TOEFL®とは、どんな試験なのか?
TOEFL(トーフル) は、“Test of English As a Foreign Language”の頭文字をとっており、すなわち英語を母語としない人々のために設計された試験です。大学・大学院などのアカデミックな場面における英語運用能力を測ることを目的としており、世界的に広く活用されています。
TOEFLには、TOEFL iBT(インターネット版)とTOEFL ITP(団体向け)などの種類がありますが、本記事では留学や就職において正規で使えるTOEFL iBTの対策について解説をしていきます。
TOEFL®の問題構成
構成は、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能に分かれており、それぞれ30点満点、総合スコアは120点が満点となっています。各分野の大まかな内容は以下の通りです。
2023年7月に、問題数と時間、ライティングセクションの一部の形式が変更になりましたが、大まかな対策法は、これまでの形式と変わりません。
スコアに関しても、TOEFLの採点方法は、1問〇点という配点がほとんど設定されておらず、謎に包まれている部分があります。リーディングとリスニングの採点は、基本的にコンピュータで行われるので、試験直後におよその得点を開示してくれる場合があります。ライティングやスピーキングは、採点者がいますが、明確な採点基準は公表されていません。
TOEFLの試験日は、年間50日ほど各会場で週末に設定されています。受験日程を確定させるためには、ETSのウェブサイトにサインインしてから、会場・日程を選択しましょう。会場・試験日は6 か月先まで選択することができます。近年は新型コロナウイルスの影響により、自宅受験の制度もできました。
受験料は、基本的にUS$245ですが、試験から2~6日前の申込の場合、受験料はUS$285となります。また、試験会場や日程を変更する場合、US$60 の追加料金が発生したり、キャンセルする場合は受験料の50%がキャンセル料として発生したりしてしまうので、注意が必要です。詳細はその都度公式サイトで確認しましょう。
リーディングセクションの対策
リーディングセクションで出題される長文は、英語圏の大学レベルで使用する教材を想定した700語前後の文章です。分量も多く、難易度も高い文章をはじめから丁寧に読んでいては、時間が確実に足りなくなってしまいます。
そこで、問題を解き始める前に、以下の文章だけ目を通しましょう。
・第1段落の最初と最後の文
・各段落の最初の文(topic sentence)
・最後の段落の最初と最後の文
この読み方には、時間節約に加えて、大きなメリットが2つあります。
まずは、最初の文(topic sentence)を読んでおくことで、各段落にどのような内容が書かれているのか推測することができ、問題を解く際にどの段落から答えを見つければよいのか把握しやすくなります。さらに、各文章の最後に出題される要約問題が格段に解きやすくなります。
上に挙げた文は、文章全体の要点を示しているものです。すなわち、要約問題の正解は、必ずこれらの文の中にあるのです。
以下では、各文章で課される主な問題の種類ごとの攻略法に触れていきます。
◎語彙問題
語彙問題は、通常各文章1 問ずつ出題されます。語彙問題のポイントは、文脈から意味を読み取ることです。辞書的な意味よりも、その文脈に合った意味を選択する必要があるのです。それでは、どのように文脈から意味を読み取ればいいのでしょうか。
ポイントは言い換え表現です。特に、問われている単語が入っている段落の中に、言い換え表現がないか探してみましょう。言い換えがポイントになる問題は多いのです。
◎文の挿入
文の挿入も、必ずと言っていいほど出題される常套問題です。問題では、ある段落で欠けている1文が表示されており、その段落内のどこに挿入すべきか解答しなければなりません。文の挿入において、注目すべきポイントは文の役割です。
ここでは、TOEFLの文の役割の中で主なものを5つ挙げました。
TOEFLにおける文の挿入で出される文は、基本的に上記のいずれかに当てはまります。文の役割を見極めることができれば、段落内のどこでその文の役割が発揮されるのかが見えてくるため、正答率が上がるのです。
◎内容の読解
リーディング問題の大半は、内容の読解になります。読解問題は大きく2種類に分けることができます。
◎要約問題
各文章の最後には、要約問題が出題されます。選択肢の中から、文章の“main idea”を表す文章を選ぶ問題です。ここで役に立つのが、先述したtopic sentence です。選択肢の中には「文章には確かに書いてある内容であるが、文章の主旨とは言えないもの」があります。要約問題では、topic sentence の内容に当てはまる選択肢を選ぶことが鍵となります。
リスニングセクションの対策
TOEFL リスニングの肝は、なんといってもメモの取り方です。メモを取っていると音声の内容を聞き漏らしてしまうため、メモを取るより音声を聞き取ることに集中したいという人もいるかもしれません。しかし、メモを取らないことには、大きな落とし穴があります。TOEFLのリスニング問題は、英語圏の大学の授業や学校生活などを想定したものであり、音声の内容も盛りだくさんです。
特に、講義形式のものは、大学の授業でノートを取ることを想定しています。集中して音声を聞いていても、内容をすべて記憶しておくことはほとんど不可能に近いのです。それでは、どうすれば効率的にわかりやすいメモを取れるのでしょうか。ここでは、メモの取り方のコツをいくつか紹介します。
1.英語でメモを取る
特に講義形式の問題は、聞き取れたものはすべて書きとることが大切です。その際、最大のポイントは、できる限りすべて英語でメモを取るようにすることです。
脳内で英語から日本語に変換することによる時間のロスもなくせるため、メモを取るスピードも上がります。 また、問題を解く上で、正解を見つけやすくなります。英単語を書き取る際には、正しいスペルで書けるに越したことはないですが、それは重要ではありません。
言ってしまえば、自分さえわかればいいのです。そのため、正しく書くことよりも、自分がわかるように短縮して書いたり、イラストなどを活用したり工夫してみましょう。
2.対話文の問題はページを分割
対話形式の音声は、女性の声と男性の声が交互に流れるようになっています。対話形式の問題のメモでは、まず用紙を2分割しましょう。そして、片側に “female/woman/girl”(女性)、もう片側に“male/man/boy”(男性)などと記しておきます。
音声が流れて来たら、女性の話した内容は女性側の行に、男性の話した内容は男性側の行に、ジグザグに記していきます。こうすることで、あとから誰がなにを話したのかを把握しやすくなります。
3.とにかく練習!
