「瓦斯」という言葉を目にしたことはありますか? 一見すると読み方が難しく感じられるかもしれません。実際にどのように読むのか、どんな意味を持つのか気になるところです。この記事では、「瓦斯」の正しい読み方を紹介し、その意味や使われ方について詳しく解説していきます。
「瓦斯」とは? 読み方と意味を解説
まずは気になる「瓦斯」の読み方から確認していきましょう。
「瓦斯」の読み方と意味
「瓦斯」は 「がす」 と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
ガス【瓦斯】【オランダ・英gas】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 気体。「―状星雲」
2 燃料用の気体。特に、都市ガスのこと。「―を引く」「―管」
3 「毒ガス」の略。「―マスク」
4 濃い霧。「山頂付近に―がかかる」
5 ガソリンのこと。「―欠」
6 「ガス焜炉(こんろ)」の略。「鍋を―にかける」
7 「ガス糸」の略。
8 おなら。屁(へ)。
「瓦斯」は、「ガス(gas)」を指します。「瓦斯」という漢字は、“gas”の音訳字になりますよ。

「瓦斯」の語源
「瓦斯(gas)」という言葉は、ベルギーの科学者ファン=ヘルモント(1579~1644) によって造られたとされています。彼は、ギリシア語の「カオス(khaos)」=「混沌」に由来する言葉として、この概念を生み出しました。
日本に「瓦斯」という表記が導入されたのは江戸時代末期であり、蘭学者たちによって紹介されました。最も早い使用例の一つとして、『植学啓原(しょくがくけいげん)』や『舎密開宗(せいみかいそう)』が挙げられます。
これらの書物では、「瓦斯」は空気とは異なる特性を持つ気体として記述されており、その概念が日本に広まっていきました。
引用:『日本国語大辞典』(小学館)
「瓦斯灯」とは? 歴史と現在の活用例
「瓦斯灯(がすとう)」とは、石炭ガスなどの燃料用ガスを燃やして点灯する灯火のことです。青白い光を放ち、主に明治時代に街灯として使用されました。近代都市の発展に大きく貢献し、当時の日本の街並みに欠かせない存在でした。
現在でも、一部の観光地や歴史的なエリアで再現され、ノスタルジックな風景を演出する要素となっています。
瓦斯灯の歴史と日本への導入
瓦斯灯の技術は、1798年にイギリス人 ウィリアム・マードック によって実用化されました。その後、1812年にロンドンでガス事業が開始され、1819年にはパリにも導入されるなど、19世紀を通じて世界の大都市に普及しました。
日本においては、1872年(明治5年)にフランス人 アンリ・プレグラン の設計・監督のもと、横浜の馬車道本通りから大江橋間にかけて初めて瓦斯灯が点灯されました。当時、点灯夫が夕方に瓦斯灯へ点火し、翌朝には消灯を行う方式が採用されていましたよ。
その後、1897年頃からは屋内灯として一般家庭にも導入され始めましたが、使用者は上流家庭の一部のみでした。その後、電灯の普及に伴い、次第に瓦斯灯は廃れていきました。
参考:『日本大百科全書』(小学館)

現代に残る瓦斯灯の例
現在でも、歴史的な街並みの保存や観光地の景観づくりのために、瓦斯灯が設置されている場所があります。特に 横浜・馬車道通り、神戸・北野異人館街などの異国情緒あふれるエリアでは、レトロな景観を楽しむことができますよ。
FC東京はなぜ「瓦斯」と呼ばれる?
Jリーグクラブ「FC東京」は、サポーターの間で「瓦斯」と呼ばれることがあります。このユニークな愛称がどのように生まれ、定着していったのかを紹介していきましょう。
なぜ「瓦斯」と呼ばれるのか?
FC東京の前身は、東京ガスFC という社会人サッカークラブでした。1998年にJリーグ加盟を目指してクラブ名を「FC東京」に変更しましたが、クラブの設立母体が「東京ガス」であったことから、サポーターの間では「瓦斯」という呼称が使われるようになりました。
ちなみにサポーターは「瓦斯サポ」と呼ばれているそうです。

「瓦斯」を使った表現と例文
「瓦斯」という言葉は、歴史的な表現だけでなく、さまざまな場面で使われます。具体的な例文とともに紹介していきましょう。
明治時代の銀座には、瓦斯灯が並び、夜の街を照らしていた。
瓦斯灯が普及していた時代の情景を表しています。
昔の炊飯器は電気ではなく、瓦斯炊飯器が主流だった。
家庭用瓦斯機器に関する説明として使われる例です。
最後に
「瓦斯」という表記はかつては広く使われていましたが、現代では「ガス」というカタカナ表記が一般的になっています。それでも、「瓦斯灯」「瓦斯会社」「瓦斯管」などの表記は一部で残っていたりしますよ。
言葉の変遷を知ることで、歴史や文化の奥深さを感じることができるかもしれませんね。
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