「賛否両論」店主が提案する「汁とめし」献立とは?
「煮物やいため物など、おかずを作る余裕や時間が豊かにある時代ではなかったころ、家庭における汁物は“おかず”でした。
季節の野菜をなべで煮る。前日に余った野菜やねり物なんかをちょっとずつ入れると、うまみも加わる。
そこにみそをといたり、しょうゆを足したりすれば、具だくさんで栄養価の高い汁のでき上がりで、それと一緒にぴかぴかの白めしをよくかんで味わう。
本来、日本の家庭料理とは、そういった滋味あふれるものだったと思います」
—そう語るのは、予約の取れない日本料理店と知られる「賛否両論」の店主・笠原将弘(かさはら・まさひろ)さん。
多忙が極まった現代こそ、笠原さんはこの誰でも気楽に作れて栄養満点な一汁一飯の「汁とめし」献立を提案したいという。
そこで笠原さんの著書『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』より、「汁とめし」献立のきほんとも言うべきだしのとり方や、お米の炊き方などを計3回にわたってご紹介。
※書籍より一部引用・再編集してお届けします
前回の記事はこちら>>隠し味はしょうゆとコレ! 大人気日本料理店「賛否両論」店主が教える【味噌汁】の作り方
お米をしっかり洗うのは最初の1回目だけ!
一番のコツは「割れ米」を作らないこと。米をガシガシ勢いよく洗うと割れて糊化し、ごはん同士がくっつく原因になります。
しっかりこすり合わせて洗うのは、最初の1回目のみ。あとはやさしくまぜる程度で十分です。格段においしくなりますよ。
おいしい炊き方
洗う
ボウルに米を入れて水をたっぷり入れ、すぐに両手で米をすくって3~4回こすり合わせながら素早く洗い、すぐに水を捨てる。吸水は米が水にふれた瞬間から始まるので、1回目のスピード感が大切。再び水を入れながら軽くまぜ、すぐに水を捨てる。これを2~3回繰り返して洗い終えたらざるに上げる。
浸水させる
水けをきってから水をたっぷり入れ、最低30分は浸水させる。この段階でしっかり水を吸うことでふっくらと炊き上がる。また、冷やしたほうが炊き上がったごはんの甘みが増すので、可能であれば冷蔵室に入れる。浸水が終わったらざるに上げて水けをしっかりきる。
水かげんをして炊く
なべに米を入れ、米と同重量の水を加えてふたをし、強火にかける。沸騰したら中火にして5分、弱火にして15分炊いて火を止める。ふたを開けずに5分蒸らしたら、しゃもじで底から大きくまぜる。
水かげんはどのくらい?
水かげんは“浸水させた米と同じ重量で”と覚えてもらいたい。米180ml(1合)は150gだが、洗って浸水させることで水を含み、約200gになる。つまり加える水は200mlということ。
炊飯器での炊き方は?
洗って浸水させるまでは同様。炊飯器の内がまに米を入れ、内がまの目盛りまで水を入れて炊く。
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書籍では、特別な調味料や道具を使わず、近所で簡単に手に入る食材や、冷蔵庫の残り物で十分おいしく作れるレシピが満載!
ぜひあわせてチェックしてみて。
『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』( 笠原将弘 著/主婦の友社)
冷蔵庫の残り物で作れる。シンプルなのに満ち足りる。頑張らなくてもいいのにしみじみおいしい、笠原流! 究極2品献立のススメ。予約の取れない日本料理店「賛否両論」。その店主がいま提案する献立が「汁とめし」。すぐに作れて栄養満点、嬉しい一食が今日から作れるようになります! 食材の組み合わせや作りやすさに特化した汁物とごはん物の厳選レシピ、計84品を収録。まずは一日のうちの一食を「汁とめし」に変えてみてください。いま一度、日本の食生活の原点を笠原さんと一緒に見つめ直してみませんか?