(彼はただそこに突っ立っているだけで、何もしなかった。)

a good-for-nothing(役に立たない人)
直訳すると「何の役にも立たない人」。無能で、何もできない人を指す言い方です。
例文:“ He is just a good-for-nothing who never contributes to the team. ”
(彼はチームに何の貢献もしない役立たずだ。)
a dummy(人の言うなりになる人)
「ダミー(人形)」のように、自分の意思を持たず、他人に言われるがまま動く人を指します。
例文:“Don’t be a dummy. Think for yourself! ”(ただの木偶の坊になるな。自分で考えろ!)
最後に
「木偶」という言葉は、もともと木製の人形を指すものでしたが、そこから転じて「役に立たない人」「無能な人」を意味するようになりました。「木偶の坊」という表現も同様に、何の役にも立たない人を揶揄する言葉として使われています。
一方で、「木偶の坊」は人を見下す言葉ですから、言葉の使い方には注意が必要です。
日常会話やビジネスシーンで言葉を選ぶ際には、相手を尊重しつつ、適切な表現を選ぶよう心がけたいですね。
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