「親近感」の正しい意味とは
「親近感(しんきんかん)」とは、自分に近いと感じたものに対して抱く、親しみの気持ちのことです。そもそも「親近」には、親しくしたり、近い関係にあったりといった意味合いがあります。
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【親近感】しんきん‐かん
自分に近いものと感じて抱く、親しみの気持ち。「似た境遇に—をもつ」【親近】しん‐きん
[名・形動](スル)
1 親しくすること。親しく近づくこと。
2 近い関係にあること。身内であること。また、そのさま。「—者」
「自分が最も—な…家族を愛するように」〈倉田・愛と認識との出発〉
3 側近くに仕える人。側近。「総裁の—」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
職場やプライベートの交友関係では、他者に対し、何か自分と似たような親しみの気持ちを抱くケースもあるのではないでしょうか。この場合の感情は、「親近感がわく」「親近感を持つ」のように言い表せます。
「親近感」の類語や言い換え表現
「親近感」には、以下のような類語や言い換え表現があります。
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・親和性(しんわせい)
・相性(あいしょう)
・類似(るいじ)
・親密(しんみつ)
それぞれ「親近感」と似た意味を持つ言葉ですが、相手との関係性やシーンによっては類語や言い換え表現のほうが適している場合もあります。
「親近感」と上手に使い分けられるよう、正しい意味や使用例を確認していきましょう。
親和性(しんわせい)
「親和性」とは、物事の組み合わせたときの相性の良さを表す言葉です。また、結びつきやすい性質に対しても用いられます。
親和性は、物質同士が簡単に結合することを表す科学用語です。近年は人間関係で相性が良いことや、仲良くなることなども「親和性が高い」と言われます。
以下のように、ビジネスシーンでの活用頻度も高い言葉のひとつです。
・一緒に仕事に取り組むことで、彼との親和性の高さを感じた。
・顧客ニーズとの親和性を考慮したうえで、商品開発に取り組んでほしい。
・理科と数学は親和性が高く、双方を学ぶことで知見がより深まる。
しんわ‐せい【親和性】
1 ある物質が他の物質と容易に結合する性質や傾向。染色色素が特定の生体組織に結合しやすい傾向や、細菌・ウイルスが特定の細胞や臓器で増殖しやすい傾向など。
2 物事を組み合わせたときの、相性のよさ。結びつきやすい性質。「オリンピック中継とSNSは親和性が高い」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
相性(あいしょう)
「相性」とは、互いの性格や調子の合い方などのことです。「相性が良い」や「相性が悪い」のように用いられます。転じて、機械部品などの組み合わせが良いこと、悪いことも表す言葉です。
日常生活では以下のように、人間関係だけでなく食べ物の関係性にも「相性」という考えが存在します。
・ジムに加入したが担当者との相性がどうも良くない。
・新しい機器を導入したが、既存システムとの相性が悪いようだ。
・冷たいビールと唐揚げの相性は抜群だね。
あい‐しょう〔あひシヤウ〕【相性/合(い)性】
1 男女の生まれを暦の干支えとや九星などに当てて相生・相克を知り、二人の縁を定めること。中国の五行ごぎょう思想から出た考え方。→五行
2 互いの性格・調子などの合い方。「上司と―が悪い」「―のいい対戦相手」
3 俗に、機器同士を接続して用いるときの動作の具合。特に故障ではないにもかかわらず、原因不明の動作の不具合がある場合、「相性が悪い」という。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
類似(るいじ)
互いに共通点があることは、「類似」と言い表されます。それぞれが似ていることも意味する言葉です。
「類似」には、いくつか慣用句や熟語などがあります。例えば、「類似検索」は表記の異なりや同義語も含め、柔軟に解釈して検索することを意味するIT用語です。
また、有名な商標の一部を変えただけで、ほとんどそっくりの商標は「類似商標」と呼ばれます。
日常会話では、「類似する」「類似点」などの形で用いることが多いでしょう。
・類似点と相違点を中心に、双方の考えをまとめた。
・彼と彼の弟の筆跡は類似している。
るい‐じ【類似】
[名](スル)互いに共通点があること。似かようこと。「筆法が類似している」「類似品」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
親密(しんみつ)
「親密」とは、とても仲が良いことです。互いの親交が深い様子を表します。また、そのような関係を「親密な間柄」と言い表すこともあります。
・両家は彼と彼女が知り合う前から、親密な間柄だった。
・彼らは長年親密な関係を続けている。
・毎日コミュニケーションを取ったことで、彼との親密度が高まったように思う。
しん‐みつ【親密】
[名・形動]互いの交際の深いこと。きわめて仲のよいこと。また、そのさま。「親密な間柄」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「親近感」を使った例文
