朝ドラ『風、薫る』1週間の見どころと感想をレポ
朝ドラ『風、薫る』、ご覧になられてますか? 明治時代の日本で看護の道を切り拓いた、一ノ瀬りんと大家直美の物語。見上愛さん、上坂樹里さんのダブル主演です。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
先週のレビューはこちら:「夢追い人と支える恋人」はやっぱり切ない? 突然の別れ、そして2年後…|『風、薫る』第21週
第22週「明るい未来」を振り返ります
日清戦争が開戦。連戦連勝の報に人々は沸くものの、直美は浮かない表情です。夫の吾郎は軍人であり、いつ戦地へ出征してもおかしくない。叶うなら、ただおだやかな日常が続いてほしいけれど…。そんななか、直美が新たな命を授かったことがわかります。

親の顔を知らずに育った直美が、母になる
生まれてすぐに捨てられ、名前をつけてもらうことすらできなかった直美。今でこそ思慮深い大人の女性になったものの、出自のために苦しんだ記憶はなかなか消えるものではないと思います。妊娠に気づいたとき、うれしいような、戸惑うような、複雑な表情を見せるのが切ない。私がお母さんになれるのだろうか…そんな不安がひしひしと伝わってきます。夫の吾郎にもなかなか言い出すことができません。
このとき、直美の妊娠にりんのほうがウキウキしているのがちょっと面白いです。でも、何の迷いもなく「家族が増える=うれしい!」を伝えてくれる彼女の存在は、つい不安になってしまう直美の救いにもなったのではないかな。ずっと近くにいてくれた人なのだから、尚更です。
「いいお母さんになると思う」。りんの言葉に背中を押され、ようやく吾郎にも報告。喜ぶ吾郎を見て、直美も幸せそうです。ここでただただはしゃぐわけではなくて、「よかった。直美がうれしそうで」と言える吾郎が尊い。直美がこれまで抱えてきた苦しみや悲しみを、吾郎はしっかり理解して受け止めているのだと、その言葉だけでわかります。いい人と結婚できたんだね、直美…(涙)。だからこそ、やがて訪れるであろう吾郎の出征を想像するとつらすぎる!!
吾郎、生きて帰ってきて! 戦争は“明るい未来”を奪う
もう吾郎出征しないで家にいてくれ〜というドラ子の願いもむなしく、いよいよその時はやってきました。もうすぐ生まれる子に「明(あきら)」という名前を託して吾郎は旅立ちます。家族3人で暮らす、“明るい未来”を信じて…。
その1か月後に明は無事誕生。「名前」も直美にとってとても大きくて、大切なものです。「私、子どもに名前をつけられた」。かつて親から名前をもらえなかった彼女の傷が、自然と洗われていくような。「名前は親から子への最初のプレゼント」という説もありますが、その瞬間に親のほうが大きなものを受け取っていることもあるのだと思います。そして他ならぬ吾郎とだから、直美はこの未来を選ぶことができたのだなあ。
それゆえに吾郎出征の現実がしんどくてもう…。これだけ退場フラグが立つとさ、裏をかいて生存エンドの可能性もないですか? どうにかなりませんか?? 直美の悲しい顔を見たくないよ〜! そんな思いで迎えた金曜日。届いたのは、吾郎戦死のしらせでした。日清戦争が終結して1か月経ったころのことでした。そ、そんな…。
吾郎が遺した第二ボタンに、涙が止まらない
そして、偶然にも瀕死の吾郎の看護を担当することになったのが、看護学校同期の多江でした。多江は直美のもとを訪ねて、彼の最期の瞬間を伝えます。それまで気丈にふるまっていた直美が大粒の涙を流す姿、病床の吾郎がこぼした「会いたかったなあ…」の言葉。苦しくて悲しくて、観ているこちらも涙が止まりません。
多江が直美に渡したのは、吾郎から託された軍服のボタン。吾郎の第二ボタンはなぜかすぐ取れちゃうんですが、その度に直美が付け直してあげるんですよね。文句を言いつつも、真剣にボタンをつけてくれる直美。その姿が好きで、実は吾郎はわざとボタンを引っ張ってとれるようにしていたのです。
嗚咽をもらし、涙を流しながら、彼のいない家でひとり、遺品の軍服にボタンを付け直す直美。──記憶の中の吾郎のまなざしは、ただただ優しくて、あたたかかった。マッチ、ボタン、彼がよく歌っていた“埴生の宿”。吾郎のいない世界で、彼が遺した思い出を抱いて、これからも直美は生きていくのでしょう。
虎太郎は無事だったけれど…次週は「歩々清風」
いつかはこうなるとは思っていたけれど、こんなにも早くお別れが来るだなんて、ドラ子の気持ちも追いつかないです。近ごろ「別れ」が続いている今作ですが、次週ではいくつもの「再会」が描かれそうです。ドラ子の推し・寛太(待ってた!)、「突然の中村倫也」こと厚生省の柳生、戦地帰りと思われる虎太郎(何やら様子が心配)、そして先週りんとの別れを選んだシマケンまで! 時が移ろえば人は変わるもの。うれしい再会になるといいのですが…(寛太は変わってなさそうです)。
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後にNHK ONEでじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。『ひよっこ』再放送にもワクワク!



