「旨」には、「中心となること」や「主な話の内容」の2つの意味があります。
「旨」の意味とは?
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意味を確認
「旨(むね)」という漢字の意味は2つあります。辞書で確認してみましょう。
むね【旨/宗】
1. 中心となるもの。また、重要なもの。「安全を―とする」
2. (旨)述べたことの中心。趣旨。趣意。「辞退する―を伝える」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
「旨」の1つ目の意味は、「中心となること」です。「質素を旨とする」「正直を旨とする」といったように、人の生き方や信条を表すときに使用します。その人にとって重要なこと、ゆずれないことに対して使われる場合が多いでしょう。
2つ目の意味を簡単にいうと「主な話の内容」です。ビジネスの場面では「参加の旨を伝える」などのように、述べたことや思ったことの主な内容を表します。「旨」は丁寧でややかしこまった表現なので、上司など目上の人との会話で使うことができますよ。

ビジネスなどで使う時の注意点
ビジネスシーンでは、「明日は予定があるため出席できません。その旨お伝えいただけますか?」などと使うことが多いですよね。このように「〜の旨」「その旨」と言えば、前の話題をまとめて表すことができるので、同じ内容の重複を防げます。一例として、仕事相手といろいろ話した後に一言「その旨よろしくお願いいたします」と伝えれば、スマートな印象を与えられるでしょう。
しかし便利な分、使い方によっては「その旨が何のことを指しているのかわからない」と思われてしまう可能性も。用いる際には、相手が正しく理解できているか配慮することが必要です。

「~の旨」や「その旨」を使うことで、丁寧かつスマートな印象を与えられます。その旨がどの内容を指しているか、相手の理解に配慮して使いましょう。
使い方を例文でチェック!
ビジネスシーンでは、上司に「その旨よろしくお願いします」と伝えたり、お客様に「その旨ご了承願います」と伝える機会も多いでしょう。ここでは、代表的な使い方を例文で紹介します。
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「その旨を申し伝えます」
職場の電話対応などで「その旨を申し伝えます」ということも多いので、覚えておくといいでしょう。「その旨を伝える」とは、「自分が聞いたり話したことを相手に伝える」ということ。連絡ミスを防ぐためにも、「その旨」の前に「〜について」など、具体的な事柄がわかる表現があると安心です。
例文
・課長の田中からの連絡をご希望でございますね。かしこまりました。田中が戻りましたら、その旨を申し伝えます。
「正直を旨としている」
辞書にあった1つ目の意味の例文です。この場合の「旨」は、「信条(ポリシー)」と言い換えると意味が理解しやすいですね。自分が正しいと強く信じていることや、生きる指針となっているものに対して使われます。
例文
・正直を旨としている彼が、家族に嘘をつくはずがない。
「○○する旨」
ビジネスの場面でよく使われる言い回しとしては、「辞退する旨」「退職する旨」、「参加の旨」「出席の旨」「欠席の旨」などが挙げられます。いずれも話していた内容を要約するような形で使われるでしょう。「〜の旨」にはできるだけ簡潔な語句を使ってください。
例文
・来月行われるコンペを辞退する旨、承知いたしました。部長に申し伝えます。
・先日、上司に退職する旨を伝えました。
「その旨をご連絡ください」
「その旨をご連絡ください」は、直前に話した内容について連絡を促す言葉です。「作業が完了しましたら、その旨ご連絡ください」「何かご不明な点がございましたら、その旨をご連絡くださいませ」など、物事が一区切りついたり、有事の際には連絡がほしいと伝えたいときに使われるフレーズです。
例文
・当日欠席される場合は、その旨ご連絡ください。
「迅速丁寧を旨として」
旨とするには「主として重んじる」「第一とする」という意味があります。たとえば「迅速丁寧を旨として、仕事に励みます」と言った場合、「迅速丁寧を第一に仕事に打ち込む」ことを表現しているのです。
例文
・迅速丁寧を旨として、仕事に励みます。
類語や言い換え表現とは?
