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「態々」の意味と読み方
「態々」は「わざわざ」と読みます。文章の中ではひらがなで書かれる機会が多いので、漢字で書かれていると読み方に悩むでしょう。
日常で使う機会が多く、読み方さえ分かれば何となく理解できそうですが、誤用を避けるには正しい意味を知っておくことが大事です。詳しい意味や語源を見ていきましょう。

その事柄のために行うさま
「態」は音読みでは「たい」「てい」と読み、訓読みでは「わざ」と読みます。単体では、ものの姿・形・様子・振る舞いなどの意味がある漢字です。
「態々」という言葉には、偶然に何かをしたわけではなく「その事柄のために特別に何かをする様子」という意味があります。意図的に何かをした、と言い換えても意味が通じる言葉です。何かのついでに寄ったわけではなく、あえて機会を作って訪問してくれたというような場合に使用できます。
同じ立場の人同士が日常会話の中で使うだけでなく、顧客や目上の人に対しても使用でき、敬語や丁寧語と組み合わせて使う機会も少なくありません。
わざ‐わざ【▽態▽態】
[副]
1 他のことのついでではなく、特にそのためだけに行うさま。特にそのために。「態態出掛けなくても電話で済むことだ」
2 しなくてもよいことをことさらするさま。故意に。「御親切にも態態忠告に来る人がいる」
→折角せっかく[用法]
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「態々」の語源
「態々」という言葉は、「態々し」という古語が語源となっているとされます。「しなくてもよいことをする様子」という意味があり、もともとは少々後ろ向きな意味がある言葉でした。時が経つにつれて「しなくても構わないのに、してくれた」という、前向きなニュアンスを含む言葉になっていったのです。
しなくてもよいことに対して否定的な感情になるだけでなく、手間をかけた部分を前向きに捉えたことでポジティブな意味でも使うようになりました。
「態々」の使い方
「態々」は、あらたまった場面で使用することが多く、間違って使ってしまうと恥ずかしい思いをします。どのように使えばいいのか、おさらいしましょう。

感謝や否定に使う
「態々」という言葉は、本来はしなくてもよいことをしてもらったときに「態々来てくださり、ありがとうございます」というように、感謝の気持ちを込めて使用します。
余計なことをしてほしくないときに、否定の意味を込めて使うケースも少なくありません。その際は「態々、そんなことをしなくてもいいですよ」というように使いましょう。
感謝を述べているつもりでも、使いどころを間違えると嫌味に受け取られてしまうことがあるので、多用することは避けた方がよいかもしれません。本心から感謝しているときに使えば、失敗しないはずです。
否定の意味で用いる際は、相手の行動によって不利益を被るときに使います。「やったことが無駄になるので、しなくていい」と伝えたいときに使用しましょう。
分かりやすくひらがなで表記
「態々」と漢字で書くと読み方が分からず、意味が伝わらないことがあります。態という漢字は、態度・状態・失態というように「たい」という読み方が広く浸透しているので、なかなか訓読みの「わざ」とは読めません。よほど漢字が得意でない限り思い浮かびにくいでしょう。
日常会話によく登場する言葉なのでひらがなであれば意味が通じますが、漢字で書くと読み方や意味を調べる手間が生じてしまうことも考えられます。最初からひらがなで書いた方が親切ですし、やりとりがスムーズに進むはずです。
ビジネスで使える「態々」の敬語表現
「態々」という言葉自体は敬語表現ではありませんが、言い回しによっては目上の人にも使える言葉です。丁寧語や敬語表現と組み合わせて使用できるので、正しい使い方を覚えておきましょう。
ビジネスシーンでは、以下の例文のように感謝を伝えたいときや、謝罪したい状況で使われることが少なくありません。
(例文)
「お忙しい中、態々ご対応いただきありがとうございます」
「本日はお足元が悪い中、態々お越しいただき感謝いたします」
「態々、ご連絡いただいたのにご期待に添えず、申し訳ございませんでした」
言い換えできる類語も紹介
「態々」という言葉と近い意味を持つ言葉も一緒に覚えておくと、よりその場に相応しい言葉遣いができます。態々とあわせて覚えたい類語をチェックしましょう。

「遠路はるばる」
「遠路はるばる」は、遠くからやって来た人に対して使用する言葉で、大変な思いをして長い道のりを移動してきた様子を指します。
「遠路」は遠い道のりのことで、「はるばる」は遠く離れている様子を示した言葉です。相手が遠くから態々やって来てくれた状況で、使いましょう。
(例文)
「遠路はるばる、お疲れ様です」
「遠路はるばるお越しいただき、感激しています」
「態々、お越しくださりありがとうございます」とほぼ同じ意味で使えます。ただし、距離が近い相手に対して使うと嫌味に聞こえてしまうので注意しましょう。
「殊更(ことさら)」
何らかの考えがあって、あえてその行動をとることを「殊更」といいます。「格別に」「わざと」と同じ意味がある言葉です。否定的な言い回しで態々を使用する際に、殊更を使うと近い意味になります。
(例文)
「殊更に前に出ようとしなくていい」
「あの人の意地悪な振る舞いは、殊更に目立っている」
「前回の試験の点数が悪かったので、今回の結果は殊更にうれしい」というように、状況に応じて前向きな意味で使うこともできます。