正しい意味をふまえ、ここからは「親近感」を使った例文について確認していきましょう。
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前述したように、「親近感」は「親近感がわく」や「親近感を持つ」のほか、「親近感を覚える」「親近感を抱く」のようにさまざまに活用できます。
例文を参考に、自分に似ていたり身近に感じたりするものに対し「親近感」という言葉を使ってみてください。
・彼とは初対面だったが、会話のなかで同郷だとわかり、たちまち親近感がわいた。
・自分と同じような経験を持つ彼女に対して、親近感を抱いた。
・俳優の日常生活に関する話に親近感を覚えた。
・とても丁寧で、親近感を感じる接客だった。
・彼女の屈託のない笑顔に親近感を持った。
「親近感」がないことを表す言葉
「親近感」がなく、親しみを感じられない様子は、以下のような言葉で表現できます。
・他人行儀(たにんぎょうぎ)
・余所余所しい(よそよそしい)
・水臭い(みずくさい)
いずれも、なかなか打ち解けられない関係性や、親しい関係性が築けないことを意味する言葉です。日常生活やビジネスシーンでは、いつでも良好な関係が築けるとは限らないのではないでしょうか。
そのようなときはこれらの言葉で、「親近感」が感じられないことを言い表してみてください。
他人行儀(たにんぎょうぎ)
「他人行儀」の「他人」には、自分以外の人という意味のほか、事柄に関係のない第三者という意味合いがあります。また、「行儀」とは礼儀の面から見た立ち振る舞いのことです。
「他人行儀」とすることで、他人に接するように打ち解けない様子を言い表せます。主に、本当はある程度仲が良いにも関わらず、あえて遠慮したり、落ち着いた態度をとったりする際に用いられる表現です。
・知らない人が来たとたん、彼は急に他人行儀な態度をとった。
・妻の実家に出向き「ゆっくりくつろいで」と言われたものの、緊張でつい他人行儀な態度になってしまう。
・こちらは仲が良いと思っていたのに、彼女の他人行儀な態度に少しさみしさを感じた。
たにん‐ぎょうぎ〔‐ギヤウギ〕【他人行儀】
[名・形動]他人に対するように、うちとけないこと。また、そのさま。「仲間内なのに他人行儀なあいさつ」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
余所余所しい(よそよそしい)
「余所余所しい」は、他人行儀な様子を表す言葉です。また、冷淡で親しみがないことや、無関係であることも意味します。
そもそも「余所(よそ)」には、自分には直接関係のないことや、関心のないことといった意味合いがあります。類義語に「そっけない」があることからも、「余所余所しい」は温かみが感じられない態度に対して用いる言葉といえるでしょう。
・彼は私の友人に対して余所余所しい態度をとった。
・今さら敬語を使うなんて、余所余所しい態度はやめてくれよ。
・彼女はいつも丁寧だが、どこか余所余所しい態度が気になる。
よそよそ‐し・い【余▽所余▽所しい】
[形][文]よそよそ・し[シク]
1 隔てがましく冷淡である。親しみがない。他人行儀である。「―・い態度をとる」「わざと―・くする」
2 無関係である。
「あなうたて、いと―・しきことをも知らせ給ひにけるかな」〈狭衣・三〉
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
水臭い(みずくさい)
「水臭い」は、前述した他人行儀なことと余所余所しいこと、両方の意味を持つ言葉です。
食べ物や飲み物が水っぽく、おいしくないという意味が転じて、愛情の薄さや他人行儀な様子を表す言葉になったといわれています。
以下のように他人同士ではなく、親しい関係にあるもの同士の間で用いられる表現です。
・僕と君との仲で隠し事をするなんて、水臭いじゃないか。
・長年の付き合いなのだから、水臭いことを言わず何でも相談してほしい。
・数年ぶりに会った友人に、思わず水臭い態度をとってしまった。
みず‐くさ・い〔みづ‐〕【水臭い】
[形][文]みづくさ・し[ク]
1 水分が多くて味が薄い。水っぽい。「―・い酒」
2 よそよそしい。他人行儀である。「婚約を隠すような―・いまねはよせ」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
親しい気持ちを表す言葉「親近感」を正しく使おう
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「親近感」は、相手に対する親しみの気持ちを表す言葉です。親近感を「感じる」「持つ」「抱く」のようにさまざまな形で活用できます。
また、「親近感」には「親和性」や「相性」のような言い換え表現があります。いずれも「親近感」と似たニュアンスを持つものの、使用するシーンは異なる言葉です。
「親近感」を感じない相手や態度は、「他人行儀」「余所余所しい」「水臭い」などと表現できます。
それぞれの意味や使用例を参考に、「親近感」という言葉への理解を深め、日常生活やビジネスで正しく使用していきましょう。
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