奇を衒うの意味とは?
奇を衒うは、「きをてらう」と読みます。わざと変わった行動をして、人の注意を引こうとする行為です。
「奇」は普通とは違っている、珍しいという意味で、「衒う」は「自分の能力や行為などを誇り、行動や言葉にちらつかせる」という意味です。それぞれの意味を知ることで、奇を衒うの理解も深まるでしょう。
ここでは、奇を衒うの意味について解説します。
変わった行動で注目を集めようとすること
奇を衒うとは、わざと変わった行動をして注目を集めようとすることです。意図せず注目を浴びてしまった場合は奇を衒うとはいいません。あくまで、人の気を引きたいためにわざと行う行為を指して使う言葉です。
「奇を衒う」を「奇を狙う」とするのは間違いです。「衒う」と「狙う」は読み方が似ているため、誤って覚えていることもあるでしょう。わざと注目を集める行為は「狙う」ともいえそうですが、あくまでも正しいのは「衒う」です。間違いのないようにしましょう。
ネガティブな意味合いがある
「奇を衒う」は、わざと変わった行動をすることを非難するニュアンスがあります。注目を集めようとする行為は好ましくないことを表す言葉です。
基本的にネガティブな意味で使われる言葉であるため、ポジティブなシーンでは使わないようにしましょう。
例えば、良い行為をして注目を集めている人に対して「気を衒う」を使うと、失礼にあたります。
奇を衒うの例文
奇を衒うを正しく理解するために、いくつかの例文をみてみましょう。
・奇を衒ったことをして注目を集めても、良い結果は生まれない
・奇を衒ったつもりはなかったのに、結果として注目を集めてしまった
・奇を衒った行動で人気を集めても、一時的な効果で終わるに違いない
・気を衒わずにありのままで勝負すれば、多くの賛同を受けられるはずだ
・顧客を増やすには奇を衒ったアイデアを無理に考えるよりも、正攻法でアピールすることが大切だ
・彼には十分な実力があるため、気を衒った行動に出る必要がない
奇を衒うの言い換え表現
奇を衒うと同じく、わざと変わった行動をして注目を集めるという意味の言い換え表現は少なくありません。注目を集めることを狙って行動する「受けを狙う」や、相手が予測していないことをする「意表を突く」などがあげられます。
同じような意味をもつ表現を一緒に覚えれば、語彙力を増やせるでしょう。
奇を衒うの言い換え表現をご紹介します。
受けを狙う
受けを狙う(うけをねらう)は、評判や人気を呼ぶように狙って行動することです。「受け」とは世間の評判や反響、人気という意味があります。注目を集める目的でわざと行動するという点で、奇を衒うとよく似た表現です。
(「受けを狙う」の例文)
・受けを狙って冗談を言ったのに、誰も反応してくれなかった
・彼のスピーチはいつも受けを狙っていることが透けて見える
意表を突く
意表を突く(いひょうをつく)とは、予想外のことをしかけて驚かせるという意味です。「意表」の「表」は外側という意味で、「考えてもいなかったこと」「意外なこと」という意味があります。「不意を突く(ふいをつく)」という言い方もあり、意味はほぼ同じです。
相手の予想がつかないことをするという点で奇を衒うに似ていますが、意表を突くにはネガティブなニュアンスがありません。
(「意表を突く」の例文)
・彼のチームは意表を突いた作戦に出てきたため、強豪を相手に勝利することができた
・予期しない返答をもらい、彼女は意表を突かれた
型破り
型破り(かたやぶり)は、常識的な型や方法にはまらないという意味です。主に「型破りな新人」など、人を形容するときに使われます。
常識にあてはまらないという点で奇を衒うと似た部分はありますが、型破りにはあまりネガティブなニュアンスはありません。むしろ、「常識に縛られず自由な人」といったポジティブな意味合いで使われることの多い言葉です。
(「型破り」の例文)
・今度入社してきた新入社員は、かなり型破りな人物として期待されている
・あのロックスターは生涯にわたって型破りな生き方をしていた
奇を衒うの反対表現
奇を衒うの反対表現も複数あります。一緒に覚えておけば、奇を衒うの理解も深まるでしょう。
わざと変わった行動をするという意味の対極となるのは、ありのままで行動するということです。そのような意味に当てはまる言葉として、「正々堂々」や「教科書通り」などがあげられます。
ここでは、奇を衒うの反対表現をみていきましょう。
正々堂々
正々堂々(せいせいどうどう)は、態度や手段が正しくて立派な様子という意味です。奇を衒うような変わった行動をすることなく、正面から向き合う態度が立派であることを表しています。
(「正々堂々」の例文)
・彼は最後まで正々堂々とした態度をとっていたので、多くの人の共感を呼んだ
・正々堂々と戦うことが大切で、勝敗は二の次だ
教科書通り
教科書通り(きょうかしょどおり)とは、物事はこうあるべきという理念に忠実である様子を表す言葉です。
模範的な行為を称賛するなどポジティブな意味で使う一方、「型にはまっている」「融通が効かない」といったネガティブな意味で使われることもあります。
(「教科書通り」の例文)
・会社に問い合わせても、教科書通りの回答しか得られなかった
・教科書通りにできるのが理想だが、現実はなかなか難しい
奇を衒うは使い方に注意しよう
奇を衒うは、わざと注目を集めようする行動を非難するネガティブな意味合いの強い言葉です。良い行動をして注目を集めている人に使う言葉ではないため、注意しましょう。
奇を衒うには言い換え表現や反対表現も多く、合わせて覚えれば語彙を増やして会話の内容を豊かにできます。例文も参考に、奇を衒うの意味を正しく使いましょう。
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