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2023.06.07

結納とはどんなもの? 今時の結納事情や、結納返しについて解説【専門家監修】

現在では結納を行うカップルは、以前と比べると減少傾向にあります。結納をすることになったので、周りに詳しい話を聞きたくても「結納を経験した人がいない」なんてことも…。今時、結納は必要なの? 最近の結納事情や、結納のお返しについて解説します。

結納とは

今まであなたの周りに、結納を行ったカップルはいましたか? 以前は、婚約することが決まると、ほとんどの家庭で行われていた結納も、現在では減少傾向にあります。最近は、結納の代わりに「両家顔合わせ食事会」を婚約のメインイベントとする家庭がほとんど。結納とはどんなものなのか、詳しく知っている人も、身近にあまりいないかもしれませんね。

「結納」とは婚約するにあたって、両家の間で「結納金」や「昆布・かつお節」などの結納品の受け渡しを行う、古来から行われていた婚約の儀式のこと。単に品物の受け渡しをするのではなく、口上(こうじょう)と呼ばれる挨拶があったり、決められた動作の順番があったりと、しきたりのある儀式です。

仲人(なこうど)の存在があった以前では、仲人が結納の場を仕切ることがほとんどでした。しかし、現在は仲人不在で行われる結納がほとんどなので、男性の父親が進行役を務めるパターンが多くみられます。

結納の起源は、様々な説があります。一説によれば、約1600年前の仁徳天皇(にんとくてんのう)の時代に、皇太子が結婚する際に「納采(のうさい)」という男性の親から女性の親に贈り物をする儀式をしたことが起源ではないかと言われています。現在でも皇室では、「納采の儀(のうさいのぎ)」が行われていますね。

和装で挨拶
(c)Shutterstock.com

関東ではお返しの品物を用意するのに対して、関西では返さないケースが多いなど、地域や家庭のしきたりによって、準備する品物や品数は様々です。本記事では、現在の結納事情や、結納返しなどについて紹介します。

最近の結納事情

現在では結納を行う家庭は、昔に比べると減少傾向にあります。しかし少数派とは言え、伝統的な婚約の儀式である、結納に重きを置く家庭が存在するのも事実です。

結納のスタイルを大きく2つに分けると、

・昔ながらのしきたりに従って結納を行う場合

・簡略化された結納を行う場合

の2種類に分かれます。結納の簡略化の形は人それぞれですが、「結納金」と呼ばれるお金のやり取りだけを行うケースや、腕時計やスーツ、婚約指輪などの婚約記念品のやり取りのみを行うスタイルなどが多いようです。最近では、「そもそも結納はしない」という選択を取る家庭も多くみられます。

ここでは、結納を行う場合に多くの人が取り入れている、簡略化されたスタイルの1つ「結納金のみの場合」と、「結納をしない場合」について解説します。

結納金のみの結納の場合

「結納金」とは、結納のときに男性側から女性側へ贈られるお金のことです。なお、男性が女性の姓を名乗る「婿取り婚」の場合は、女性側から男性側に贈られます。

結納金の金額に厳密な決まりはありません。昔は結納金の金額で「家の格を示す」という考え方がありましたが、時代と共にそのような考え方は変わってきています。一般的には100万円を目安に準備されることが多いようです。関東と関西では相場が異なり、関西のほうがやや金額が高い傾向にあると言われています。

結納金を準備する場合は、結納金袋に包んで用意しましょう。表書きは地域によって異なるので、事前に確認が必要です。100万円を超える場合は封筒ではなく、桐の金子箱に入れるのが一般的。風呂敷や袱紗(ふくさ)、切手盆など必要な道具も準備してくださいね。結納金は、新札で準備しておくのがマナーとされています。

結納をしない場合

今では「結納をしない」ことは、珍しいことではありません。最近では結納をしない代わりに、お互いの家族を紹介する場となる「両家顔合わせの食事会」を取り入れるカップルが増えています。

食事会なら、結納のようにかしこまった雰囲気の中で、決まった流れや口上の挨拶をする必要はありません。フォーマルな服装で、時間をかけてゆっくり食事ができる、ホテルや料亭などで行われることが多いので、両家の気持ち的な負担や、費用の負担も軽くなりますね。

単に食事をして交流するだけでなく、食事会の最後に記念撮影をしたり、結納品の代わりとして「婚約指輪」や「婚約指輪のお返しの品」などのお披露目が行われることもあります。

指輪を渡す
(c)Shutterstock.com

「結納をしない」ということは、決して珍しいことではありませんが、「結納を行わないことは失礼だ」という考えをお持ちのご家庭があるのも事実です。結納をしない場合は、一方的にどちらかの家庭が意見を押し付けるのではなく、相手側の意見を聞いて、慎重に話を進めましょう。

また、結納はしないけれど、親が新居や結婚式・新婚旅行にかかる費用を援助したりするなど、別の形で金銭の援助を受けるパターンもあります。

結納にかかる金額

結納のスタイルにもよりますが、結納にかかる費用は大きく分けると3種類に分かれます。

結納式の会場費用

会場にもよりますが、食事がコースの場合だと、大体1人あたり1~2万円が相場だと言われています。ウエディングや両家顔合わせ、結納がよく行われているホテルや料亭であれば、飲食代込みの「結納のパックプラン」が準備されているところもあるので、利用するのもおすすめです。パックプランを利用する場合は、相場は10万円~20万円前後が一般的。結納が女性宅で行われる場合は、飲食代が実費負担となります。

日本庭園
(c)Shutterstock.com

結納金

結納金の額は、一般的には100万円とされていますが、特に決まりはありません。50万円から、高額な結納金の場合だと200万円を超えることもあります。

結納品の費用

結納品を用意する場合は、品数や購入する場所によって金額が異なります。用意する結納品が、3品目の場合であれば1~5万円、5品目の場合であれば3~10万円、7品目の場合であれば3~15万円のように、品数が増えれば増えるほど金額も増加しますが、最近は少ない品数で行う結納が多い印象です。

結納返しは必要?

「結納のお返し」は必ずしも必要なものではありません。ただし、地域によっては結納返しを用意するところもあるので、それぞれの地域や家庭によってしきたりが異なるので、注意が必要です。

結納返しを用意する場合は、品物か現金、どちらを選んでもOK。品物の場合は、スーツや腕時計が一般的ですが、相手が欲しいものをあげるのもよいですね。現金で準備する場合は、関東では「相手から頂く結納金の半分」を目安に準備することが多く、関西では「結納返しはなし」もしくは「結納金の1割程度」をお返しとすることが多いと言われています。

結納返しについては、両家のトラブルを回避するためにも事前に相手側に相談するほうがベター。家庭によっても考えが異なるので「関西だから、結納返しはなしでいいか」と自己判断せずに、話し合いで決めるのが望ましいでしょう。

最後に

結納は、結婚する当事者の二人が主導権を握るのではなく、どちらかと言えば親がリードするイベントになります。結納を行うことが決まったら、どちらかの家庭が一方的に話を進めてしまうと、残念ながら今後の家族同士の付き合いに、ヒビが入る可能性も…。それぞれの家庭や地域によって、しきたりが異なるので事前によく両家で相談することが大切です。

結納をきっかけに、両家の絆がより深まることを願っています。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

執筆/吉川沙織(よしかわさおり)さん

結婚式場内の衣装室や路面店にて衣装スタイリストとして勤務。挙式当日の着付けや、前撮り撮影などに携わる。趣味はピクニック。海外・国内ウエディングの流行チェックも好きです。

ライター所属:京都メディアライン

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