みなさん、朝ドラ『ブラッサム』ご覧になられていますか? ヒロイン・葉野珠(はの たま)を演じるのは石橋静河さん。激動の明治・大正・昭和を駆け抜けた作家・宇野千代さんをモデルに、苦難のなかで恋と創作に突き進む女性の人生を描きます。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
第4週『岩国と、共に』を振り返ります
同僚教師・島村との「あいびき」騒動により、珠は教師の職を追われることに…。尾鰭のついた噂話は町中に広まり、一家は肩身の狭い思いで日々を過ごしています。新たに職を探すものの、行く先々で噂が足をひっぱり、なかなかうまくいきません。本人としてはただ真剣な初恋だったのに、その結果がこんなことになるなんて。
中には面と向かって「あの“はのたま先生”でしょ?」「包丁ふりまわしたとか…」(やってない)とニヤニヤ指さす人も。もう数か月経っているのに、他に話題ないんか! 観ているこちらも嫌な気持ちになります。てかあの日、珠が包丁を落とすところを見ていたのは島村だけなのでは? 島村、噂に尾鰭つけたのはお前か!?(怒)

噂話に傷つく珠に、ちいさな救いが…
この時代「あいびき」って、そこまで叩かれるような行為だったのですかね…。だとしたら、初恋に浮かれてまわりが見えなくなっていた珠もちょっと不用意だったのかもしれない。噂話に傷ついても、珠はじっと耐えるしかありません。
そんなある日、珠は元夫(と言っても結婚生活3日だけど…)の弟である、保と偶然に再会。京都の学校に通っている保は、岩国に一週間だけ帰省していたところ。地元を離れていたためか、珠の噂話について知らないようす。世間のノイズに左右されずにまっすぐに向き合ってくれる保に、縮こまっていた珠の心も楽になっていくようです。「話相手がいなくて退屈しとったんじゃ」。保が帰省しているあいだ、ふたりはたびたび会って世間話をすることになりました。
いや〜しばらく地元を離れていたとはいえ、町じゅう持ちきりの噂が耳に入ってこないなんてことある? 話し相手がいない…保、友達いないの?と少し疑問を抱いていたところ、すぐに答え合わせがありましたよ。保は噂を知っていたけれど、そのうえで知らないふりをして珠の味方になっていてくれたのです。「話し相手がいなくて」も、珠に気を遣わせないための嘘だったのかもしれませんね。保、なんていいやつなんだ(涙)。
でもちょっと待ってくださいよ、元・兄嫁、しかも3日だけの縁でそこまで真摯に向き合えます? いい人ではあるのだろうけど、いくらなんでもコミュ力強すぎません? これは珠に惚れていないと説明がつかないでしょう、と恋愛脳・ドラ子は思っていたのですが…真相はのちほど!
「負けてもええ」。大切な家族がいる故郷を、離れる決意
さて、噂に振り回される日々は季節がめぐっても続き、終わる気配がありません。その矛先は家族にまで向けられます。中学生の守、まだ幼い俊子と英夫にまで…珠の気持ちは暗くなるばかりです。
これ以上、珠に傷ついてほしくない。幸せでいてほしい──そんな思いから母・リョウは、岩国を出て東京へ行くように勧めます。東京帝大に進学した保の「世話係」として。
家族と離れたくない。このまま世間の風当たりから逃げたくない。はじめは頑なだった珠も、「負けてもええじゃないの。これからは自分のために生きんさい」そんな母の言葉に、東京行きを決心します。生きていれば、何度だってやり直せるのだから。
ここで弟の守が「東京なんぞ行かんでくれえ!」と涙ながらに珠を引き止めるシーンがじつに胸を打ちます。後ろ指をさされても、つらい思いをしても、「姉様のせいじゃなんて思っちょらん」「姉様といっしょにおりたかったんじゃ」…。最近反抗期でいつもダルそうな態度のあの守が…(涙)。父・清治の暴挙にも共に耐え、幼いころから支え合ってきた姉と弟。それでも、彼女は行くのです。「ごめん。このまま岩国におっても、うずくまったままなんよ」。
止まらない涙とともに「わかっちょる…」と姉の決意を尊重する守。最後には、東京へ旅立つ珠をしっかりと応援してくれました。
大切な家族がいる岩国は、珠にとっても離れがたい場所です。何があろうともここにいたかった──その気持ちは、きっと彼女も同じだったのではないかな。「幸せじゃった。しんどい時もあったけど、幸せじゃった」。そんな岩国での日々にさよならを告げ、珠は胸を張って、新たな人生を始めるのです。
やっぱり惚れてたじゃん! ひとつ屋根の下、ラブストーリーが始まるのか!?
ちなみに、なぜ「保の世話係」が降って湧いたかといいますと、保の母(つまり元夫の母)がノリノリで持ってきたお話だったんですよね。岩国にいても噂に晒されてかわいそうだし、親元離れて暮らす保にとってもありがたいし、ゆくゆくは一緒になってもいいからさ〜みたいな。お、おう…さすがにちょっとぶっとんでるな。珠もリョウも最初は断ったのだけど、珠が一歩踏み出すために、頼れるところはどんどん頼ってこ!というところかな。
そして保的には、実は願ったり叶ったり。彼はやっぱり珠に惚れていました!! だよね〜。当の珠はまだそんな気持ちになれないようですが、保は自身の想いを東京の下宿で堂々告白。まずは兄妹と偽ってひとつ屋根の下での暮らしがスタート。いや、すぐバレません? また変な噂流れません?? ていうかもともと従兄弟同士なんだからそう言えばよくない?? いろいろ心配だけど、来週からは新章・東京編に突入です!
珠の新たな人生が始まる! 次週は「狂騒で、東京」
東京はたくさんの人、人、人。誰も珠のことを知らないし、見ていない。もう小さくならなくていいのです。そしてたまたま通りがかった書店で、ふたたび「文学」と出会う珠。広くなった世界で、これからさまざまな出会いが、彼女を待ち受けています。
そんなこんなで次週サブタイトルは「狂騒で、東京」。珠ちゃん、あんまり羽目をはずさないでね!
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後にNHK ONEでじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。『ひよっこ』再放送にも毎日ワクワク!