「旨」は丁寧でかしこまった表現なので、同僚や後輩に使うにはやや堅苦しいと感じることもあるでしょう。そんなときのために、あらかじめ言い換え表現を覚えておくと便利ですよ。主な類語や言い換え表現を紹介します。
〜とのこと、〜という考え
「〜の旨」は、「〜とのこと」「〜という考え」と言い換えることができます。「〜の旨」と表現することで話が端的に伝わるメリットはありますが、同時に堅苦しい印象も与えかねません。ですので、たとえば上司や取引先には「ご参加の旨、承知しました」、同僚や部下には「参加とのこと、了解しました」など、相手との関係性によって言い換えてみましょう。
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そのように、このことを
ビジネスの定番フレーズ「その旨申し伝えます」は、「そのように申し伝えます」と言い換えることができます。丁寧で、なおかつやわらかい印象になりますね。より具体的に伝えたい場合は、「今のお話の内容を申し伝えておきます」と言うといいでしょう。
主旨
「主旨(しゅし)」の意味は以下のとおりです。
しゅ‐し【主旨】
考え・文章・話などの、中心となる事柄。主意。
小学館『デジタル大辞泉』より引用
つまり、話の中心となる事柄や肝心なところを「主旨」と言います。「旨」の2つ目の意味と共通していますね。「主旨」は話の要点ともいえるため、主旨をつかむことで、より効率的に話の内容を理解することができるでしょう。
英語表現は?
英語では「to the effect that〜」「to say that」で、「~という旨の」という意味になります。ただし英語の場合は、「to the effect that〜」の前後で、内容を丁寧に話す必要があるので気をつけましょう。
例文
・She made a phone call to the effect that he will come to the office soon
(彼女は彼がすぐにオフィスに来るという旨の電話をかけた)
・The company made a statement to the effect that no bonuses would be given this year
(その会社は、今年はボーナスを支給しない旨の声明を出した)
・He wrote to me to the effect that he would visit me
(彼は私に会いに来るという主旨の手紙をくれた)
また英語では決まったフレーズは使わず、「that」などで大まかな内容を表現することが多いようです。
例文
・I understand that I will leave the company by the end of this year
(今年いっぱいで会社を退職する旨、承知いたしました)
・It will take some time to confirm. Please note that
(確認にお時間をいただきます。その旨ご了承願います)
よくある質問
ビジネスシーンで何気なく使っている人が多い「旨」について、意味や使い方に対する疑問と、その回答を紹介していきます。
Q1. 「との旨」はどういう意味ですか?
「との旨」は、すでに周知されている情報や前の会話で出た内容を引用したり、要約したりする場面で使用されます。「という内容で」「という意味で」「という趣旨で」といった意味があります。
Q2. 「その旨」は繰り返し使ってもよいですか?
「その旨」は多用しすぎると、回りくどくなって情報が伝わりにくくなったり、語彙力のない稚拙な印象を相手へ与えてしまうおそれがあります。多用してしまいそうな場面では「そのとおりに」「つきましては」など、ほかの表現に言い換えるなどして使用頻度をなるべく減らすといいでしょう。
最後に
- 「旨」は「その旨」「~との旨」などの言い回しで使用され、既出の情報や前の会話で出た内容を引用・要約する役割がある
- 多用しすぎると回りくどく稚拙な印象を与えてしまうため、同じ会話やメールで繰り返し使うことは避ける
- 「とのこと」「の件」「つきましては」など、ほかの表現に言い換えられる
既出の情報や前の会話で出た内容を引用・要約できる「旨」は、「主な話の内容」や「重要なもの」を意味し、適切に使用すれば丁寧かつスマートな印象を与えられるでしょう。使い方の代表例としては、取引先やお客様対応に用いるフレーズ「では、その旨を担当に申し伝えます」などがあります。正しい意味や使い方のポイントを押さえ、適切な場面で自信を持って使えるようになりましょう。
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