朝ドラ『風、薫る』1週間の見どころと感想をレポ
朝ドラ『風、薫る』、ご覧になられてますか? 明治時代の日本で看護の道を切り拓いた、一ノ瀬りんと大家直美の物語。見上愛さん、上坂樹里さんのダブル主演です。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
先週のレビューはこちら:自由を手に入れた元女郎の人生は…思わぬ再会で巡り合った「自分の道」|『風、薫る』第23週
第24週「環」を振り返ります
今週はサブタイトルのとおり、りんの娘・環が主役です。女学校の卒業を控え、将来について悩む環。10代の胸の内には、いろいろと思うところがあるようです。そんななか、りんをめぐるふたりの男が再登場! シマケンと、元夫・亀吉。彼らとの対話を通じて、環が決めた答えとは。

突然明らかになった環の「絵への想い」に、観ているこちらも反省
環、実は絵を描くのが好きで、すでにかなりの腕前を持つことが判明。そういえば、一ノ瀬家の壁にもやたら上手な絵が貼ってあった! 幼い環が描いた家族の似顔絵に混じって貼られていたので、あれ誰が描いたんだろう?って思っていたんですよ。成長した環だったのね。さりげなすぎる伏線。
そういう「匂わせ」はあったものの、突然明らかになった環の絵の実力については、ちょっと唐突感も否めなかったかもしれません。「え、そうだったの? 今までそんな描写あった!?」みたいな。けれども…それこそが、今週のテーマの本質のような気もする。
環は幼少のころからとってもいい子で聞き分けもよく、仕事が忙しくて不在がちな母に文句を言うこともありませんでしたよね。成長して女学生になった今もそれは変わらず、しっかりもので気遣いもできる、いわば「手のかからない子」。一方で、親を心配させたくない、がっかりさせたくないゆえに、言えなかった本心もたくさんあったのだと思います。
かつて環がシマケンからもらった「つまらない時、寂しい時は好きなことをしたらいい」という言葉。だからずっと好きな「絵」に夢中になっていたと明かす環。それって、本当はずっとずっと寂しかったってことなんですよね(涙)。観ているこちらも、気づいてあげられなくてごめんな…という気持ちです。
かつて夢を諦めたシマケンだからこそ…
いい子でいるために本心を秘めているうちに、自分の気持ちすらはっきりわからないことに気づく環。女学校を卒業したあとどうしたいか、なかなか決められません。同級生のように嫁ぎ先を探す? 母と同じ看護の道? 絵は好きだけれど、ただ「好き」というだけで仕事にしたいわけではない…と思っていたのですが。
悩める環に、思いがけず再会したシマケンがいい仕事をします。かつて小説家を目指していたシマケンは、実家を支えるために郵便配達夫に。身を粉にして働き、甥っ子の進学に伴い東京に戻ってきていました。幼いころから彼女の成長を見守っていた「おじさん」であり、創作に理解のあるシマケン。環が秘めていた情熱に、誰よりも寄り添ってくれたのです。こんなふうに、家族でも先生でもない第3の大人に真剣に話をきいてもらう機会って貴重(チュウもだね!)。「やっぱり絵を仕事にしたい」と、環は本当の気持ちに気づくのでした。
モラハラ元夫・亀吉がまさかの再登場!
そしてもうひとつの再会。りんの元夫で環の父、亀吉がまさかの再登場! りんの活躍は亀吉の暮らす那須まで届いているようで、仕事で東京を訪れた流れで様子を見にきたのでした。かつてはモラハラの極みだった亀吉、歳をとって酒もやめて、多少は丸くなったように見えます。あんなに嫌なやつだったのに何を今更…という呆れと、人間いつでも変われるから…という希望がドラ子のなかでせめぎ合ってしまうな。ただ、亀吉と亡くなった貞(環の祖母)が、会えない環のことをずっと想っていたことは確か。だからといっていろいろ許されるわけじゃないけど、その事実を環本人がどう捉えるかは、彼女が決めることですからね。
亀吉とちゃんと話をしたいと、ふたりで会うことを決めた環。会うのは3歳以来の父との会話はぎこちなく…それでも、亀吉はできる限り誠実に向き合ってくれたように思います。環の様子を見て、亀吉自身も思うところがあったよう。
「お前の母ちゃんは自分勝手な女だ。気にすんな。母さん見習って、わがままに生きろよ」。環の背中を押すだけでなく、遠回しにりんの生き方も肯定してくれたような、不器用な亀吉のエール。
そして、その後再会したりん(この時のふたりの気まずい空気、最高)には「(環を)ああやって贅沢に悩ませるのがおめえの望みだったんじゃねえのけ?」「看護婦なら、患者と同じくれえ、環のこと見てやれ」。まさか亀吉が母娘の力になる日が来るなんてなあ…。環とりんはようやく将来のことを真剣に話し合い、「絵を仕事にする」夢を追いかけることを決めるのでした。がんばれ環!
縁とはめぐるもの。次週は「風媒花(ふうばいか)」
亀吉の「贅沢に悩ませる」という言葉も象徴的ですが、今週は「夢見る自由」に伴う苦しみが描かれた週でもありました。選択肢があることは幸福だけれど、「選ぶ」ことには同時に苦しさもある。小説家を目指すも、結局何者にもなれない自分が苦しかったシマケンは、「家族を養う」という縛りが生まれたことでかえって楽になれた。そういうこともある。「絵描きになる」という目標を選んだ環も、今後何度でも悩むことがあるでしょうが…りんと直美のように、そのたび立ち上がって壁をぶち破ってほしいなあ。
サブタイトルの「環」は、「めぐりあわせ」も意味していると思っています。シマケン、亀吉、一度は離れ離れになった人が、めぐりめぐってまた力を貸してくれた。明光新聞社の綿貫編集長もそうですね。次週も、懐かしいあの人が登場する予感です。
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後にNHK ONEでじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。『ひよっこ』再放送にも毎日ワクワク!



