朝ドラ『あんぱん』を語りたい！今週の見どころと感想をレポ
朝ドラ『あんぱん』、とうとう残す話数はわずかです！ やなせたかし先生の妻・小松暢さんをモデルに、“逆転しない正義” 『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語を描くドラマ。ヒロインの「朝田のぶ」を今田美桜さん、やなせ先生をモデルにした「柳井嵩」を北村匠海さんが演じます。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、今週の『あんぱん』のツボを自由きままに語りたいと思います！
◆先週のレビューはこちら：あんぱんまんの強火オタが爆誕!? ヒロインのぶちゃん、今いちばん輝いてるよ…！｜『あんぱん』第24週
嵩が何よりも伝えたい想いを詰め込んだ作品『アンパンマン』。そしてそのいちばんのファンであるのぶちゃん。周囲の評価はいまいちでも、その魅力を信じるのぶちゃんは諦めません。草の根読み聞かせ活動の甲斐もあってか、少しずつ子供たちの心を掴んでいきます。
もうセミファイナル週だなんて…。第25週「怪傑アンパンマン」を振り返ります
嵩が編集長をつとめる雑誌『詩とメルヘン』は大好評だけれど、アンパンマンはなかなかヒットしないまま。それでも、届く人にはちゃんと届いている。音楽家・たくチャンもそのひとり。そしてたくチャンの発案で、アンパンマンのミュージカル化プロジェクトが始動します。
のぶちゃんにメイコに健ちゃん、原作者の身内が次々と現場にやってきて手伝いを買ってでますが、どれだけ予算と人手がないのだろうとドラ子は早々に不安になりました。いやな予感は的中し、いろいろ「それでいいの!?」な展開が続きましたが終わりよければすべてよし。
そんななか、ある人物の訪問が…。「あの出来事」を知るものたちは、折り合いをつけることはできるのでしょうか。
朝ドラウォッチャーの「今週のツボ」
1. 結果として満席になってよかったけど…舞台制作の描写はいろいろ疑問が残りました
今週の軸となったのはミュージカル『怪傑アンパンマン』の制作風景。プロデュース・音楽制作はたくチャン、原作・脚本は嵩、ふたりとも今をときめく売れっ子クリエイターのはずですがチケットの売れ行きはあやしい様子。人手が足りなすぎて宣伝にまで手がまわらないのでしょうか…。
案の定、公演前日になって必死にビラを配っていましたが、なぜもっと早く手を打たなかったんだ〜と突っ込まざるを得ません(泣)。ビラ配りもだけどさ、八木さんに頼み込んでキューリオに協賛してもらうとか、広報手伝ってもらうとか、いくらでもやりようがあったのでは!?とついつい現実的なことを考えてしまいます。そんななかのぶちゃんが考えた秘策は「ヤムおじさんのあんパン」。相変わらずヤムおじのパンを過信しすぎで恐怖を覚えるレベルです。
舞台に出演する役者のみなさん(多分)が「チケット売れてないらしいよ〜」とまるで人ごとなのも気になりました。いやいや、君たちも手売りしてくださいよ!! みんなでがんばれば埋まりそうなキャパだと思うよ…。うーーん、なんだかこうした一連の流れに小劇場のリアリティが感じられず、あまり入り込めなかったのが正直なところです。ただ舞台『怪傑アンパンマン』はおもしろそうでした。劇場を客席までまるごと使った演出、臨場感たっぷり！
けどごめん、あと一個だけ言わせて…。本番中にのぶちゃんが写真撮影しているのもめっちゃ気になったんです。あの規模の劇場でシャッター切ったら音が気になるでしょうが！ 撮影はゲネプロで済ませてくれ〜！
2. 父の足跡を追う男、現る
そして今週は驚きの展開が待っていました。戦場で少年・リンに撃たれて死んだはずの岩男が再登場…ではなく、その息子の和明さんが嵩を訪ねにきたのです。岩男に瓜二つの和明さんを見て思わず立ちすくむ八木さんの顔、つらい。「岩男」の名前が出るとみんなの表情が曇るのがとっても悲しい。
自身が生まれる前に出征、顔を見ることなく戦死した岩男について、本当のことを知りたいと和明さん。しばしの沈黙ののち、嘘偽りなくその壮絶な最期を話す八木さんと嵩。なかなかに重く、ずしんとくるシーンでした。ドラ子は根にもつタイプなので、「君のお父さんはいじめっ子だったよ。子供のころ柳井さんのお弁当奪ってたよ」と教えてやりたい気持ちもないではないが…！ 死んだらそれも言えないじゃんよう。戦争が憎い。
軍の命令とはいえ父親が人を殺していたこと、よその子を可愛がっていたことを知らされるのもなかなかにきついです。ちょっとだけ声を荒らげたものの（「処刑」がパワーワードすぎたよ）、最終的に静かに事実を受け止めた和明さんの気持ちを考えると切ない。
そんな和明さんの心を、アンパンマンが少しだけ癒してくれたことが救いです。嵩が作品に込めた想いは、少しずつだけど、誰かが前を向く力になっている。
3. メイコは今すぐ「素人のど自慢」に再挑戦すべき
さて、舞台『怪傑アンパンマン』に話を戻します。ステージで役者たちが歌の稽古をする様子を、せつなげな表情で見つめる女性がいます。そう、歌が大好きなメイコです。かつて夢やぶれ、「素人のど自慢」に出演できなかったメイコ。私も人前で歌ってみたかった…と未練を語ります。羽多子さんも言っていたけれど、今からでも挑戦してええんやで？
…とか思っていたら、『怪傑アンパンマン』本番でしれっとメイコがコーラスとして出演しているではないですか。え〜〜〜！ 振り付けも完璧、表情管理ばっちり、ノリノリのメイコ。欠席した演者のピンチヒッターのようでしたが、いつのまに稽古したん!? 周りはプロの役者、メイコは素人のうえにアラフィフのおばさまなわけで…。正直、とてつもなく浮かない？ 他の役者さんの反発はなかったの!?と心配になったのだけど、なんか大丈夫だったみたいです。
メイコ、それだけの度胸&短期間で歌と振りをマスターしたスキルがあれば、きっと「素人のど自慢」でも合格の鐘をもらえるはずだ！ ぜひ再挑戦してほしい。健ちゃんと一緒に歌うのもいいんじゃないかな。
次週、いよいよ最終週。「愛と勇気だけが友達さ」のぶちゃん死なんといてよ…
ちなみに、スピンオフドラマ『あんぱん 特別編』の放送が決定したそうで、メイコ初舞台の顛末はそちらで語られるようです。いったいどんな厳しい稽古が繰り広げられたというのか…期待しているぞ。いろいろあったけど、それぞれができることをがんばった甲斐あって『怪傑アンパンマン』初日は大成功。嵩とヤムおじさんの再会もうれしかったね♡ そしていよいよ、最終週がやってきてしまいます…。予告では、のぶちゃんの体調が悪そうで心配。最後まで、のぶ&嵩の冒険を見守っていきましょう。
【おまけ】今週のあんパン
埼玉県所沢市に店舗を構える、「自家製酵母ぱんと手づくりあんこの店 いちあん」。その看板の通り、あんこにはこだわりが。こしあんの絹のように繊細な舌触りにドラ子は衝撃を受けました！ 写真はこしあんぱん、抹茶あんぱん、アールグレイあんぱんです。つねに複数種類のフレーバーがあるのも楽しい。
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」（通称・朝ドラ）をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』（2019年度後期放送）。
