日常会話の中で、「梃子でも動かない」という表現を耳にすることはありますが、漢字にすると一気に難しくなりますね。何と読むかわかるでしょうか? そこで、この記事では「梃子」の読み方を確認し、意味や具体的な使い方について説明していきます。新たな知識を1つ加えてみてください。
「梃子」とは? 読み方と意味を確認
「梃子」の読み方について、予測はついたでしょうか? 気になる読み方から確認していきましょう。
「梃子」の読み方と意味
「梃子」は、「てこ」と読みます。辞書で意味を確認していきましょう。
て‐こ【×梃子/×梃】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 棒の途中に置いた支点を中心に棒が自由に回転して、小さい力を大きな力に、小さい動きを大きな動きに変える仕組み。また、その棒。重い物を動かすときや鋏(はさみ)・滑車などに応用。槓杆(こうかん)。レバー。
2 ある大きな目的を達成するための、比較的小さくても強力な手段。「減税を消費拡大の―にする」
3 「手子の衆(しゅ)」に同じ。
「梃子」とは、物理的な意味では、「支点」「力点」「作用点」の関係によって小さな力でも大きなものを動かせる仕組みを指します。
日常で使う際には、「大きな目的を達成するための有力なとっかかりや手段」のことをいいますよ。
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「梃子」の語源は?
「梃子」の語源としては、もともと「手木(てき)」を意味していたといわれています。
「梃子でも動かない」とは? 使い方と例文
「梃子でも動かない」という表現は、ある状態を強調するときに使われることが多いでしょう。意味と使い方を確認していきましょう。
「梃子でも動かない」の意味と使い方
「梃子でも動かない」とは、たとえ梃子を使っても動かないということ。つまり、どれほど努力しても変化しない、またはどんなに説得しても決意や信念、意見などを曲げない状況を指します。
物理的に動かないものにも使えますが、人の性格や考え方について述べる際にもよく用いられますね。
「梃子でも動かない」の例文
例文:「彼はやると言い出したら、梃子でも動かない」
自分の意志を貫き、周囲の説得にも応じない状況を表しています。頑固さや信念の強さを示す言葉として使われることが多いでしょう。
例文:「この古い金庫は錆びついていて、梃子でも動かない」
物理的に動かない状態を表す表現です。特に、長年放置されていたものや、何かの影響で固まってしまった物を指すことが多いでしょう。ここでは「どんなに力を加えても動かない」という意味が込められています。
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「梃子でも動かない」の類語や言い換え表現は?
日本語には、似た意味を持つ言葉がいくつもあります。ここでは、「梃子でも動かない」と同じような状況を表す表現を紹介していきましょう。
頑固
「頑固」は、自分の考えややり方を強く信じ、簡単には変えない性質を表します。「梃子でも動かない」と同じく、一度決めたことを曲げない態度を示す際に使われるでしょう。例えば、「彼は頑固な職人で、昔ながらの技術を守り続けている」といった使い方ができます。
「頑固」は、時に保守的で融通が利かない意味でも使われますが、伝統や信念を貫くという肯定的なニュアンスを持つこともありますよ。
強情
「強情」は意地を張って、自分の意見や考えを曲げない姿勢を指します。例えば、「彼女は強情だから、一度決めたらなかなか変えない」といった使い方ができます。
意地っ張り
「意地っ張り」は、「こう!」と思ったら、いいことも悪いことも押し通すことを指します。「意地っ張りな彼は、謝るタイミングを逃してしまった」というように、プライドが邪魔をして行動を変えられない場面で使われることが多いでしょう。
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「梃子でも動かない」の英語表現は?
「梃子でも動かない」は、英語にすると、どのように表現されるのでしょうか? ここでは2つ紹介します。
as stubborn as a mule
“as stubborn as a mule”は「ラバのように頑固な」という意味があります。“No matter how much we tried, he was as stubborn as a mule.”(どれだけ説得しても、彼は梃子でも動かなかった。)というように使います。
strong-willed
“strong-willed”は、「我が道を行く頑固さ」を意味します。どちらかというと非難の意は少ない言葉です。“He is so strong-willed that he won’t change his mind no matter what.”(彼はとても頑固で、梃子でも動かないほど考えを変えようとしない。)というように使います。
最後に
「梃子」という言葉は、物理で使われる意味だけでなく、比喩的な表現としても幅広く使われています。その中でも、「梃子でも動かない」は、日常会話や文章で使われることが多い表現でしょう。適切な場面で活用できるよう、意味や使い方をしっかりと理解しておくと役に立ちますよ。
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