朝ドラ『ブラッサム』1週間の見どころと感想をレポ
2026年後期朝ドラ『ブラッサム』がスタートしました! ヒロイン・葉野珠(はの たま)を演じるのは石橋静河さん。激動の明治・大正・昭和を駆け抜けた作家・宇野千代さんをモデルに、苦難のなかで恋と創作に突き進む女性の人生を描きます。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、今作も毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
第1週『私の父、私の母』を振り返ります

恋多きヒロイン・珠♡ その自由な生き方を見届けたい!
始まりました、『ブラッサム』! ヒロイン・珠のモデルは作家の宇野千代さん。数々の男性との恋愛遍歴で知られ、4回の結婚&離婚歴を持つという「恋多き女性」です。なかなか破天荒な展開になりそうでちょっぴりハラハラしますね。
近年の朝ドラでは、恋愛や結婚が必ずしも人生に不可欠ではない、というメッセージを感じることも増えました。たとえば前作『風、薫る』では女性同士で手をとりあって家族になる物語が描かれています。今作のヒロイン・珠もまた、新時代の朝ドラヒロインになりそうな予感!? 結婚しないヒロインもいれば、何度も結婚離婚をくりかえすヒロインがいてもいいじゃない(もちろん、結婚して幸せになるヒロインもね!)。
とはいえ珠の生きた時代は女性の自由がほとんどなかったころ。そんな時代に作家として自立し、自由恋愛にひた走る生き方は、逆風もすごかったのではないでしょうか。けれども彼女が簡単にはへこたれそうもない、芯の強いヒロインであることが、ひしひしと感じられる第1週でした!
朝ドラ名物・ダメ父登場! 清治のいる家、しんどいです
物語のはじまりは、「将来のヒロインの姿」からスタート。昭和57年、85歳の珠を演じる加賀まりこさんがとってもキュートです♡ こうやって最初に、作家として大成した未来を見せてくれるのは助かるんだよな。将来の成功が約束されていれば、本編でどんなにしんどい展開が続いても視聴者は耐えられるというものです(涙)。
そして時は明治41年にさかのぼり、山口県・岩国に暮らす少女時代の珠の物語へ。早速なんですけども、ヒロインを襲う理不尽展開が待っていました。朝ドラ名物・ダメ父の登場です。渡部篤郎さん演じる、清治。過去作でも数々のダメ親父が登場してきましたが、ドラ子的TOP3に入りそうなレベルです(暫定1位は『おちょやん』テルヲ)。
まず清治、働きもせず本家から毎月受け取る給金で暮らしています。そのうえ気難しく、ふとしたことでキレる。街で馬を乗り回し、カナリアだけに心を許す男。そして娘の珠を夜中にお使いに出したり、その時にわざわざ難しい注文をつけたり…。何かといわゆる「試し行為」のようなこともしてくるんだよね。NHKの公式サイトでは「しつけに厳しい父の清治」とマイルドに紹介されていましたが、現代の価値観で考えたら普通にモラハラなのでは? 清治が家にいると家族に緊張感が漂う感じ、生々しくてしんどいです。
これに対し、継母・リョウはとても優しく、血のつながらない娘である珠のことも大切にしてくれているのが救い。でも清治がブチキレて珠を蔵に閉じ込めるのを止めることはできないというのが、これまたリアルでつらい。
ヒロイン・珠の芯の強さが胸を打つ!
けれども、蔵に閉じ込められた珠は悲しむどころか「天国じゃ!」と大喜びするわけですよ。蔵にある小説や新聞を読むことが、珠の何よりの楽しみ。つらい現実を忘れるため…とか、そういう姿勢ではなく、とにかく「やったー!」って感じなんです。どんなときにも自分の「楽しい」を見つけ出す珠の才能。さっそく抜群の主人公力を見せてくれます。
そして第1週後半、リョウが清治の大切にしているカナリアを誤って逃してしまいます。清治はこれ以上ないキレっぷりでリョウを追い詰め、さすがの彼女も実家に逃げ帰ってしまう…という展開。またこのとき清治が珠に「お前だけ、置いていかれてしもうたの」と意地悪く言うのが、とにかくムカつくんですよ!!
で、母に戻ってきてもらうため、父の怒りをしずめるべく珠は逃げたカナリアを探しにいくのですが…。このときの珠の強さが、実にグッとくるんです。きっと焦りや悲しみ、心の傷もあるはずなのに、あふれだすのは「絶対に大好きな母を連れ戻すんだ」という強い意志。誰かに言われたからではなく、自分がそうしたいから、という気持ちが伝わってきます。
なんて芯の強い子なんだ珠! そして問題解決のために、まず行動できる勇敢さ。きっとこの子はこれからも、あらゆる困難に立ち向かっていくのだろう、そんな説得力。ドラマや映画に叱責系モラハラ父が登場すると、ドラ子はその衝撃にひっぱられて落ち込んでしまうことも多々あるのですが…珠の清々しい強さに、「この子なら大丈夫だ」と勇気をもらえた気分でした。
結局カナリアを捕まえることはできなかったけれど、ラスボスのようににじりよる清治に啖呵を切る珠にはしびれました。 「カナリアは戻らん。もう、カナリアなんかどうでもええ! お願いします! お母を許してください! みんなでここにおらせてください! うちはここにおりたい。うちにはここしかないんです!」
その姿に何を思ったか、「好きにせい」と清治。ほっとした珠はリョウと抱き合って涙を流し…時は5年後。次週からは、女学生になった珠の日々が始まります。
次週は「父からの、解放」
しかし、清治の不条理な厳しさにはどこか心の闇も感じますよね。身近な人を試すような行為といい、珠の懇願を受けてまんざらでもなさそうな表情といい…尊大な態度をとっても離れていかない家族(時代背景もあるし、簡単には「離れられない」が正しい気もするけど)の存在を確かめることで、心の安定をはかっているようにも見える。彼が口にした「窮屈」という言葉もひとつのキーワードのような気がしますし、清治がどうしてあんな人間になってしまったのか、今後さりげなく答え合わせがあったらうれしいな。
そして珠は清治のことが「嫌いではない」んだよね。ひとりカナリアを愛でるどこかもの悲しい姿を見て、「そこに放蕩無頼の徒は見当たりませんでした」と作文に綴る(文才ありすぎ!!)。父のことを相応に恐れながら、その別の顔も見つめている、彼女の感受性にもうなります。
ダメ父の衝撃がすごくて第1週から清治の話ばかりしてしまいました…。だけど第2週でさっそく「父からの、解放」!? どうなる珠、どうなる清治!
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後にNHK ONEでじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。『ひよっこ』再放送にも毎日ワクワク!



