連載「Road to 役員 ~働く私たちが先輩に聞きたいこと~」vol.1:楽天グループ副社長執行役員CMO・河野奈保さん
大企業の中で役員、取締役など責任ある立場で働く女性の方にインタビューする新連載「Road to 役員 ~働く私たちが先輩に聞きたいこと~」。今後さらにキャリアアップしたい、上を目指したいと考えるOggi世代のロールモデルとなるような女性たちにお話を伺います。
第1回は、Oggi読者の中にもサービスの愛用者が多い楽天グループ株式会社の副社長執行役員である河野奈保さんが登場。
「ジョギングのように毎日少しずつ前に進むことが未来への近道」楽天グループ副社長執行役員CMO・河野奈保さん
インタビュー後編では、愛用のファッションアイテムや毎日のルーティン、休日の過ごし方など、プライベートについてお伺いします。
TPOを考えたコーディネートと、母から受け継いだジュエリー
Oggi 編集部(以下同)――エグゼクティブとして気を付けている、意識しているファッションのこだわりがあれば教えてください。
河野奈保さん(以下敬称略):ブランドに特にこだわっているわけではありませんが、TPOは大事にしています。
その日に会う方や行く場所を考慮して、アイテムや色合いを決めているのですが、例えば、男性が多い会議では、ダークな色合いのスーツよりも、白いジャケットを着用して場の雰囲気を少し明るくしたりします。ファッションアイテムとしては、ロングのフレアスカートをよく選びますね。
――今日着用されているジュエリーも素敵ですね。
河野:ありがとうございます。ジュエリーの仕事をしていた母が作ったものを、必ず身に着けているんです。
母はもう亡くなってしまったのですが、これを着けていると見守ってくれているような気がして……。唯一無二のデザインも気に入っていて、最近はこの指輪をよく着けていますね。ほかには、パールのジュエリーが好きです。あと、今日着けているエルメスのブレスレットもお気に入りです。
――通勤時はどのようなバッグを使われていますか?
今日は、最近購入したTOD’Sのバッグです。流行りのアイテムよりも、気に入ったものを長く愛用するタイプなので、このバッグも向こう10年はローテーション入り確定です(笑)。
河野:化粧品にはあまりこだわりがないのですが、飲む日焼け止めサプリは、日焼け止めを塗り直せないときにもいいのかなと思って飲んでいます。普段使い用と、レジャー用とで使い分けています。
せっかち体質なので、とにかく時短が大事!
――スケジュールについて伺わせてください。4歳のお子さんがいらっしゃる河野さんの朝は、何時から始まるのでしょうか?
河野:私の朝は5時には始まります。子どもが幼稚園に通っているので、お弁当作りがほぼ日課です。お弁当作りは大変かなと思っていましたが、実は結構楽しいんです!
最初は子どものお弁当だけ作っていたんですが、結局は夫の分と自分の分も作るように(笑)。明日は何を入れようかって考えるのが楽しみのひとつになりました。
――河野さんは家事も手早くこなせてしまうんですね!
河野:いろんなものを作ったり、組み合わせたりするのって、物作りやサービス作りと一緒ですし、お弁当作りの工程は嫌いじゃないんでしょうね。
でもすべての家事が好きなわけではなく、料理は好きですが、アイロンがけが本当にダメなんです。服がピンとなっていく過程は好きなんですけど、生地によってはなかなかシワがのびないので、イライラしちゃう(笑)。
――朝はお弁当を作りやお子さんの準備で忙しいですよね。帰宅後ちょっとゆっくりされたりは?
河野:帰宅したらソファーはスルーしてキッチンに直行します! 一度座って、ドラマでも観始めようものなら、あっという間に1時間経っちゃう。なんとなく過ぎるその時間が無駄に思えてしまうので、すぐにキッチンに立って夕飯の準備をしてしまいます。
――では、趣味でドラマや映画鑑賞…などはしないですか?
河野:時間があるときは、まとめてドラマを観たりもしますよ。ただ、私はスマホを家でも斜め掛けにしているんですけど、動画を観るときははワイヤレスイヤホンを付けながら、洗濯物を干すときや料理しているときに“ながら見”が基本です。物事を同時進行しないと、なんだか時間がもったいない気がして(笑)。
――“ながら”のレベルが高いです! 河野さんは「せっかち」か「のんびり」かと言われたら、せっかちなタイプですね?
河野:絶対せっかちです。例えば車に乗っていて、目的地に着きそうだなと思ったら、シートベルトに手を当てて、到着した瞬間に外す! でもちょっとでも早すぎると音が鳴っちゃうんですよね(笑)。
「時間は有限、可能性は無限」という話を私はよくするのですが、限りある時間をどれだけ効率よく使うかで、可能性は広げられると思っているので、とにかく時短が大事。YouTubeの時短料理とかも大好きです。
引退しても人と関わり続けていきたい
――そんな河野さんにとって、息抜きはどんな時間ですか?
河野:陶芸やプラモデル作りにはまっていた時期もありましたが、今は家族との時間が一番の息抜きです。最近は子どもと一緒にお絵描きをするんですが、アンパンマン、ミッキーマウス、ポケモンなどは、何も見なくても描けるくらいに上達しました。お弁当作りもそうですが、やっぱりクリエイティビティが発揮できることが好きみたいです。
――共働きのご夫婦だと、子育てはより協力体制が求められると思いますが、連携をとる上で欠かせないものはありますか?
河野:我が家ではアプリをフル活用しています。育児記録アプリの「ぴよログ」はミルクやおむつ交換の記録などをリアルタイムで共有できるので、夫と育児をバトンタッチするときに大活躍しました。
子育て関連では、「陣痛きたかも」アプリや予防接種のスケジューラーアプリも利用していました。これらのアプリを使うことで時短にもつながるので、欠かせない存在です。
――やはり時短がキーワードになってくるんですね。リゾート地で1か月のバカンスを過ごしている河野さんは、想像できないですね(笑)。
河野:バカンス先でも仕事していそう(笑)。でも、知見を広げられる旅行は好きなので、オフの時間でも新たな体験を通じて自分の引き出しを増やしたり、感性を磨いたりしたいです。
――ゆっくりした時間を過ごされるのは、当分先の引退後でしょうか。
河野:引退しても社会とは繋がっていたいので、例えば子育てのコミュニティで、女性が子育てしやすいような環境を整えるなど、自分が貢献できることを考えていくんだろうと思っています。会社という場でなくても、私は人と関わり続けたい。海辺でゆっくり過ごすよりも、みんなと一緒にいるほうがいいですね。
河野奈保さん
楽天グループ株式会社副社長執行役員CMO
1976年生まれ。人材派遣会社、ネット証券を経て2003年に楽天(現・楽天グループ)入社。ECサイト・楽天市場事業で、マーケティングやUI/UX、事業戦略など要職を歴任。2017年には、当時楽天史上最年少かつ初の女性常務執行役員に就任。現在は楽天グループ副社長執行役員CMO(チーフマーケティングオフィサー)、2020年より楽天モバイル株式会社常務執行役員兼CMOを務める。
撮影/黒石あみ 取材・文/篠原亜由美