しかし、やはりメモを取りながら音声を聞き取ることは、簡単なことではありません。効果的なメモを取るためには、普段からの練習が大切です。普段の勉強の中で、10分でもいいのでYouTube やPodcast などを聞きながらメモを取る練習を取り入れてみましょう。
スピーキングセクションの対策
スピーキングの問題は、最初の問題を除いてリスニングとリーディングとの複合問題になります。特に音声が流れる問題では、リスニングのときと同様、必ずメモを取るようにしましょう。また、次に説明するライティングセクションとは異なり、最初に表示される文章は、基本的に再び表示されないため、文章の内容も簡単にメモを取っておくことが必要です。
ライティングセクションの対策
ライティングでは、リーディングとリスニングとの複合問題と、自分の意見などを述べる典型的なライティング問題の2つが出題されます。
基本的な構成は、日本語の作文と同様に序論・本論・結論のかたちにのっとります。
注意すべきは、本論の各段落の最初の文章です。いわゆるtopic sentenceにあたる文章であり、各段落の主題・結論を書きます。いわゆる「結論ファースト」ですね。
■Integrated task
・特徴・流れ
Integrated task では、文章と音声の内容を要約します。まず、短い文章が画面に約3 分間表示されます。文章は、作文する際にまた表示されるため、熟読したりメモを取ったりする必要はありませんが、何のテーマが扱われるか把握しておきましょう。
その後、講義形式の音声が流れます。通常、音声の内容は、文章の内容に反論するようなものとなっています。音声が流れている間は、できるかぎり詳細にメモを取るようにしましょう。
その後、再び文章が画面に表示され、20分以内に文章と音声の内容を要約します。要約を書く上で、とりうる本論の構成は2種類あり、次のセクションで詳しく説明します。
・構成
この問題は、2パターンの構成がとりえます。自分の書きやすい構成にのっとって書いていきましょう。
パターン1
1つ目は、論点ごとに段落を分ける構成です。
画面に表示されている文章を参考に、論点ごとに段落を分けていきます。各段落では、最初にその論点に関する文章の内容を要約し、それに続いて音声の内容が文章の内容にどう反論しているかをまとめます。
パターン2
2つ目の構成は、本論の1つ目の段階で文章の内容を要約します。そして、本論2つ目の段落で音声の内容を要約します。文章と音声の内容を、それぞれ段落を分けて要約するのです。
■Academic Discussion task
2023年7月から始まった新形式の問題です。画面に表示される教授の質問と、それに対する他の生徒の回答を読み、自分の意見を100語以上で答える形になっています。
自分の考えを明確にまとめる力が求められるのはこれまでと同様です。ETS の公式サイトに、問題のショート解説動画が掲載されていますので、対応できるように確認しておきましょう。
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著者 東大カルペ・ディエム( トウダイカルペディエム)
2020年6月、西岡壱誠を代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、家庭の事情で週3日バイトしながら合格した人や地方公立高校で東大模試1位になった人など、多くの「逆転合格」を果たした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動中。毎年200人以上の東大生を調査し、多くの画期的な勉強法を生み出している。そのほか「アカデミックマインド育成講座」と題した教育プログラムを中心に、全国20校以上でワークショップや講演会を実施。
年間1000人以上の学生に勉強法を教えている。
監修 西岡壱誠(にしおか・いっせい)
現役東大生。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。特に英語は高校3年生時点では全国模試3/100で偏差値は26.9だった。
崖っぷちの状況で開発した勉強法で特に苦手な英語を強化し、偏差値70、東大模試で全国4位になり、早稲田大学国際教養学部と東京大学文科2類に合格を果たす。
そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、在学中の2020年に株式会社カルペ・ディエム(https://carpe-di-em.jp/)を設立、代表に就任。全国25の学校でワークショップを実施、高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。TOEFL iBT89点。英検準1級。