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LIFESTYLE

2025.10.10

【北村匠海・林裕太・綾野剛トーク|前編】10分後に死んでもいいと思って今を生ききる。とことん追い込んだ成果が130分の映画に!

ドラマ・映画でそれぞれ主演をつとめる北村匠海、綾野剛という最強のふたりに、オーディションで抜擢された注目俳優・林裕太が加わり、新タイプの映画が完成。3人の生き様を描いた映画『愚か者の身分』から伝わってくる、俳優3人の生き様からも目が離せません。

「とことん自分と向き合う」「とことん鍛錬する」
その方法は間違っていなかった

映画『愚か者の身分』は、闇バイトの世界に関わる3人を追った物語。3日間の出来事でありながら、人間関係も起こる事件も濃厚なら、考えさせられることもたくさん。濃くて深くて、エンタメとしても極上のこの作品。俳優3人にはどんな影響を与えたのでしょうか。

©2025映画「愚か者の身分」製作委員会
左から、林裕太(マモル役)、北村匠海(タクヤ役)、綾野剛(梶谷役) ©2025映画「愚か者の身分」製作委員会

導いてくれた匠海さん、背中を見せてくれた剛さん(林)

――まずは、3人それぞれのキャラクターをとおして、自分を分析してもらうと…。

北村匠海さん(以下、北村):僕が演じたタクヤは、どこか浮遊感があって、振り返ったらいなくなってしまいそうな儚さをまとっています。それがよく表れているのが、最初のシーン。という僕も、「気づいたらいなくなってそう」と心配されることがあって。自分では人生を楽しんでいるだけ、なんですけど(笑)。

また、物語のなかでタクヤは視力を失いますが、僕にもどこか役として「失いたい」願望のようなものがあって。失って何もなくなったときにどうなるのか、どういう表現をするのか。そういう自分に興味があるんです。

林 裕太さん(以下、林):マモルの第一印象は、「強い人」。そしてとても人間的です。生まれた環境や運命に抗いながら、必死に生きようとしているマモル。それが、タクヤと出会って人生を楽しむようになっていく…。僕も、理不尽なことに敏感で、それを流しておけない性格です。そこは、マモルとちょっと似ているのかなって。

綾野 剛さん(以下、綾野):梶谷は若い二人を前にして、いちばん「生きる実感を与えられた人」です。どうやって呼吸をするのか、どう生きるのか、彼らに思い出させてもらったような感覚でした。だからこそ映画130分間のなかで、梶谷をとことん生き抜くのみでした。

――その役をまっとうしながら、3人のリアルな関係にも深いつながりを感じられます。

北村:出演者の方やスタッフさんを含め全員の接着剤となるのが、自分の役割だと考えていました。僕がどう立ちふるまうかで、作品の出来は100にも0にもなる。そのとき助けになったのは、映画『東京リベンジャーズ』シリーズなどでよく知ったスタッフさんたちでした。信頼関係があって、いい化学反応が起こって、そこに剛さんがいて裕太がいる。そうやってできたのが、この映画です。

林:僕は最初、この現場にいるかぎり、なにか残さなきゃいけない、この2人に並ぶために何かしなきゃいけない、みたいな思いが強くて、固まってしまったりしました。でも、現場で起こったことにシンプルに反応するほうが大事なこともある。そう導いてくれたのが匠海さんで、背中を見せてくれたのが剛さんでした。だから、僕はふたりに身を委ねて正解だったと、いま改めて感じます。

綾野:(ふたりの話をうなづいて聞きながら)匠海が紡ぐ言葉は僕の感覚と近く、琴線に触れ合っているなと感じます。と同時に、林くんが紡ぐ言葉をどれだけ聞けるかが、今すごく重要な気がしているんです。

林くんは、というか彼らの世代は、とても素直で、率直で、フラット。そんな彼の言葉をどう受け止めるかが、とても大切だと思います。そこには、ある種の真理があるように思えるんです。

モットーは、10分後に死んでもいいくらい、今をやりきること(北村)

――そんな信頼関係から、お互いの仕事にどのような影響があったのでしょうか。

綾野:とにかく林くんが瑞々しくて、どうやったらそこにたどり着けるのか、僕には難解で。

北村:それは、相当むずい。

綾野:そして匠海は、全力で生ききるという、その出力が素晴らしいです。すでに次のフェーズが見えていながら、現在のフェーズを生ききっている最中に感じます。役者はとことん「自分と向き合う」「鍛錬する」こと以外にないと思っていますが、その方法は間違っていないということを匠海は体現しています。

北村:僕のモットーは、10分後に死んでもいいくらい、今をやりきること。この映画のテーマとも通じるし、その連続が人生だと思っているんです。で、おこがましいですけど、剛さんとはそこが似ている。瞬間、瞬間に、命を削っている感じがするんですよね。この映画では、その背中を大きく感じました。と同時に、僕がやってきたことも間違いじゃなかった。このまま前に進んでいいんだ。そう感じさせてもらいました。

