「恐縮に存じます」は「ありがたく思います+思います」のように、二重表現になりますので注意しましょう。
目次Contents
「恐縮です」の正しい意味
「恐縮(読み方:きょうしゅく)」とは、ありたがさや申し訳なさ、気恥ずかしさなどで身のすくむ気持ちを意味する言葉です。恐れを表す「恐」と、身のすくむ様子を意味する「縮」から成り立っています。
きょう‐しゅく【恐縮】
[名・形動](スル)
相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。おそれいること。また、そのさま。「ですが窓を開けてくださいませんか」「お電話をいただき恐縮しております」
小学館『デジタル大辞泉』より一部引用
(C)Shutterstock.com
「恐縮です」は、相手の好意に対し、身のすくむような思いであることを伝える表現です。かしこまったニュアンスを持ち、文章や改まった会話で用いられます。
「恐縮です」は上司や目上の人に用いる言葉

「恐縮です」は、自分がへりくだることで相手を立てる表現です。そのため、目下の人ではなく、上司や目上の人に使用します。自分の立場を謙遜し、「私のようなものが恐縮ですが」と伝えることも可能です。
感謝の気持ちも伝えられる
また、目上の人に対し「申し訳ないのですが」と依頼する場面にも適しています。そのほか周囲の評価や好意に、「ありがとうございます。恐縮です」と感謝の気持ちを伝えられることも覚えておきましょう。
「恐縮です」の類語や言い換え表現
「恐縮です」は、シーンに応じて類語や言い換え表現が用いられます。
「恐れ入ります」
相手の気づかいに対し、感謝を伝える類語が「恐れ入ります」です。また、相手へ何か依頼やお願いをする際のクッション言葉として使うこともあります。
「大変恐縮です」「恐縮至極に存じます」
より強い気持ちを表現したいなら、「大変恐縮です」「恐縮至極に存じます」と言い換えられます。自分よりかなり目上の人へ感謝を伝える場面や、相手へ著しい負担をかけるお願いをする場面で使われるでしょう。
「汗顔」
恥ずかしさで身が縮むときに使用するのが「汗顔(かんがん)」です。「汗顔」とは、顔に汗をかくほど恥ずかしい気持ちを意味します。ビジネスシーンでの使用が多く、謝罪や賞賛に対する謙遜の言葉として「汗顔の至りです」と用います。
「痛み入ります」
「恐縮です」よりも古風な表現ですが、「痛み入ります」も相手からの気づかいに対する感謝を表すフレーズです。あまり聞かない言葉かもしれませんが、かしこまった場面で使われることもあります。
「大変ありがたく存じます」
相手からの配慮や厚意に対して、シンプルに感謝の気持ちを表せる表現です。カジュアルな場面では「ありがたいです」という表現が適切ですが、ビジネスシーンでは基本的に「大変ありがたく存じます」を使うと良いでしょう。
「恐縮です」使用時の3つのポイント
「恐縮です」を正しく使用するためには、3つのポイントをおさえる必要があります。目上の人に失礼のないよう、それぞれについて確認しておきましょう。
(C)Shutterstock.com
「恐縮」+「存じます」は二重表現になる
「恐縮」に「存じます」を重ねた「恐縮に存じます」は、二重表現にあたります。二重表現とは、同じ意味を持つ言葉を繰り返して使用することです。
「恐縮」には「ありがたく思う」「申し訳なく思う」という意味があり、「存じます」は「思う」の謙譲語である「存ずる」をより丁寧に表現した言葉です。
つまり「恐縮に存じます」は「ありがたく思います+思います」と言っていることになり、意味が重なってしまうのです。二重表現は、話し言葉を文字にすると起こりやすい間違いです。相手に違和感を与えることもあるため注意しましょう。

「恐縮です」の多用は失礼にあたる
相手に丁寧な気持ちを伝えようと、「恐縮です」を多用してはいないでしょうか。かしこまった「恐縮です」を多用すると、かえってわざとらしい印象を与えてしまいます。
目上の人に「ありがたい」「申し訳ない」と強く感じたときには、類語や言い換え表現などを使用しましょう。会話の幅が広がり、ビジネスマナーやスキルの向上にもつながります。

「恐縮です」は多用せずに、類語や言い換え表現などを上手に使いましょう。
主に書き言葉で使用する
「恐縮です」は、主に書き言葉として使用されます。言葉にすると、堅苦しいイメージを与えることもあるからです。
そのため、会話のなかで「恐縮です」が相応しいと思われる場面では、「恐れ入ります」と口にするように心がけましょう。前後にシーンに応じた言葉を添えれば、その時々の気持ちをわかりやすく相手に伝えられます。
「恐縮です」の使い方と例文
