主賓とは?
結婚式に参加した経験がある方なら、「主賓」という役割のゲストがいることは知っている方も多いはず。しかし、実際に自分が結婚式をしたことがない方は、主賓がどのような役割でどんな人物が選ばれているのか、詳しいことをご存知の方は少数派かもしれませんね。
「主賓」とはゲストの中で一番格が高い、主であるお客様のことを指します。結婚式の主賓のメインの役割は、披露宴のスタートするタイミングで、ゲストの代表者として新郎新婦へのお祝いのスピーチである「祝辞(しゅくじ)」を述べることです。
一般的に主賓は、新郎側・新婦側の一名ずつ選ぶものですが、必ずしも結婚式に主賓は二名揃っていなければいけない訳ではありません。どちらかが会社を退職していたり、転職したてなど何らかの事情で、新郎側もしくは新婦側のどちらか一名だけを主賓とするケースも珍しくありませんよ。
また、主賓が不在のケースもあります。例えば、身内だけのこじんまりした結婚式の場合、主賓のいなくても結婚式も問題ありません。ただし、習慣や決まりごとを大事にする家族や親族がいるなら、「主賓なしの結婚式」は反対される可能性も。
このように、結婚式によって主賓事情も様々なパターンがあるのです。ここでは結婚準備が始まったら把握しておきたい、主賓をお願いする人や依頼方法、お礼などのマナーを紹介します。
主賓挨拶は誰にお願いする?
結婚式の主賓の選び方に厳密な決まりはありませんが、主賓を選ぶにあたってのポイントは「ゲストで一番地位の高い人」を選ぶこと。新郎新婦との関係性やゲストの顔ぶれなども考慮しつつ、選びましょう。
1:上司
会社の上司を主賓として招待する方が多い印象です。一口に上司と言っても、直属の上司や役職者、社長まで自身との関わり方も様々でしょう。
転職・退職した直後でも、前職でお世話になっていたなら前職の上司を選んでもOKです。大きな会社の場合、社員が結婚するとなると主賓の祝辞を依頼する人が、暗黙の了解で決定しているようなケースもあります。
披露宴の場で上司から、普段の仕事場での自分の頑張りを紹介してもらえると、見守ってもらえてる安心感と感謝の気持ちが溢れてきますね。
2:学生時代の恩師
学生時代の担任の先生や、部活の顧問などお世話になった先生に依頼するケースもあります。特に新郎新婦どちらかが社会に出てまだ間もない場合や、会社の上司と折り合いが悪い場合は、学生時代の先生にお願いしましょう。
学生時代の頑張っていた話や、思い出話など懐かしい話を聞くことができて、披露宴もほっこりした雰囲気になりそうですね。
3:親の関係者
新郎新婦本人たちではなく、それぞれの親の関係者が選ばれることもあります。その場合、自分も子どもの頃からお世話になっていた親の友人や職場の人、自分と接点はないけれど親がお世話になっている地元の名士などが選ばれることが多いようです。
4:親族や友人
大勢を招いての披露宴ではなく、身内や限られた友人を招いてのこじんまりした式の場合、友人や年長の親戚に主賓の役割をお願いすることもあります。親族の中から選ぶ場合、あらかじめ親に相談して決めるのがベターです。
主賓の依頼で注意するポイント
主賓の役割を依頼する際に、注意しておきたいポイントを紹介します。
1:早めにお願いする
主賓をお願いするなら、相手も何かと準備が必要なので早めに依頼するのがマナー。招待状発送する前の段階で打診しておくと良いですね。いきなり招待状でお願いするのはマナー違反になるので、避けましょう。遅くとも、招待状が発送される2~3か月前を目安にお願いしに行くのが望ましいです。
2:可能であれば対面で依頼する
主賓を依頼するなら、可能な限り二人揃って対面で依頼するのがベストです。遠方の場合、直接の依頼が難しくても手紙や電話で丁寧に依頼してくださいね。LINEでの依頼は手軽ですが、失礼に当たるのでここでは避けるのがベター。
3:流れを伝える
主賓を依頼する流れとしては、
・結婚の報告
・その後式への出席を伺う
・OKの返事をもらえたら、主賓として祝辞を頂きたい旨を伝える
熱意を持って、お願いしたい理由をしっかり伝えることも大切ですね。
4:披露宴のスケジュールを伝える
披露宴のスケジュールが大体決まった時点で、主賓の方には「披露宴の流れ」と「祝辞の順番」、また「持ち時間」も伝えておくと親切。念のために当日、会場のスタッフに祝辞の段取りを伝えてもらうようにお願いしておくと安心ですね。
5:交通費・宿泊費に関して事前に伝える
主賓をお願いしたい方が遠方の場合、交通費や宿泊費に関して、あらかじめどうするのか伝えた上で依頼するのがベスト。お伝えしてから、式に出席してもらえるのか確認すると相手も出席の返事がしやすいかもしれません。
主賓挨拶のお礼について
主賓の役割を引き受けてもらえたら、お礼の仕方を知っておきましょう。今後も長いお付き合い続けるためにも、マナーを守って相手に感謝の気持ちを伝えることを心がけてくださいね。
主賓の引き出物は他のゲストより高額なものを選ぶ
一般的には、主賓から頂くご祝儀は「5万円以上」のことが多い傾向にあります。他のゲストよりも、多くのご祝儀を頂くことになるので、引き出物に関しては他のゲストとは差をつけておきましょう。
主賓は多忙の中、わざわざ結婚式に出席をしてくれて、スピーチまで引き受けてくれたのです。感謝の気持ちを込めて、引き出物をチョイスしてくださいね。
お車代の相場について
主賓に渡す「お車代」の場合、役割を引き受けてくれた「お礼」として渡すものになります。実際にかかっていると思われる往復の交通費よりも、少し多めの金額を準備しておくのがマナー。交通費を計算する場合、飛行機や新幹線など一番高い交通手段で計算します。
主賓のお車代の相場は、1万円から3万円と言われていますが、会社の上司に頼んだ場合、少し多めに渡すケースもあります。主賓が会場の近くに居住しており、実際の交通費がほとんどかからない場合でも、1万円を目安にして準備するのがマナーです。
お車代の渡し方について
お車代の渡し方は、主に二種類。
・新郎新婦から直接手渡しする
・披露宴開始前もしくは披露宴の間に、親からお礼の挨拶を兼ねて手渡してもらう
上記の方法があります。新郎新婦は当日、何かとバタバタしていることが多いので、親から渡してもらう方法がおすすめ。プランナーと相談して、スムーズに渡せる方法をチョイスしてみてくださいね。
最後に
主賓を選ぶにあたって、頭に浮かんだ方はいましたか? 大切な主賓に失礼のないよう、マナーを守って結婚式準備を行いたいものですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
執筆/吉川沙織(よしかわさおり)さん
結婚式場内の衣装室や路面店にて衣装スタイリストとして勤務。挙式当日の着付けや、前撮り撮影などに携わる。趣味はピクニック。海外・国内ウエディングの流行チェックも好きです。
ライター所属:京都メディアライン