裕太には、剛さんや僕がいくら頑張っても、叶わない真っ白さがある。うらやましいと思ったくらい。このピュアさを「演じよう」とした途端に、ピュアではなくなってしまうもの。これこそが、個性なんですよね。これは僕の考えなんですが、役者は役としての魅力が8割、残りの2割を埋めるが個性。裕太は、その2割がまぶしい男です。

林:うれしいです。僕は、おふたりの姿を見て、そしてできた作品を見て、やっぱり「本物の役者なんだ」と思いました。ストイックだし、役を背負う責任感が違うし、だからこそやらなきゃいけないことをどんどん見出していく。僕も早く責任をまっとうできるように、役者として、人間として、成長したいと思わされました。

綾野・北村:(じーんとしている)

――後編では、30代のOggi読者に向けて、それぞれの立場から「30代と仕事」について語っていただきます。3人の人生と仕事観がくっきり表れる珠玉のトークを、どうぞお楽しみに!

映画『愚か者の身分』

映画『愚か者の身分』
タクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)はSNSで女性を装い、身寄りのない男たちから言葉巧みに個人情報を引き出して戸籍売買を行っている。劣悪な環境で育ち、気づけば闇バイトを行う組織の手先となっていた彼らだったが、時には馬鹿騒ぎもする普通の若者だった。タクヤは自分が闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在の梶谷(綾野剛)の手を借り、マモルとともに裏社会から抜け出そうとするが……。
愛を知らずに育った3人の若者たちが闇ビジネスから抜け出そうとする3日間の出来事を、3人それぞれの視点を交差させながら描き出す。

2025年10月24日全国公開
オフィシャルサイト https://orokamono-movie.jp/

北村匠海
きたむら・たくみ/1997年生まれ、東京都出身。2008年『DIVE!!』で映画デビュー。2011年にバンド「DISH//」を結成し、メインボーカルとギターを担当。『君の膵臓をたべたい』(2017年)で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の新人賞を受賞。主な映画出演作に『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)、『勝手にふるえてろ』(2017年)、『春待つ僕ら』(2018年)、『十二人の死にたい子どもたち』『君は月夜に光り輝く』(2019年)、『思い、思われ、ふり、ふられ』『さくら』『アンダードッグ』(2020年)、『東京リベンジャーズ』シリーズ、『明け方の若者たち』(2021年)、『とんび』(2022年)、『スクロール』『法廷遊戯』(2023年)、『悪い夏』(2025年)などがある。短編映画『世界征服やめた』では、監督・企画・脚本を手がけた。2025年9月までNHK連続テレビ小説『あんぱん』でアンパンマンの作者・やなせたかしさんをモデルとした柳内嵩(やないたかし)を演じた。

林 裕太
はやし・ゆうた/2000年生まれ、東京都出身。2020年に俳優デビューし、映画『草の響き』(2021年)や配信ドラマ『17.3 about a sex』(2020年/ABEMA)、WOWOW『ソロモンの偽証』(2021年)などに出演。2022年には映画『間借り屋の恋』で映画初主演。以降、映画『少女は卒業しない』『逃げきれた夢』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』『緑のざわめき』『ロストサマー』(2023年)、『ブルーイマジン』『HAPPYEND』『オアシス』(2024年)、NHK連続テレビ小説『虎に翼』(2024年)、ドラマ『御上先生』『なんで私が神説教』(2025年)など、数多くの作品に出演。

綾野 剛
あやの・ごう/1982年生まれ、岐阜県出身。2003年にドラマ『仮面ライダー555ファイズ』で俳優デビュー。以降、映画『クローズZERO II』(2009年)、『GANTZ』(2011年)、『るろうに剣心』(2012年)、『新宿スワン』(2015・2017年)、ドラマ『Mother』(2010年)、NHK連続テレビ小説『カーネーション』(2012年)、『最高の離婚』(2013年)、『コウノドリ』シリーズ(2015・2017年)など話題作に次々と出演。映画『横道世之介』『夏の終わり』(2013年)で第37回アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の主な出演作に映画『ヤクザと家族 The Family』『花腐し』(2023年)、『カラオケ行こ!』『ラストマイル』(2024年)、『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』(2025年)など。

衣装協力(林さん分)/ジャケット¥132,000・パンツ¥41,800(DRESSEDUNDRESSED tel:03-6379-1214)

撮影/田形千紘 スタイリスト/TOKITA(北村さん)・ホカリキュウ(林さん)・佐々木悠介(綾野さん) ヘア&メイク/佐鳥麻子(北村さん)・佐々木麻里子(林さん)・石邑麻由(綾野さん) 取材・文/南 ゆかり

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