恐れ多い気持ちを表す「恐縮です」は、申し訳ない気持ちや感謝の気持ちを表す際、断りの了承を求めるときに使えます。下記で述べる使用例を参考に、「恐縮です」の使い方を身に付けましょう。
(C)Shutterstock.com
依頼や要求をする場合
相手に依頼や要求をする場合、「恐縮ですが」と前置きすることで、時間や手間を取らせて申し訳ない気持ちを伝えることができます。
例文
・お忙しいところ恐縮ですが、○○の件につきまして、今月末までにお知らせいただけますと幸いです。
・誠に恐縮ですが、このメールにご返信いただきますようお願いいたします。
申し訳ない気持ちを伝えたいとき
相手がしてくれたことに対し、申し訳ない気持ちを伝えたいときにも「恐縮です」は適しています。「申し訳ありません」「ご迷惑おかけしてすみません」という思いとともに、感謝の気持ちが込められていることがポイントです。
例文
・お忙しいところお時間を頂戴し、大変恐縮です。
・お足元の悪い中ご足労いただき、恐縮です。
感謝の気持ちを伝えたいとき
「恐縮です」は、「ありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えたいときにも使用されます。もっと深い感謝の気持ちを強調したい場合は、「ありがとうございます」も合わせて伝えましょう。
例文
・今回はこのような席を設けていただき、大変恐縮です。皆さま、ありがとうございます。
・先生に直接ご指導いただけるとは、恐縮です。
謙遜の気持ちを伝えたいとき
周囲の賞賛や評価に、「恐れ多いです」「とんでもないことです」と謙遜する意味合いも持つ言葉です。ビジネスシーンで賞賛を受け、どのように答えれば良いか迷ったときには「恐縮です」を使うと、相手に謙遜の気持ちを伝えることができます。
例文
・この度は多大なる評価をいただき、恐縮するばかりでございます。
・お褒めいただき、大変恐縮です。
断りの了承を求めるとき
ビジネスシーンでは、申し訳ないと思いつつも、相手の誘いを断らなくてはいけないことだってあるのではないでしょうか。そのような場合には、「恐縮ですが」と前置きした上で断りの了承を求めましょう。理由を付け加えれば、より丁寧な表現になります。
例文
・大変恐縮ですが、予定が立て込んでいるため辞退させていただきます。
・恐縮ではございますが、次回の宴席は欠席させていただきます。
相手に合わせた「恐縮です」の強調表現
「恐縮です」は、相手に合わせて表現を強調することができます。感謝や申し訳ない気持ちを伝えたい相手に合わせ、次のように表現しましょう。

(C)Shutterstock.com
「恐縮しきり」
「恐縮です」では足りないほどの思いを感じる相手には、「恐縮しきり」と伝えます。「恐縮しきり」の「しきり」は、「ひっきりなし」「何度も繰り返し」という意味を持つ言葉です。「恐縮しきり」で十分に強調されるため、「大変恐縮しきり」「非常に恐縮しきり」のような、誇張を重ねた表現は控えましょう。
例文
・お忙しい中ご足労いただき、恐縮しきりでございます。
・このように栄誉ある賞をいただき、恐縮しきりでございます。
「甚だ恐縮」
「甚だ(はなはだ)」は、「とても」「非常に」を丁寧に表した言葉。「物事の程度を超えている」と感じるときに使用します。「甚だ恐縮」は、目上の人への無理なお願いや、誘いを断る場面にも適した表現です。
例文
・甚だ恐縮ではございますが、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。
・甚だ恐縮ではございますが、この度は参加を控えさせていただきます。
「恐縮の限り」
「限り」には、「限界いっぱい」「限界まで」という意味合いがあります。「恐縮の限り」は、相手に対し「自分の限界まで恐れ多い」という気持ちを表す言葉です。重大な謝罪や大きな賞賛へのお礼など、日常的ではないシーンで使用しましょう。
例文
・皆様のお手を煩わせてしまい、恐縮の限りでございます。
・これほどのお心遣いをいただき、恐縮の限りでございます。
英語で伝える「恐縮です」
日本語の「恐縮です」は、さまざまな気持ちを表現できる言葉です。しかし、英語で「恐縮です」を伝えたいときは、それぞれ異なる語句が用いられます。
(C)Shutterstock.com
英語の「恐縮です」を知っておけば、感謝やお詫び、依頼の気持ちを丁寧に伝えることができます。ビジネスで活用できるよう、シーンに応じた英語表現をマスターしておきましょう。
申し訳なさを伝える「I am afraid~」「I am sorry~」
「afraid」には、「残念ながら」「恐れ入りますが」といった意味合いがあります。また、申し訳ない気持ちを伝えたいときには、心苦しい思いを意味する「sorry」も適しています。
例文
・I’m afraid for my late reply.
