「ダマでやる」という言葉を聞いたとき、頭の中に「?」が浮かんできた方も多いでしょう。実はこの言葉、いわゆる「おじさんビジネス用語」の一つであるといわれています。言葉の響きから、何かをこっそり進めるようなニュアンスが感じられますが、具体的にはどのような意味を持っているのでしょうか?
この記事では、「ダマでやる」の意味や由来、使い方や類義語、対義語を紹介していきます。さっそく、「ダマでやる」の謎に迫っていきましょう。
「ダマでやる」とは? 意味と使い方について解説
「ダマでやる」という言葉には、独特の響きがありますね。まずは意味と使い方について確認しましょう。
「ダマでやる」の基本的な意味
「ダマでやる」とは、物事をこっそりと進める、秘密裏に行動するという意味を持つ表現です。特にビジネスシーンでは、計画やプロジェクトをあえて公にせず、内密に進める場合に使われます。
「ダマでやる」の由来
「ダマでやる」という表現は、麻雀用語の「だまテン」に由来するという説があります。まずは、「だまテン」について意味を確認しましょう。
だま‐テン【黙聴】
《「黙」は「黙って」、「聴」は「聴牌(テンパイ)」の略》マージャンで、聴牌しているのにリーチを宣言しないこと。また、その状態。闇聴(やみテン)。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「だま」には「黙って」という意味があることがわかりましたね。
「ダマでやる」を使う際の注意点
「ダマでやる」という表現は便利ですが、使い方を間違えると誤解を招くことがあります。特に、相手が信頼や透明性を重視する状況では、秘密裏に進める行為が不信感を生む可能性があります。
職場やプライベートで使う際には、周囲に対して不安や疑念を抱かせないように、あらかじめ説明を加えるなどの配慮が必要でしょう。
「ダマでやる」の使い方を例文とともに紹介
「ダマでやる」という言葉を使うタイミングやシチュエーションを理解するために、具体的な例文を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの例文
「次の四半期に向けたマーケティング戦略は競合が多いため、社内のごく限られたメンバーでダマでやることに決めました」
この例文では、新たな戦略を競合に先駆けて展開するために、計画を秘密裏に進め、外部や社内の広範囲に情報が漏れるのを防ぐことを意図しているようです。
この例文の「ダマでやる」は、戦略的な意思決定を限られた人々の間で慎重に進めることを強調しています。
日常会話での例文
「母の誕生日プレゼントは、気づかれないようにダマで準備しよう」
この例文では、母親を驚かせるため、誕生日プレゼントの準備を秘密裏に進めることを表しています。相手を驚かせたり喜ばせたりするために、意図的に隠れて行動する様子が目に浮かぶようですね。
「ダマでやる」という表現は、ちょっとしたサプライズ演出をする際にも使うことができます。
「ダマでやる」の類義語は?
「ダマでやる」には、同じような意味を持つ類義語もありますので紹介しましょう。
「水面下で進める」
「水面下で進める」とは、「表面には現れないところで進める」ということを意味します。特に交渉や計画を目立たないように進める際に使われることが多く、内部でこっそりと進める意味合いが強いでしょう。ビジネスシーンでは、競合に対して戦略を秘密裏に進めるときや、まだ公表できないプロジェクトを進めるときに使います。
例文:「新しい事業提携の話は、まだ正式発表前なので、水面下で進めています」
「内内(うちうち/ないない)」
「内内」は、「表立てないでひそかに」とか「非公式にことを行うこと」を意味します。「うちうち」とも「ないない」とも読みますよ。「ダマでやる」に似た意味を持ち、特定の関係者だけで物事を進める際などに使われます。
日常生活でも「内内で式をすませた」などというように、家族や友人の間だけでことをすませるときに使ったりします。
例文:「この計画はまだ確定ではないので、内内で話を進めておきましょう」
「秘密裏に行う」
「秘密裏に行う」とは、物事を秘密の状態で進めることを意味します。この表現は、特にビジネスシーンで多く使われ、極秘プロジェクトや機密事項の取り扱いを表す際に適した表現でしょう。
例文: 「役員交代の決定は、社内でもごく限られたメンバーだけに共有され、秘密裏に進められた」
「こっそり」
「こっそり」とは「ダマでやる」と同じく、他人に知られないように行動することを意味します。日常生活でよく使われる表現ですね。
例文:「誕生日ケーキをこっそり準備して、子供を驚かせるつもりだ」
「ダマでやる」の対義語は?
類義語の後は、「ダマでやる」の対義語もチェックしておきましょう。
「オープン」
「オープン」とは、すべてを隠さず、透明性を保ちながら物事を進めることを意味します。この表現は、特に透明性が求められるビジネスシーンでよく使われるでしょう。オープンに物事を進めると、チーム全体の一体感は高まり、信頼関係は強くなります。
例文:「この製品開発は、関係部署すべてに情報をオープンし、各チームの意見を取り入れて進めています」
「堂堂」
「堂堂」は、何の隠し立てもないさまを表します。正直さや透明性、誠実さを強調する場面で使われることが多いでしょう。
例文:「佐藤さんはミスを犯したことを隠さずに、堂堂と上司に報告した」
「公然」
「公然」は、世間一般に広く知れわたっていたり、他人に隠さず大っぴらにすることを意味します。何かを公然と行うことは時に他者からの信頼を得るために重要であり、透明性が重視される場面に向いているといえるでしょう。
例文:「彼らの関係は公然たる事実で、社内の誰もが知っている」
最後に
今、「ダマでやる」という言葉をあまり使うことはないかもしれません。しかし、「水面下」や「内内」、「秘密裏」などの言葉は今でもビジネスシーンで使われていますね。内密に進めることは、現在のビジネスシーンでも多いからでしょう。
他の言葉に比べると、「ダマでやる」は少々面白みもあるかもしれません。場を和ませたいときに、あえて使ってみるのも面白いかもしれませんよ。
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