「竜涎香」という言葉を目にしたことはありますか? 古くから香料として重宝され、希少で価値が高いため、現在でも高値で取引されています。特徴や実際の用途について詳しく見ていきましょう。
「竜涎香」とは? 読み方・意味・特徴を解説
まずは、「竜涎香」の読み方を確認しましょう。

「竜涎香」の読み方と意味
「竜涎香」は「りゅうぜんこう」もしくは「りゅうえんこう」と読みます。辞書で定義を確認しましょう。
りゅうぜん‐こう〔‐カウ〕【竜×涎香】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
香料の一。マッコウクジラの腸内からとった松脂(まつやに)状の物質。麝香(じゃこう)に似た芳香がある。りゅうえんこう。アンバーグリス。
「竜涎香」は、アンバーグリス(ambergris)ともいいます。マッコウクジラの腸内からとった松脂(まつやに)状の物質のことを指しますよ。香料として用いられますが、他の香料と併用して初めて芳香が得られるといいます。
「竜涎香」の中でも高級品とは、どんなもの?
竜涎香は、天然香料の中でも特に希少価値が高く、高級香水の原料としても知られています。その品質は採取された状態によって異なり、価値の高いものほど市場で高額で取引される傾向がありますよ。

高級な「竜涎香」とは?
竜涎香は、海を漂流する過程で太陽や海水によって熟成され、その品質が変化していきます。特に長期間海上に浮遊し、異物の混入が少なく、均一な質感を持つものが高級品とされています。色によってもランクが分かれ、一般的に以下のように分類されます。
ゴールデン(帯黄灰色 / golden)
琥珀に似た黄金色を帯びたもの。最も価値が高いとされます。
グレー(灰色 / gray)
市場で取引されている、標準的な品質です。
ブラック(黒色 / black)
クジラの腸内から採取され、乾燥させたもので、竜涎香の中では低い品質とされています。

主要産国は?
かつて竜涎香の主要産出国は、日本や旧ソ連でした。これは、両国が捕鯨を行っていたことに関係しています。しかし、近年ではマッコウクジラの個体数減少や捕獲規制の影響により、天然の竜涎香はほとんど採取されなくなっています。
近年はそれに代わり、アンブレイン酸化物の合成が行われているようです。
参考:『世界大百科事典』(平凡社)
「竜涎香」の香りとは?
希少な竜涎香ですが、未精製の竜涎香は必ずしもいい香りではないようです。乾燥し乳糖を加えてアルコールに浸漬した浸出液は、温和な乳香に似たバルサム臭がするとか。古くから香水やお香の原料として重宝されてきました。
参考:『世界大百科事典』(平凡社)
最後に
竜涎香は、長い時間をかけて自然の力で生み出される貴重な香料の一つです。その香りや価値は古くから認められ、高級香水の世界で今もなお重要な役割を果たしています。
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