朝ドラ『ブラッサム』1週間の見どころと感想をレポ
みなさん、朝ドラ『ブラッサム』ご覧になられていますか? ヒロイン・葉野珠(はの たま)を演じるのは石橋静河さん。激動の明治・大正・昭和を駆け抜けた作家・宇野千代さんをモデルに、苦難のなかで恋と創作に突き進む女性の人生を描きます。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
第2週『父からの、解放』を振り返ります
先週はヒロイン・珠の少女時代が描かれ、彼女の芯の強さや豊かな文才が垣間見えました。そして放蕩無頼で理不尽に厳しい父・清治のインパクトがすさまじかった。時は流れ珠は女学生に。物語を作って、幼い弟・妹に聞かせるのが習慣です。清治はというと相変わらず「ダメ父」のようですが、少しずつ、何かが変化しているのも感じます。

暴君っぷりは健在の父・清治。でもなんだか元気ない?
5年の月日が経ったけれど、清治の暴君っぷりは健在のようす。自宅の戸がガラガラッ!と音をたてて開いたときに、家族一同「ビクッ」とする→帰宅したのは弟・守でみんなホッとする流れがつらい。直接的な叱責描写がなくても、清治の存在が日頃から家族に不安を与えていることが伝わってきます。今週も街で暴れて警察の世話になったり、珠の縁談を勝手に決めてきたりとやりたい放題。珠もすっかり呆れ顔です。
でもなんだか、清治元気ない? どこかやつれたように見えるし、5年前と比べてちょっと覇気がないような気もします。明らかに体調が悪いのではないか。「朝ドラあるある」として、ダメ父ほど長生きしてヒロインの行手を阻みがち、というのがありますが…彼の暴れっぷりをもっと見たいような、見たくないような、でも今週のサブタイトルは「父からの、解放」だし。どうなっちゃうの清治!?
そして、父の言いつけ通り、嫁いだ珠は…。色町通いに夢中で珠にまったく興味のない旦那さまに、「やめじゃ。」とたった3日で離縁となったのでした。この思い切りのよさこそ、珠らしさ! 先週の少女時代でも描かれていましたが、土壇場で発揮される彼女の迷いのなさにはスカッとさせられます。
芯は強いが迷いも不安もある。女学生・珠の等身大の魅力
しかしながら、珠ってけっして自分のすべてに自信があるようなタイプじゃないんですよね。今週は女学校の仲良し4人組で初めての同人誌『黎明』を作る展開もひとつのハイライトでした。のちに作家となる珠にとって、「原体験」にもなるシーンですが、発案者は友人の忍。珠は意外にも自分にできるかな?と少し気後れしていて。幼いころから明らかな文才を持ちながら、それが自分の武器になると自覚していない。意識が高く、主張もしっかり持っている忍に対し、珠はどこか自分の気持ちを掴みきれていないのも、印象的です。
う〜ん、あのワンマンな父親ですから、「自分の主張<父親の決定」が珠の日常となり、自分が何を望むのか、じっくり考える機会が少なかったのかも…と深読みしてみたり。そして珠は、なぜ父が放蕩無頼を貫き続けるのか、その理由を「わかりたい」と思っているようすもありました。身近な存在であるはずの父の気持ちがわからない。その延長線上に、「自分のこともよくわからない」がモヤモヤと膨らんでいくことも、あるのかもしれない。
いずれにせよ、若い珠は芯の強さと行動力を持ちながら、等身大の迷いや自信のなさも抱えているヒロイン。それもまた、彼女の魅力なのだとドラ子は思います。
父の本心はわからないまま…。清治の死が残したもの
そして…「解放」は、突然やってきました。ドラ子の予感は当たり、父・清治は病に臥せるように…。目に見えて弱っているのに、怒鳴ったり、暴れたり、と相変わらずの清治と向き合う家族たちの切実な、複雑な表情といったら。そんなある日、彼の前に死神のように現れた幻──もうひとりの清治。
「みすぼらしい」と追い詰めてくる幻に、錯乱した清治は街へ飛び出し…緊迫の大立ち回りのあと、止めにきた珠に気づいて正気を取り戻します。「わしは、結局何も…」「死にとうない。死にとうない…」そんな言葉を珠に残して、ほどなく父は亡くなるのでした。
娘に気づいた瞬間の、「なんじゃ、珠か」と力の抜けたような微笑みにはたまらない気持ちになりました。いつも退屈を抱えて、何かに不満げだった清治。家族を泣かせても、近所の人に後ろ指をさされても、やりたいようにやって、それでもなお満たされることのなかった清治。結局、最期の最期まで彼の本心は何ひとつわからなかった。珠も、視聴者も。親子のわだかまりを乗り越える展開があればきっと感動的だったでしょう。けれども、実際はこんなふうに「わからない」まま別れが訪れることもある。
ただ、清治のような人がいた、という事実は珠のなかに残り続ける。最期まで満足せずに逝った父。彼は何を求めていたのか、では自分にとって渇望するものとは何か? そういう問いを立てるきっかけになるのだと思う。それは物語を作る人にとって、とても大切な視点なのではないでしょうか。
父の死を機に、珠は今までよくわかっていなかった「自分の気持ち」をようやく掴みます。「書きたい」。学友たちと同人誌『黎明』第二号を発行しようと自ら提案し、ふたたび創作に打ち込むことを決めるのでした。
父からの「解放」で少し吹っ切れた珠。次週は「化粧と、初恋」です!
清治は本当〜に嫌な父親でしたが、奥行きを想像したくなる魅力あるヒールでしたね。弟・清重(珠から見たら叔父)との会話のなかで、清治自身も父親に何か思うところがあるようなようすも示唆されていましたが、その詳細はわからないまま物語は続く。このあえて残された余白にうなります。それはきっと、ヒロインの珠が見ている景色でもあると思うから。
さて、次週のサブタイトルは「化粧と、初恋」。恋多きヒロイン、早速の初恋ですよ〜!
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後にNHK ONEでじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。『ひよっこ』再放送にも毎日ワクワク!



