朝ドラ『風、薫る』1週間の見どころと感想をレポ
朝ドラ『風、薫る』、ご覧になられてますか? 明治時代の日本で看護の道を切り拓いた、一ノ瀬りんと大家直美の物語。見上愛さん、上坂樹里さんのダブル主演です。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
先週のレビューはこちら:“モラハラ元夫”がまさかの再登場! 娘への意外な言葉に胸がざわつく|『風、薫る』第24週
第25週「風媒花(ふうばいか)」を振り返ります
『風、薫る』いよいよ残り2週です。朝ドラウォッチャーとしては、毎度「もうすぐ終わっちゃう〜」とちょっぴり寂しくなる時期ですね…。物語は、看護の「未来」へと動き出します。そして、朝ドラ終盤名物・懐かしい顔ぶれの再登場も! 重ねた日々のその先で、りんと直美、ふたりのヒロインが進む道を最後まで見守っていきましょう。

11年目の再会。つらい挫折を経てなお、折れていなかった思い
りん&直美の「恵風看護婦会」に、懐かしいあの人がやってきました! かつて帝国医大病院でともに働いた、看病婦のツヤです。元気そうでドラ子もうれしい。あの頃、看病婦から看護婦へのステップアップをめざして懸命に勉強するも、結果として病院を辞めることになってしまった彼女。責任を感じたりんが挫折に向かっていくきっかけのひとつにもなり、第13週は本当にしんどい週だったな…としみじみ思い出します。
あれから11年。ツヤは、看護婦になる夢を諦めていませんでした。あの日、りんから託された本『NOTES OF NUSING』を必死に読み解き、勉強を続けていたというではないですか。住み込みで女中の仕事をしながら、独学で。全編英語のうえ内容も難解なこの本。相当な努力だったはず。
でもツヤは言うのです。「“この本を読めたら、いつか”って。ずっと私のお守りでした。この本を読んでいる時間だけは、楽しかった」。あんなにもつらく、厳しい現実にぶつかってなお、看護婦の勉強をするのが「楽しかった」。その言葉に、見ているこちらも救われた気持ちになります。
誰かのひたむきさが、別の誰かの背中を押していく
ツヤが恵風看護婦会を訪ねた目的はもちろん、「ここで看護婦として働かせてほしい」という直談判。りんと直美は考えたすえ、彼女を受け入れてトレインドナースに育成することを決めるのでした。
ツヤはとても勉強熱心で、看護婦の知識をグングン吸収していきます。そんな彼女の姿を通して、周囲の変化も描かれたのにはグッときました。読み書きもおぼつかない自分をずっと卑下していたセツが、努力家のツヤに触発されて看護婦の勉強を始めたり、虎太郎は面倒見よく薬について教えてあげたり。
かつてりんからツヤへ渡った学びへの思いが、今度はツヤからセツへ。風に運ばれた花粉が別の場所で花を咲かせるように、誰かの頑張りがまた別の誰かを動かしていく。今週の「風媒花」というタイトルにも重なるようです。
ドラ子的には虎太郎の変化がかなり良かった。彼もまた田舎から上京&血のにじむような努力で製薬会社で出世した男ですが、それゆえに“努力厨”というか意識高い系というか…いきすぎて、以前は少々「努力しないやつ許さない」くらいのレベルになっていて。けれど今では、「努力する人に弱くてね〜」と、頑張る人に寄り添い応援できる人になりました。サブキャラも含めて登場人物の「成熟」に心震える、これも長期放送の朝ドラだからこその醍醐味です!
ツヤの教育が足掛かりになったのでしょう、恵風看護婦会は「看護婦養成所」としても本格的に動き出します。時は明治30年ごろ、法の整備など「看護」を取り巻く環境が大きく変わりつつあるとき。この波にのって、りんと直美の冒険がついに大きな実をむすぶのでしょうか!?
極限で交わされる本音。シマケン、生きるのを諦めるな!
そして今週ラスト、りんがシマケンを看護するシーンが大きな山場に。ふたりは元恋人同士でお互いにどこか気まずい思いを抱えているわけですが、りんは自ら看護を志願するし、シマケンの視線は終始りんに注がれているし、もう腹割って話そうー!?とドラ子の野次も飛びますわ。シマケンは胃がんを患っていて、術後の療養のため、帝国医大病院から恵風看護婦会に看護の依頼が入ったのでした。
作中では爆速で時が過ぎているので、シマケンが東京に戻って以来ふたりが会うのはけっこう久しぶりなんだよね。甥の文四朗も交えた会話のなかから、彼が新しい暮らしにすっかり馴染んでいることが伝わってきます。「魚屋さんが時々おまけしてくれる」というエピソードは、シマケンが日々買い物をして、料理をして、街の人と仲良くなって、ちゃんと「生活」している証拠。今作でたびたび見られる、こういうさりげない描写がけっこう好きです。
状態が悪化したシマケンをりんが鼓舞するくだりは、今週のハイライトでした。息も絶え絶えのなか、まるであふれ出すようにあの日言えなかった本音を吐露するシマケン。「なんで…。(一緒に)来て欲しかった。連れて行きたかった。離したくなかった。手を…」いまさらこういうタイミングで本当のこと言うなよ〜ずるいよ〜と思っていたらりんが言ってくれました。「なんで、は私のほうです。なんで言ってくれなかったんですか? ずるい!」「もっとがんばって生きて。生きてください!」
あの頃と立場が変わっても、大切な人。わだかまりがないと言ったらきっと嘘になるけれど…ただ生きていてほしい。りんの懸命な看護とまっすぐな思いが届いたのか、シマケンは体を持ち直し、無事朝を迎えるのでした。よかったー!!
次週、いよいよ最終週「道標(みちしるべ)」!
いやしかし、経営に看護の現場に新人教育、さらには養成所運営と直美が忙しすぎでは?と一瞬不安になりますが、彼女は超有能なのできっと大丈夫なのでしょう! 起業に成功する人はたいてい体力お化けと相場が決まっていますからね(個人の感想です)。さて、今週はツヤだけでなく、元看護学生のヒデや外科医の藤田先生も再登場してテンション上がりました。藤田先生はずいぶん落ち着いた雰囲気になって、ヒデはなんと医者になっていましたね。
そういえばヒデの台詞が引っかかっていて。「突然の中村倫也」こと柳生書記官について「公衆衛生に関してはいつも熱心ですけどね。奥様のこともあるし…」という言葉。柳生の奥様についてこれまでなんにも描写なかったよなーと。ドラ子の予想は、「柳生さんは最愛の妻をコロリで亡くしたことで今の仕事を志した」に一票。りんと同じだったんだね…的な。その答えはきっと来週明らかになるはず!
次週いよいよ最終週、震えて待ちます。ラストにしてサブタイが「道標(みちしるべ)」、エモいですね…。
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後にNHK ONEでじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。『ひよっこ』再放送にも毎日ワクワク!



