「如何」という言葉を見かけたとき、ふと「これ、なんて読むんだろう?」と立ち止まったことはありませんか? 何となく意味は分かる気がしても、正しく読む自信がない… そんな経験があるかもしれません。
この言葉は古典的な響きを持ちつつ、実は日常会話やビジネスの場面でも使われることがあります。「如何なるときも」「如何せん」など、どこか品のある表現としても馴染み深いかもしれませんね。
今回は、この「如何」の読み方や使い方を紐解き、言葉の持つ奥深さを探っていきます。
「如何」とは? 読み方と意味を解説
「如何」の読み方や意味を理解し、適切に使うことで、表現の幅が広がります。確認していきましょう。

「如何」の読み方と意味
「如何」は、「いか」、「いかが」、「いかん」といった複数の読み方があります。それぞれの読み方によって意味や使われ方が異なるため、適切な文脈で使い分けることが大切です。「いかが」と「いかん」の違いについて、詳しく見ていきましょう。
いか‐が【如=何】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「いかにか」の音変化》
一[形動][文][ナリ]成り行きや結果を危ぶむさまを表す。どのよう。「その考え方は―なものか」
二[副]
1 状態・意見などについてたずねるさま。どう。どのように。「御機嫌―」「この件は―いたしましょうか」
2 事の成り行きについて疑問をさしはさむ気持ちを表す。どう。どんなもの。「その案は―かと思う」
3 相手を誘ったり、相手に勧めたりする気持ちを表す。どうですか。「お一つ―」「あなたも御一緒に―」
4 疑問を表す。どのように…か。
「―言ひやるべきと、近う居給ふかぎりのたまひあはせて」〈枕・三五〉
5 反語の意を表す。どうして…か。
「かくばかり逢ふ日の稀になる人を―つらしと思はざるべき」〈古今・物名〉
6 どう言ったらよいかわからないほどの意で、強調する気持ちを表す。どんなにまあ。さぞかし。
「かかる物に捨てられぬといはれむは、―いみじかるべき」〈落窪・二〉
いか‐ん【如=何/奈=何】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「いかに」の音変化》
一[名]事の次第。なりゆき。ようす。「理由の―によっては」「事の成否は君の協力―による」
二[副]文末に用いて、状態などについての疑問を表す。どんなであろうか。「君の心境や―」
「如何(いかが)」は、相手に意見や状態を尋ねるとき、または勧めるときに使われます。「どうですか?」や「どのように?」といった意味を持ち、日常会話やビジネスシーンでもよく用いられますよ。
「いかん」は、「どのような状況か」「事の成り行きによって」という意味で使われます。やや硬い表現で、ビジネスや法律文書などでも目にすることが多い言葉です。「如何(いかん)によっては」は、「状況次第では」といった意味になります。
このように、「いかが」は問いかけや勧誘、「いかん」は状況を問う際に使われるという違いがあります。それぞれのニュアンスを理解し、適切に使い分けることで、より的確な表現ができるようになりますよ。
「如何」を使った表現と例文
「如何」は、さまざまな表現と組み合わせて使われ、状況に応じて異なる意味を持ちます。ここでは、代表的な使い方を例文とともに紹介します。
「突然の災害により、私たちの力では如何(いかん)ともし難い状況になってしまった」
この表現は、「どうすることもできない」「手の施しようがない」といった意味を持ちます。思い通りに進まない状況や、解決策が見つからないときに使われます。

「如何(いか)なる試練が待ち受けていようとも、彼は決して諦めないだろう」
「如何なる」は「どのような」「どんな」といった意味を持ち、強調の役割を果たします。この表現では、「どんな困難があっても、それに挑む決意がある」ことを示しています。
「いいアイデアは浮かんだが、如何(いかん)せん、時間が足りなかった」
「如何せん」は、「残念にも」「どうしようか」といった意味を持ちます。自分の力ではどうにもならない状況を説明する際に使われます。
「如何」の類語・言い換え表現
「如何」は文語的な表現のため、日常会話やビジネスの場では、他の言葉に言い換えることで、より自然な文章にすることができます。ここでは、「如何」を含む代表的な表現と、その言い換えを紹介します。

「如何ともし難い」の言い換え
「如何ともし難い」は、「どうにもならない」「打つ手がない」といった意味を持ちます。思い通りにいかず、状況を変えるのが極めて難しいときに使われますよ。これをより口語的に言い換えると、「手の施しようがない」「どうしようもない」となります。
例文:「このプロジェクトは、予算も時間も足りず、如何ともし難い」
→「このプロジェクトは、予算も時間も足りず、手の施しようがない」
「如何なる」の言い換え
「如何なる」は、「どのような」「どんな」という意味を持ちます。フォーマルな場面ではよく使われますが、日常会話では「どんな」に置き換えると、より自然になります。
例文:「如何なる困難があろうとも、最後までやり遂げるつもりだ」
→「どんな困難があろうとも、最後までやり遂げるつもりだ」
「如何せん」の言い換え
「如何せん」は、「残念にも」「どうしようか」といった意味を持ちます。物事が自分の思い通りにいかず、仕方がないときに使われますよ。日常的には、「残念ながら」と言い換えると分かりやすくなります。
例文:「新しいアイデアが浮かんだが、如何せん、時間が足りなかった」
→「新しいアイデアが浮かんだが、残念ながら、時間が足りなかった」
最後に
「如何」という言葉は、日常会話ではあまり使われませんが、文章では見かけることが多い表現です。特にフォーマルな場面やビジネス文書では、意味を理解して適切に使うことで、文章に深みを持たせることができますよ。
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