(お返事が遅くなり恐縮です)
・I am very sorry I can’t help you.
(お役に立てず大変恐縮です)
感謝を伝える「Thank you」「grateful」
英語では、感謝の気持ちはへりくだることなく「Thank you」と伝えましょう。語尾に「so mach」「very much」と付け加えると、より丁寧な表現になります。「恩を感じる」「恩を知る」といった意味を持つ「grateful」を使うと、感謝の気持ちを強調できます。
例文
・Thank you so mach/very mach.
(本当にありがとうごます)
・Thank you very much.I am grateful for your kindness.
(本当にありがとうございます。親切にしていただき恐縮です)
依頼のシーンでは「Woud you mind if~?」
ビジネスで相手に依頼をする場面では「Woud you mind if~?」を用います。「Woud you mind」は、本来は「気に障りますか?」という意味を持つ表現です。「if」のあとに言葉を続けることで、「恐れ入りますが~をしてもいいですか?」と伝えることができます。
例文
・Would you mind if I used this conference room?
(恐れ入りますが、こちらの会議室を使用してもよろしいでしょうか)
・Would you mind if I borrow this file?
(恐れ入りますが、こちらのファイルをお借りしてもよろしいでしょうか)
「恐縮です」に関するよくある質問
最後に「恐縮です」に関して、ビジネスシーンでよくある質問とその回答を紹介します。
Q1.「恐縮です」で感謝の気持ちを表す例文は?
「恐縮です」は、相手の気づかいや厚意に対して感謝の気持ちを表す言葉です。ビジネスシーンで使用する場合、相手がしてくれた行為を述べたうえで「恐縮です」と続けると良いでしょう。
例文
・この度は弊社までお越しいただき、大変恐縮です
・このような機会をご用意いただき、恐縮です
Q2. 「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」の違いは?
「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」は、どちらも相手への感謝の気持ちや申し訳なさを表すフレーズです。比較すると「恐れ入りますが」のほうがよりやわらかい表現であるため、話し言葉で自然に使いたいときや大げさにしたくない場面で使うと良いでしょう。
例文
・お忙しいところ大変恐縮ですが、こちらの資料をお送りいただけますでしょうか
・恐れ入りますが、少しお待ちいただけますでしょうか
Q3. 「恐縮」と「申し訳ない」の違いは?
「恐縮」と「申し訳ない」はどちらも相手への「すみません」という気持ちを表す言葉ですが、使用する状況は異なります。「恐縮」は謙遜したり感謝を伝えたりするシーンで、「申し訳ない」は謝罪を行うシーンで使われます。また、クッション言葉として使う場合は「恐縮」より「申し訳ない」のほうがよりかしこまった印象となります。
正しい意味を理解して「恐縮です」を使いこなそう
- 「恐縮です」は相手の気づかいへ感謝の気持ちを表す言葉。また、依頼の際などにクッション言葉としても使用される
- より強い気持ちを伝えたい場合は「大変恐縮です」がおすすめ
- 自分の失敗について謝罪する際は「申し訳ございません」を使用する
「恐縮です」は、上司や取引先など目上の人からの厚意に対し「ありがとうございます」と感謝を伝える言葉。また、相手に何かを依頼する際にクッション言葉として使用することも多いです。より強い気持ちを伝えたいなら「大変恐縮です」を使用し、よりやわらかい表現にしたなら「恐れ入ります」を使うと良いでしょう。
ただし、しっかりと謝罪しないといけない場面では「恐縮です」ではなく「申し訳ございません」など、謝罪の意味が込められたフレーズを使用してください。
正しい意味合いを理解し、大人のマナーとして「恐縮です」を使いこなしましょう。
トップ画像・アイキャッチ/(C)Shutterstock.com



