「転ばぬ先の杖」の意味と由来
まずは、辞書で「転ばぬ先の杖」の意味について調べてみました。
前もって用心していれば、失敗することがないというたとえ。(出典:小学館デジタル大辞泉)
「転ばぬ先の杖」という言葉の由来は、転んでから杖を用意しても何の意味もない、転ぶ前にあらかじめ杖を持っておくべきだというところから生まれたようですね。
「転ばぬ先の杖」の正しい使い方と例文
それでは、「転ばぬ先の杖」の使い方を、例文とともにご紹介しましょう。
「転ばぬ先の杖」の例文2つ
「災害に備えて防災用具を揃えておくのは、転ばぬ先の杖だ」
「晴れているけれど、転ばぬ先の杖として雨具を持っていこう」
どちらも、万が一に備えて準備をしておく、念のために用意しておくという意味で使われていますね。
「転ばぬ先の杖」の対義語
「転ばぬ先の杖」と反対の意味を持つ言葉は、「取らぬ狸の皮算用」ではないでしょうか。
まだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを考える、というところから、まだ手に入っていないもの、手に入るかわからないものを当てにして計画を立てることを指します。前者は準備をしておいても損はないけれど、後者は計画を立てても何の意味もない、という英反対の位置にある言葉だといえそうです。
「転ばぬ先の杖」に似た表現
前もって準備をしておき、リスクを軽減するという意味をもつ「転ばぬ先の杖」。他にも、似た言葉が複数あります。「用意周到」「石橋を叩いて渡る」「備えあれば憂いなし」「濡れぬ先の傘」「用心には網を張れ」と、代表的な言葉を5つご紹介しましょう。
「用意周到」
用意が細かいところまで行き届いていることや、少しもぬかりがないことを指す「用意周到」という言葉は、念のため準備しておけば安心だ、という意味の「転ばぬ先の杖」に対して、より準備を念入りに行なっているというニュアンスが強い言葉です。
「石橋を叩いて渡る」
「石橋を叩いて渡る」ということわざも、「転ばぬ先の杖」の類語にあたります。堅固に見える石橋でも、叩いて確かめてから渡るという意味で、用心の上にも用心することや念には念を入れるといったことを例えています。先述の二つに比べて、慎重さがより強く現れている言葉ですね。
「備えあれば憂いなし」
「憂い」は心配事や失敗などの意味があります。こちらも「転ばぬ先の杖」と同様に、万が一に備えて準備をしておくと困らない、といった意味で使われる言葉です。
「濡れぬ先の傘」
雨に降られて濡れてしまう前に傘を用意して備えておく、という意味を、持つ「濡れぬ先の傘」という言葉。転ばぬ先の杖と同様に、災害や非常事態に備えておくべきだという注意喚起という意味でも使われています。
「用心には網を張れ」
「用心には網を張れ」は、用心に用心を重ねる様子を表した言葉で、「石橋を叩いて渡る」に近いニュアンスを持つ言葉です。二重の構えがあれば安心できるといった意味で使われます。
「転」を使ったことわざはある?
「転ばぬ先の杖」のように、「転」という漢字を使うことわざも知っておきましょう。
禍を転じて福と為す
「禍」は「災い」と描かれる場合もあります。
たとえ災いに遭っても、それがきっかけとなって結果的に良い状態になるという意味の言葉です。失敗と思ったことが実は新しい発見につながったり、思い通りの結果にならないと思ったものが時間とともに希望通りの結果に近づいたなど、当初の予定と真逆の、ポジティブな結果に対して使われます。
七転び八起き
「七転び八起き」はとても有名な言葉ですよね。何度も何度も失敗を重ねて、それでもめげずに立ち上がることを指します。また、人生には浮き沈みが多いことのたとえとしても使われることがあるようですね。
まとめ
万が一に備えて準備をしておくことを指す、「転ばぬ先の杖」という言葉。一般的によく聞く言葉だからこそ、社会人としてその意味や使い方は押さえておきたいですよね。
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