この記事のサマリー
・富裕層とは、一般に経済的に豊かな人々の層を指します。野村総合研究所(NRI)の分類では、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」としています。
・NRIの分類では、純金融資産保有額が5000万円以上1億円未満の世帯を「準富裕層」、5億円以上の世帯を「超富裕層」としています。
・NRIの推計によると、2023年時点の富裕層と超富裕層は合計165.3万世帯で、保有する純金融資産の総額は469兆円です。
「富裕層」という言葉はよく見聞きするのに、いざ説明しようとすると少し曖昧。年収のこと? 資産のこと? 準富裕層や超富裕層とはどう違うの?
そんな引っかかりを抱えたまま読み流していた人も多いかもしれません。この記事では、「富裕層」について丁寧に見ていきます。
「富裕層」とは?
「富裕層」とは、どのような人々を指すのでしょうか。まずは、言葉の意味や、資産額による分類例を見ていきましょう。

意味
「富裕層」とは、「ふゆうそう」と読みます。「富裕層」は、一般に、資産や所得が多く、経済的に豊かな人々の層を指します。ただし、統一的な定義があるわけではなく、調査やサービスによって基準が異なります。
富裕層に該当する人の職業や資産形成の経緯はさまざまです。近年は、会社員として働きながら資産運用を続け、富裕層に該当するようになった人もいるとNRIは分析しています。
野村総合研究所(NRI)が2025年2月に公表した2023年時点の推計では、世帯の純金融資産保有額を基に、総世帯を5つの階層に分類しています。このうち、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」としています。
「純金融資産保有額」とは、世帯が保有する預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険、年金保険などの金融資産の合計額から、住宅ローンなどの負債を差し引いた金額です。
たとえば、金融資産が2億円あっても、差し引く対象となる負債が1億5000万円あれば、純金融資産保有額は5000万円です。そのため、NRIの分類では「富裕層」ではなく「準富裕層」に該当します。
また、こうした「富裕層」向けのサービスがあるのを知っていますか? たとえば、資産の管理を個別に提供してくれる「プライベート・バンキングサービス」、会員制サロン、百貨店のVIPサロンなど。利用条件はサービスによって異なりますが、一定額以上の資産や取引実績などを条件としている場合が多いでしょう。
「準富裕層」や「超富裕層」とは?
NRIによる純金融資産保有額別の世帯数推計では、「富裕層」のほか、「準富裕層」「超富裕層」「アッパーマス層」「マス層」という区分が用いられています。NRIの分類では、純金融資産保有額が5000万円以上1億円未満の世帯を「準富裕層」、1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯を「超富裕層」としています。
純金融資産保有額が多い階層ほど、該当する世帯数が少なくなる構成です。それぞれの「純金融資産保有額」と、世帯数をまとめると下記の通りです。
超富裕層:5億円以上、11.8万世帯
富裕層:1億円以上5億円未満、153.5万世帯
富裕層・超富裕層の合計:165.3万世帯
富裕層・超富裕層が保有する純金融資産の総額:469兆円
※2023年時点のNRI推計
参考:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
都道府県別や年齢別の「富裕層」の割合は?
都道府県や年齢ごとに「富裕層」の割合はどう変わるのでしょうか。はっきりとした割合は不明ですが、総務省の「2019年全国家計構造調査」を参考に、都道府県別や年齢別の家計資産を見ていきましょう。

都道府県別の家計資産総額
調査結果によると、家計資産総額(金融資産残高—金融負債残高+宅地資産+住宅資産)が最も多いのは、東京都で4701.0万円でした。続いて第2位は、神奈川県の3787.7万円、第3位は、愛知県の3489.8万円。一方、家計資産総額が最も少ないのは、北海道で1431.6万円。次に青森県の1454.1万円、鹿児島県の1474.7万円でした。
年齢別の家計資産総額
家計資産総額を年齢別に見ていくと、30歳未満は約256万円、30代は約870万円、40代は約1903万円、50代は約2906万円、60代は約4035万円、70代は約4090万円、80歳以上は4386万円。
やはり、年齢が上がるにつれて、資産額は増えていくようですね。ちなみに、金融負債残高が一番多いのは40代。次いで30代です。これは、30代〜40代で家を買う人が多いからかもしれせんね。
「富裕層」に関する近年の傾向
富裕層に該当する人々の職業や生活、資産形成の方法はさまざまです。ここでは、NRIが新たな傾向として紹介している「いつの間にか富裕層」を見ていきましょう。

「いつの間にか富裕層」とは?
近年の株式相場の上昇によって運用資産が増え、富裕層となった人々を、NRIは「いつの間にか富裕層」と名付けています。主に40歳代後半から50歳代の会社員で、従業員持株会、確定拠出年金、NISAなどを活用し、運用資産が1億円を超えた事例が多く見られるとしています。
富裕層以上の世帯の1~2割程度と推察
NRIは、2022年に実施した「NRI生活者1万人アンケート(金融編)」の結果やTOPIXの値動きなどから、準富裕層から富裕層となった「いつの間にか富裕層」が、富裕層以上の世帯の1~2割程度を占めると推察しています。
※「1~2割」は確定値ではなく、NRIによる試算・推察です。
生活スタイルが大きく変わらない人も
NRIによると、「いつの間にか富裕層」には、金融資産が増えても、給与収入の範囲内で従来と変わらない生活を続けている人が見られます。また、急増した資産に適した分散投資の方針や、富裕層向け金融商品の知識が十分ではないケースもあるとしています。
※この特徴は富裕層全体ではなく、NRIがいう「いつの間にか富裕層」に限った説明です。
英語表現は?
続いて、「富裕層」の英語表現を紹介しましょう。
「富裕層」を英語で言いたい場合には「wealthy class」「the wealthy social stratum」などがあります。「wealthy」は「裕福な」という意味で、「class」と「stratum」は「階級」という意味です。
そのほか「wealthy people」も「富裕層」という英語表現で使えるでしょう。
「富裕層」に関するFAQ
ここでは、「富裕層」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 富裕層とは、いくらからを目安に考えればいいですか?
A.統一された基準はありません。NRIの分類では、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」としています。
Q2. 準富裕層と富裕層、超富裕層の違いは何ですか?
A.NRIの分類では、純金融資産保有額が5000万円以上1億円未満の世帯を「準富裕層」、1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯を「超富裕層」としています。
Q3. 年収が高ければ、必ず富裕層に当てはまりますか?
A. 必ずしも当てはまりません。NRIの分類は年収ではなく、世帯が保有する金融資産から負債を差し引いた「純金融資産保有額」に基づいています。そのため、年収だけでは富裕層に該当するかどうかを判断できません。
最後に
「経済的に豊かな人」をあらわす「富裕層」。NRIの2023年時点の推計によると、富裕層と超富裕層の世帯数は、いずれも2013年以降、一貫して増加傾向にあります。2023年には、両者の合計が165.3万世帯となり、NRIが推計を開始した2005年以降で最多となりました。
NRIは、増加の要因として、株式や投資信託などの資産価値が上昇したことに加え、準富裕層の一部が富裕層へ、富裕層の一部が超富裕層へ移行したことを挙げています。特に2023年は、株価の上昇や円安による外貨建て資産の円換算額の増加、相続なども影響したと分析しています。
「富裕層」に統一的な定義はなく、調査によって基準が異なります。資料を見る際は、年収と資産のどちらを基準としているのか、対象が個人か世帯か、また、不動産を含むのかといった点を確認することが大切です。
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武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
ライター所属:京都メディアライン



