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LIFESTYLE

2023.03.12

「花祭り」とはお釈迦様の誕生日を祝う行事|歴史や語源、行事の内容、甘茶を解説

お釈迦様の誕生日を祝う行事が「花祭り」です。今回は花祭りの概要やその歴史、語源などを解説します。あわせてどのような行事をしているのか、また行事で重要な役割を果たす甘茶とは何かも解説するため、ぜひ参考にしてください。

「花祭り」の基礎知識を解説

灌仏会

「花祭り」とは、お釈迦様の誕生日をお祝いする行事を指します。花祭りは、お釈迦様が生まれた日である4月8日を中心におこなわれます。仏教系の学校や幼稚園などに縁のある方ならば馴染みがあるものの、クリスマスとは違って花祭りには馴染みがない方が多いかもしれません。

はじめに、花祭りの意味や別の呼び方、歴史・由来、語源などの知識を詳しくチェックしていきましょう。

花祭りとはお釈迦様の誕生日を祝う行事

お釈迦様の誕生日である4月8日に実施される仏教のお祝いの行事のことを、花祭りといいます。お釈迦様とは仏教を開いた方のことです。現在のネパールにあるルンビニの花園で紀元前5世紀ごろに誕生したといわれています。

仏教ならば宗派を問わず、寺院や仏教系の学校などで広く祝われている行事です。日本では、草花で飾った花御堂<はなみどう>を作り、そのなかに灌仏桶を置いて甘茶<あまちゃ>を入れ、安置した誕生仏にひしゃくで甘茶をかけます。

「灌仏会」「降誕会」などとも称される

お釈迦様の誕生日をお祝いする花祭りには、「灌仏会」「降誕会」などのように別の呼び方があります。花祭りの別の呼び方は、以下のとおりです。

・灌仏会…… かんぶつえ
・降誕会…… ごうたんえ
・仏生会…… ぶっしょうえ
・浴仏会…… よくぶつえ
・竜華会…… りゅうげえ
・花会式…… はなえしき

このように、さまざまな呼び方がされています。このうち、灌仏会<かんぶつえ>と呼ばれはじめたのは、840年4月8日だといわれています。

花祭りの歴史・由来

花祭りは、もともとインドのあたりで広く親しまれていた行事です。中国では4世紀の後趙ではじまり、その後、唐や宋のころに広まりました。日本では、聖徳太子が活躍したころである606年4月8日から、花祭りの行事が始まったといわれています。

奈良時代には大きなお寺に広まりました。実際、花祭りで使われる仏像である誕生仏が、奈良時代のものが残っていたことが確認されています。平安時代にはお寺の年中行事として一般化し、江戸時代には寺子屋で庶民に広まりました。

花祭りの語源

花祭りという言葉は、明治時代の浄土宗の僧侶である安藤嶺丸が使い始めたものであるといわれています。花祭りがおこなわれる4月8日のころに桜の花が満開になること、ルンビニの花園でお釈迦様が生まれたことなどが語源として有力です。また、美濃部達吉などがお釈迦様の誕生日をドイツでお祝いした際に「Blumen Fest」という名称を使い、ニュースで「花まつり」として訳された影響もあるといわれています。

花祭りとはどのような行事?

花祭りの様子

花祭りとはどのような行事なのかも確認しましょう。

花祭りでは、花御堂を作って誕生仏に甘茶をかけて祝います。さらに、自分たちも甘茶をいただいて楽しむ行事です。たとえば寺院では、参拝者に甘茶がふるまわれることがあり、毎年多くの人で賑わいます。

それでは、花祭りにおこなうことや甘茶とはどういったものか、チェックしていきます。

花御堂を作り誕生仏に甘茶をかけて祝う

花祭りは、花御堂に安置された誕生仏にひしゃくで優しく甘茶をかけて拝み、お釈迦様の誕生をお祝いする行事です。花御堂とは花祭りのために作られる小さな堂のことで、椿や桜、レンギョウなどの花で大変華やかに飾りつけられます。

誕生仏とは、お釈迦様誕生の際の姿をかたどった立像のことです。誕生仏が天と地を指すポーズをしているのは、生まれてすぐにお釈迦様が7歩歩き、同様のポーズをして「天上天下唯我独尊」といったといわれているためです。天上天下唯我独尊とは、生きとし生けるものすべての命が尊いといった意味などがあります。

ひしゃくを使って誕生仏に甘茶をかけるのは、お釈迦様の産湯に関する伝説が由来です。かつて天から9頭の龍が現れ、香水(こうずい)と呼ばれる甘い水を注ぎ、それを産湯として使って、産まれたばかりのお釈迦様を清めたという言い伝えがもととなっているといわれています。

自分たちも甘茶をいただく

甘茶は、ひしゃくを使って誕生仏にかけるだけではありません。花祭りをおこなっている寺院では甘茶を配布している場合が多く、参加者たち自身も甘茶をいただけます。言い伝えによると、甘茶は飲むことで無病息災で過ごせるようになり、目につけることで目が良くなるなどの効果があるといわれているのです。

花祭りは、赤ちゃんの健康を願う行事でもあります。言い伝えでは、甘茶で赤ちゃんの頭をなでると元気で丈夫な子どもになるといわれています。害虫よけのおまじないとして、甘茶で墨をすって「千早振る卯月八日は吉日よ、神下げ虫を成敗ぞする」と書いたものを逆さまにして門口や柱に貼る風習もあるようです。

また、花祭りのなかには甘茶を用いないものもあります。

甘茶とは甘味料が入ったお茶ではない

花祭りの甘茶

甘茶という名前で呼ばれているため、甘味料が入ったお茶かと思うかもしれません。しかし甘茶とは、砂糖などの甘味料が入ったお茶ではありません。

実は、ヤマアジサイの変種である「アマチャ」という名の木の葉を乾燥し、煎じてお茶にしたものが甘茶です。黄褐色の色合いで、お茶そのものに甘みがあります。強い甘みを感じるもののカロリーはなく、花粉症やアレルギーなどの軽減、アンチエイジング作用などが期待できます。

花祭りを楽しもう!

灌仏会の様子

お釈迦様の誕生日を祝う行事である花祭りは、4月8日を中心におこなわれます。日本では聖徳太子が活躍したころから始まった行事です。花祭りでは、花御堂のなかに灌仏桶を置いて甘茶を入れ、安置した誕生仏にひしゃくで甘茶をかけます。

花祭りには、灌仏会や降誕会などのように別の呼び方が複数あります。花祭りをおこなっている寺院では甘茶を配布している場合が多いです。参加者たち自身も甘茶をいただけるため、花祭りについて理解したうえで行事を楽しむと良いでしょう。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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