朝ドラ『あんぱん』を語りたい!今週の見どころと感想をレポ
朝ドラ『あんぱん』観てますか? やなせたかし先生の妻・小松暢さんをモデルに、“逆転しない正義” 『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語を描くドラマ。ヒロインの「朝田のぶ」を今田美桜さん、やなせ先生をモデルにした「柳井嵩」を北村匠海さんが演じます。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、今週の『あんぱん』のツボを自由きままに語りたいと思います!
◆先週のレビューはこちら:トレンディドラマ始まった!? 突如にじみでるしっとりムード|『あんぱん』第22週
嵩が手がけたラジオドラマ『やさしいライオン』がオンエアされました。犬のお母さんに育てられたライオンの物語。幼い嵩を捨てた母・登美子は、この物語を聴いて何を思うのか…。そして「代表作」がないことがコンプレックスの嵩は、漫画で評価されるために一歩踏み出します!
第23週「ぼくらは無力だけれど」を振り返ります
嵩、漫画家生命をかけて作品を懸賞に応募。締切ぎりぎりまで生みの苦しみと戦いながら、渾身の作品「ボオ氏」でめでたく大賞を受賞! その折々にのぶちゃんの支えがありました。夫婦として、すっかりいいコンビになっているふたりです。
そしてのぶ&嵩+羽多子さんが暮らすマンションの下の階に蘭子がお引っ越し。のぶ家はそこそこの部屋数があるけれど、下のフロアは単身者向けなのか? あと蘭子もマンション買ったのか? と細かいことがなんだか気になるけれど、きっとセットの都合…ごほんごほん。嵩が購入して蘭子のために賃貸に出しているに一票。
さらに…嵩がその才能に嫉妬する存在・手嶌治虫が家までやってきた! しかも単身! 訪問の目的は、嵩への仕事依頼。超多忙なんだしマネージャーとかいないの? それだけ、嵩の才能に本気ということでしょうか。“漫画の神様”と仕事をすることになり、嵩もちょっぴり夢心地。どんな作品ができあがるかは、まだまだお楽しみです。
朝ドラウォッチャーの「今週のツボ」

1. ドラ子が思わず「八木!(呼び捨て)」と叫んだ問題のシーン
先週に引き続き、蘭子&八木さんの恋模様(?)になかなか決着がつきません! どう考えてもお互いに惹かれあっている様子ですが、蘭子は戦死した想い人・豪ちゃんのことがひっかかっているぽい。「ぽい」というのは、周りの人がそう言ってるばかりで蘭子自身がどう思っているのか一向に語られないためです。みんなエスパーなん? 確かに以前「もう恋はしない」「豪ちゃんに一生分の恋をした」と本人も言っていたけれど、最近はどんな心境なのかなあ。
それにしても、蘭子と八木さんのシーンになると、やっぱりいちいち色っぽい雰囲気になる(笑)。雨音、雷鳴、見つめ合うふたり…さらになんですか? あの、傘を持つ蘭子の手を八木さんがさわさわするくだりは!! やがてカメラは俯瞰になり、ゆらゆら揺れる傘の下でふたりがどんなやりとりをしているかは、視聴者にはわからず。なんかエロ…すみません、恥ずかしくなってのたうちまわるドラ子でした。
そういや恋愛脳・メイコは、「蘭子姉ちゃんに新しい恋をして、幸せになってほしい」と言っていたけれど、幸せになるために恋愛って必ずしも必要なのか?ともドラ子は思う。そのあたりは、まだちょっと引っかかるかな〜。なので、ふたりが恋愛じゃなくバディという関係を選ぶなら、それはそれで全然アリです。
2. こじれた親子関係に第三者が安易に手を出しちゃだめ
こちらもなかなか引っ張りますね。嵩と、そのお騒がせ母・登美子との関係性も先が見えず。のぶちゃんはふたりに「仲直り」してほしいと言うけれど、登美子はいわゆる“毒親”なので…。単なる親子喧嘩とは違うのだから、そいつぁ難しいんじゃないかな。こういうのは本人たちの気持ちが変わるまでそっとしておくしかないのです。一生変わらない可能性だってあるでしょう。親子関係がとっても良好な朝田家で生まれ育ったのぶちゃんには、その感覚はわからないのかもしれない。
で、テコ入れのために羽多子さんとともに登美子を呼び出すわけですが。いや〜〜親子の確執に第三者が手を出すのはものすごく悪手だぜ…とヒヤヒヤしていたら、案の定、嵩の作品をディスりまくる登美子に羽多子さんもブチギレ。「私の期待を裏切ってばかりだわ」にはドラ子もカチンときましたわ。嵩は、あなたを満足させるために生まれてきたわけじゃありませんから!!
温厚な羽多子さんのキレっぷり、全然負けずに応戦する登美子、母ふたりのバトルはたいへんヒリヒリしました。最後にはお互い笑ってたけど、本心が見えなくてめっちゃ怖かった…。口元に笑みを浮かべながらマンションを後にしていった登美子、いったいどんな胸の内だったの?
でもでも、手嶌治虫が指摘するように、嵩は自身の描くキャラクターに登美子を投影している時があるんだよね。本人も自覚している。嵩本人は登美子のこと、けっして嫌いではないのだろう。きっと愛しているからこそ、一筋縄ではいかないんですよね。
3. ヤムおじさん、そういえば食事シーンが全然ないよね
月曜日からうれしいサプライズ! ヤムおじさんが再登場しました。先週の予告でわかってはいたけれど、週の頭から会えるとは思っていなかったのでテンションあがりました。『やさしいライオン』を聴きながら、嵩に思いを馳せるヤムおじさん。意外と近くにいそうだなと思っていたら、なんと八木さんの会社にパンを届けにきてるではないですか。発見した蘭子があっという間に連行、朝田家一同と感動の再会です。
ヤムおじさん、朝田家のみなさんに「老けたな〜」と言って大ひんしゅくでしたが、ヤムおじ含めてみんな全然老けて見えないので複雑な気持ち(笑)。のぶちゃんなんかは、毒気が抜けた今の方がキラキラしているくらいですからね。三姉妹は40代くらい、羽多子さんは70代くらいなのかな?
のぶちゃんはここにきて初めて、ヤムおじさんの抱える戦争の傷を知ることとなりました。10年も一緒にいたのに、彼のことをわかっていなかったと嵩にこぼすのぶちゃん。正義が逆転するように、人の心も見えている一面だけではわからないものだよね。見えていないだけで、多くの人が当たり前のように心に傷を負っている。その「心のとげ」を抜くために、のぶちゃんも嵩も考え続ける。
そういえば今回話題にも出ましたが、昔からヤムおじさんって朝田家のみなさんと食事をとらないんですよね。もしかして会食恐怖症だったりするのかも。戦地での壮絶な体験のトラウマか…?などと勘繰ってしまう。その背景もいつか明らかになるのでしょうか。
次週、ついに。「あんぱんまん誕生」!
『あんぱん』も残り3週。朝ドラには終盤の見せ場として、最後の大きな壁が立ちはだかることがよくあるのですが、この調子だとそのラスボスは登美子になりそうだと予想。そしてついに来週はアンパンマンが爆誕するみたいです。いよいよ物語はラストスパートへ。予告には懐かしい高知新報の顔ぶれも!
【おまけ】今週のあんパン

ドラ子のなかで「あんパン」と聞いて最初に思い浮かべるのはこれ、ヤマザキ「薄皮つぶあんぱん」です。母がよくおやつに買ってきてくれた思い出の味。ドラ子が人生でいちばん食べてるあんパンだと思われます。
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。