働く私たちの「キャリア見本帖」
これまでになく女性の働き方の自由度が高まっている今、どのようなキャリアや生き方をしていけばいいのか悩む方も多いはず。これからの働き方のヒントになるように、多種多様なキャリアを歩む方々を紹介します。
起業や社内でのキャリアアップをした3人にインタビュー
今回は、独立や社内でのキャリアアップで新たな挑戦を始めた3名をピックアップ!
【社内起業/MBA】複合機メーカーでアパレルブランドを立ち上げ
独立を考えたときは、「社内起業」もひとつの手。社内のリソースを活用しつつ、新たな挑戦を始める人も!
▲綿石早希さん(37歳/リコー・「ランゴリー」事業リーダー)
◆Work History
23歳:リコーに就職。ソフトウエア開発部エンジニアに
29歳:アメリカ駐在、ITコンサル部門の立ち上げを担当
31歳:帰国後、電子黒板の商品企画を担当
33歳:カナダ・マギル大学の日本キャンパスでMBAを取得
34歳:社内起業プロジェクトでアパレルブランド「ランゴリー」立ち上げ
社内のリソースを最大限に活用して、複合機メーカーでアパレルブランドを立ち上げ
「インドのNGOと提携し、農村部の女性たちに業務委託するヨガウエアブランドを社内起業しました。きっかけは、アメリカ駐在から帰国し、ビジネスをもっと幅広く学ぼうとMBA に挑戦していたとき。
課題の事業計画書を書く際に、元同僚からこのビジネスのアイディアを聞いて、一緒に立ち上げたいと思ったんです。実は、私は以前、女性は控えめに振る舞ったほうが物事はうまくいくと考えていました。
でもアメリカ時代の上司から『そんな自信のなさそうな人からサービスを買おうと思わない』と指摘された経験などから、『もっと素直に自分の意見を言おう』『ビジネスを通して女性の地位を向上させたい』と思うように。
勤務先に社内起業の仕組みができたタイミングと重なり「これだ!」と。独立を考えたこともありますが、社内にデザイナーや知的財産などのプロがいて、手厚いサポートが受けられる環境が今はベスト。10年後には、インドの女性に快適な下着を提供したいです」
アイディアを整理するのはA5サイズの手書きメモ
社会的地位が低いインド農村部の女性に業務を委託
【起業】未体験の職種も、仲間がいるから乗り切れる
責任もプレッシャーも大きい起業という道。手探りの働き方ができるからこそ、新しいキャリアとの出会いや自分の可能性がどんどん広がっていくかもしれません。
▲熊本 薫さん(37歳/スタートアップ支援会社BREW・取締役/広報)
◆Work History
22歳:USENに入社。産休・育休を経て電話営業を担当後、新規Webメディアを立ち上げ
30歳:ITサービス会社and factoryのWebメディア編集長に
33歳:前職のメンバー5人とともにBREWを設立、広報担当に
大学時代の友人5人と起業。未体験の広報職も仲間がいるから乗り切れる
「起業は学生時代からの友人であり、直前に勤めていたスタートアップ企業の代表に誘われたのがきっかけ。会社が大きくなるうち、『もう一度会社をつくりたい』という彼の言葉に背中を押され、自分を試すつもりで同僚たちと一緒に立ち上げました。
従業員を守れるのか、経験ゼロの広報を任されたけど大丈夫⁉ など戸惑いやプレッシャーは山ほど。でも、メンバーと一緒にがむしゃらに働くうち、広報の仕事のやりがいもわかってきました。
今後は、ビジネスを起こすという目標も。広報とは違うキャリアが見つかるかも? 今からワクワクしています」
会社を立ち上げたメンバーと一緒に
【社内キャリアアップ】目指すは新たなロールモデル
妊娠や出産など、女性のキャリア形成にはハードルがたくさん。でも、成果を出せば上を目指せる環境があるなら、チャレンジを続ける価値はある。社内でキャリアアップすることで、裁量権がアップすることも!
▲池淵瑞穂さん(37歳/建物管理会社・営業)
◆Work History
22歳:広告代理店に営業職で入社するも、リーマンショックでリストラ
22歳:スポーツメーカーの契約社員に
24歳:現在の建物管理会社へ。社員教育部門、子供ふたりの産休・育休を経て営業部へ。現在は課長職
前例がなくても結果を出せば昇進できる! 後輩たちのロールモデルになるべく精進中
「勤務先はビルのメンテナンスや清掃など、いわゆる男性が多い業界で、入社時も女性社員はごく少数。でも、売り上げが上がるならなんでも挑戦できる自由な空気があるし、成果を出せば男女問わず上を目指せる環境。
私自身、ふたり目の育休復帰後は、時短勤務をしながらも徹底した業務の効率化や積極的なチャレンジを続けた結果、課長まで昇進することができました。
今後の夢は、この業界で〝ワーママ初〟をたくさんつくること。後輩たち、ひいてはこの業界の女性たちがいきいきと活躍できるよう、私自身もスキルに磨きをかけていきたいです」
仕事の相棒は社内を走り回ってもこぼれないふた付きタンブラー
2023年Oggi10月号「働く私たちの『キャリア』見本帖」
撮影/深山徳幸(綿石さん分) イラスト/石 明子 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部