朝ドラ『あんぱん』を語りたい!今週の見どころと感想をレポ
朝ドラ『あんぱん』観てますか? やなせたかし先生の妻・小松暢さんをモデルに、“逆転しない正義” 『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語を描くドラマ。ヒロインの「朝田のぶ」を今田美桜さん、やなせ先生をモデルにした「柳井嵩」を北村匠海さんが演じます。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、今週の『あんぱん』のツボを自由きままに語りたいと思います!
◆ヤムおじさんの作るパンのヤバさを確信。そして『ちむどん』的展開、ふたたび|『あんぱん』第19週
嵩、漫画家一本で生きていくために会社を辞めて独立! のぶちゃんもその夢を支える気持ちを新たにしました。これからは漫画家先生になるのだからと、「嵩」から「嵩さん」に呼び方を変えるのぶちゃん、かたちから入るタイプなのかな。しかし、なかなか純風満帆というわけにはいかないようです…。
第20週「見上げてごらん夜の星を」を振り返りましょう
5年間、会社員と漫画家を兼業していた嵩ですが、独立した瞬間にまったく絵の仕事がなくなってしまいました。フリーランスの世界は厳しい。さらにのぶちゃんは薪先生の秘書職をクビに。のぶ&嵩夫婦、前途多難です。
そしたらあっという間に時は7年経過。相変わらず嵩はまったく売れていないようですが(7年間何してたん?)、かつてカフェで語り合った音楽家・たくチャンこといせたくやから「ミュージカルの舞台美術をお願いしたい」と仕事の依頼が! ですが、嵩は「舞台美術は未経験だし…」とノリ気になれません。後々わかりましたが、「漫画で生きていきたい」という矜持ゆえだったようです。いや、でも仕事選んでる場合か。
しかし結局あれよあれよといううちに舞台制作に関わることになり…。たくチャン、そして天才?変人?な演出家・六原永輔とのストイックな日々が、嵩に新たな可能性を拓いていくのでした。
朝ドラウォッチャーの「今週のツボ」

1. のぶちゃん、突然のクビ! この時代の労働基準法ってどうなってるの!?
週のはじまりから衝撃でしたが、のぶちゃんが薪 鉄子先生の秘書をクビになってしまいました! しかも即日解雇ですよ。この時代の労働基準法って今とずいぶん違うんですね…!?
決定打となったのは嵩から聞かされた「のぶは絶対に逆転しない正義を探している」という事実でした。時代が移り変わり、薪先生の状況も変化しているわけで、自分のもとにいてもそれは実現できないから…と、のぶちゃんを解き放つための優しさでもあったんでしょうね。それにしたって即日解雇はひどいよ(泣)。てか嵩、本人不在のところでそういうパーソナルなことペラペラ話すんじゃないよ! 嵩に限らず『あんぱん』の人々は大事な話を第三者に漏らしがち。
しかしながら、ですよ。薪先生のもとで働いている5年以上のあいだ、のぶちゃんは「逆転しない正義」を見つけるために何をしたんだろう。仕事はとてもがんばっていました。でも理想の実現に関しては「この人についていけば何か見つかるかも」と期待だけして何も考えてこなかったように見えちゃう。またしてものぶちゃんの主体性のなさが露呈してしまった。もう何度目だ〜! どうしたらいいんだ〜!!
うーん、とりあえずは次週予告で聞こえてきた「せいいっぱい頑張ったつもりやったけれど、何者にもなれんかった」というのぶちゃんの言葉に期待しましょう。「なんにもない自分」を自覚して初めて動き出すことも、きっとあると思うのだ。
2. 登美子の告白を「泣ける話」に着地させるのはちょっと厳しいかな〜
さてさて、嵩のお騒がせ母・登美子とのぶちゃんがふたたび対話するくだりもありましたね。嵩にピシャリと言われたあとなので、さすがの登美子もちょっぴりしおらしいです。
登美子は、「あの日」に帰りたいと涙します。夫の清がいて、まだ幼い嵩と千尋がいた、幸せだった「あの日」です。なんかいい話風にまとめられていたのですが、結局は子供を置いて姿を消した人に言われても説得力がないんだよなあ〜とドラ子はあんまり感情移入できず。
あの時代、夫に先立たれた女性が生き抜くのはきっと大変だったことでしょう。登美子にとってはすべてがやむをえない選択だったのだろうし、そのブレないしたたかさが、ある種彼女の魅力でもある。とはいえ、登美子の存在を単純に「いい話」に着地させるのは、やっぱり厳しいかな…。
とくに「ヒェッ」となったせりふがありまして。「つい、あの子に清さんを重ねてしまうの。清さんの代わりに、嵩が私を幸せにしてくれるんじゃないかって」──ちょっとさすがにこれは親のエゴなのでは!? 嵩には嵩の人生があるのよ、登美子…。ゾッとしてその後の話が入ってこなかったのはドラ子だけなのでしょうか(泣)。
3. まるで歌に愛された男・たくチャン。登場するととっても和みます
そして今週は、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さん演じる音楽家・たくチャンが大活躍してくれました! 快活でおしゃべり、そしてクリエイティブにはけっして手を抜かないたくチャン。見ていてとても気持ちのいいキャラクターで、のぶちゃんの解雇や登美子の問題発言にざわついた心も和みます。漫画の仕事がないことでピリピリしていた嵩も、たくチャンとかかわることで少しずつ心境が変化していきました。
劇中ではすばらしい歌声も披露。ですが話の流れ的に「なんでここでたくチャンがひとりで歌うん?」とちょっとびっくり。さらにはたっぷりの尺&カメラワークでこれでもかと見せるわけです。
なんというか、「今こそ大森元貴の歌を惜しみなく聴かせるぜ!」という制作側のサービス精神を感じましたね。「見上げてごらん夜の星を」という曲の美しさが十二分に伝わる、珠玉の歌声でした。
次週は、あの名曲爆誕か!? サブタイトルは「手のひらを太陽に」
のぶちゃん、秘書業のかたわら、嵩に秘密で八木さんの店でアルバイト(?)を始めていましたね(即バレたけど)。蘭子も会社員とライターの二足の草鞋。先週まで嵩も兼業だったし、『あんぱん』は「副業ドラマ」という新ジャンルと言えるかもしれない。そして今週ラストにはあの名曲誕生のきざしが。ナレーションも「おや? この詩…。ほいたらね!」と反応していました(笑)。
【おまけ】今週のあんパン

北海道旅行中に発見した「札幌キムラヤ」のあんぱんです。東京の木村屋總本店からのれん分けで創業したメーカーなのだとか。北海道生まれの小豆・小麦粉・砂糖・牛乳を使用しています。甘さの奥にほんの〜りほろ苦い風味が。牛乳がとっても合います!
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。