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LIFESTYLE

2024.09.05

菊の節句(重陽の節句)の意味や由来とは? 過ごし方や行事食などもご紹介

菊の節句とは、重陽の節句(ちょうようのせっく)とも呼ばれる、9月9日にある五節句のひとつです。昔ながらの行事であるため、聴き慣れない方も多いかもしれませんが、この由来には様々な意味が込められています。本記事では、菊の節句の意味や由来、まつわる文化などを解説します。

重陽の節句はいつ? 由来や花も知ろう

(c)Shutterstock.com

重陽の節句は9月9日

重陽の節句(ちょうようのせっく)という行事を聞いたことはありますか? 「菊の節句」とも呼ばれる重陽の節句ですが、聞き馴染みのない方も多いと思います。

この重陽の節句は、9月9日にある五節句のひとつです。昔、奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考えられていました。縁起の良い陽数が連なる日をお祝いするようになったのが、五節句の始まりです。

「節句」と聞いて、5月5日の端午の節句や3月3日の桃の節句を思い出した方も多いのでは? 五節句とは、1月7日の人日(じんじつ)の節句と3月3日の上巳(じょうし)の節句(別名:桃の節句)、さらに5月5日の端午の節句、7月7日の七夕の節句、そして9月9日の重陽の節句のことを指します。

「人間万事塞翁が馬」、というようにめでたいことは悪いことにも転じやすいと言われています。そのため、五節句の日にはお祝いだけでなく、厄払いも行うようになりました。

そんな五節句の中でも最も大きな陽数である、9。それが重なる9月9日を「陽が重なる」と書いて重陽の節句と定め、不老長寿や繁栄を願う行事を行うようになったのです。

今は知名度が低いものの、昔は五節句を締めくくる行事として最も盛り上がっていたと言われています。

重陽の節句の由来と菊の花

(c)Shutterstock.com

重陽の節句は、元々中国を起源とする行事です。日本では、平安時代の貴族の宮中行事として取り入れられました。宮中では、菊花の宴が行われ、群臣が詩歌を作り、菊酒を飲んで、厄払いや長寿祈願をしていたそうですよ。

これが時代と共に全国へと広がり、江戸時代に五節句のひとつとして親しまれるようになりました。

五節句には、行事と関係のある植物の名を冠した別名がそれぞれにあります。1月7日は七草の節句、3月3日は桃の節句、5月5日は菖蒲の節句、7月7日は笹の節句、そして9月9日は菊の節句と呼ばれます。

あなたは菊の花にどのようなイメージを持っていますか? 高貴なイメージを持つ方や、はたまたお葬式などあまり良くないイメージを持つ方など、様々かもしれませんね。

菊は昔から薬草として用いられることもあり、延寿の力を持つとされてきました。「菊慈童(きくじどう)」という菊の露を飲んだことで、不老不死となった少年の伝説もあるほどです。実際の菊も他の花に比べて、開花期が長いのが特徴ですよ。また、皇室の象徴とされるなど、日本ではとても身近な花のひとつですね。

ちょうど旧暦の9月9日は菊が最も美しく咲く季節です。季節を代表する花であったことも、重陽の節句が菊の節句と呼ばれるようになった理由のひとつですよ。

重陽の節句の過ごし方・お菓子・菊湯・祭りまで

(c)Shutterstock.com

栗ごはん・秋茄子・祝膳・食用菊・菊のお菓子

3月3日の桃の節句で食べられるちらし寿司や、5月5日の端午の節句で食べられる柏餅。それらと同じように、重陽の節句にも「行事食」があります。重陽の節句は、ちょうど秋の収穫祭と同じ時期。そのため、重陽の節句の「行事食」には秋の食材が欠かせません。

栗ご飯

1つは栗ご飯。重陽の節句の別名は菊の節句でしたが、江戸時代の頃、庶民の間ではもう1つ別名がありました。それは「栗の節句」。栗ご飯は、元々秋の収穫祭で食べられてきた祝膳でした。それが江戸時代には重陽の節句でも食されるようになり、その風習が今でも受け継がれています。

秋ナス

「秋茄子嫁に食わすな(秋ナスは嫁に食わすな)」ということわざで有名な秋ナス。重陽の節句では秋ナスを食べる習わしがあります。また、「くんち(九日)にナスを食べると中風にならない」という言い伝えもあります。「くんち」は秋の収穫祭の総称の1つ。そして「中風」は、古くは風邪をひくことを指しました。そのため、重陽の節句では秋ナスを食べて豊作祝いや不老長寿、無病息災を祈りました。

食用菊・菊のお菓子

他にも食用菊や菊モチーフのお菓子など、菊の節句の別名になぞらえた行事食もあります。食用菊の王様と呼ばれる種類の名前は、「もってのほか」。この名前の由来の1つに、「もってのほか(とんでもないほど)美味しいから」があります。名前になるほど美味しいのなら、一度は食べてみたいですね。

菊の着せ綿

(c)Shutterstock.com

重陽の節句の楽しみ方の1つである、「着せ綿」はご存知でしょうか? 着せ綿は重陽の節句の前日に、菊の花に薄い綿をかぶせることから始めます。そして重陽の節句当日は、菊の露や香りを含んだ綿で体を清めるというもの。この「着せ綿」を行うと、長生きができると言われていますよ。

「着せ綿」に使う菊の種類に、決まりはありません。菊の花に、綿をベールのように被せて楽しむ人たちもいるそうです。

菊湯・菊枕

菊湯は湯船に菊を浮かべて入ること。5月5日に行う菖蒲湯や冬至の日に行う柚子湯とよく似ていますね。

菊枕は重陽の節句の晩、菊を詰めた枕で眠ることです。どちらも菊の香りで邪気を祓うために行われますよ。菊は多くの花屋で買うことができるので、気軽に楽しめそうですね。

菊合わせ

菊合わせは何人かで菊を持ち寄り、その美しさを競う行事です。現在でも重陽の節句の時期になると日本各地で菊の品評会や鑑賞会が行われます。また、菊そのものだけでなく、菊人形の展示が催されていることも。近くで行われていたら、観覧してみるのもいいかもしれませんね。

最後に

重陽の節句についていかがだったでしょうか? 別名「菊の節句」と呼ばれるだけあって、菊が主役ともいえる節句でしたね。また、菊の知られざる効能について、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

昔は五節句を締めくくる行事として最も盛り上がったと言われる、重陽の節句。この行事を体験をしたことがないという方も、記事を参考に今年は行事の一つとして取り入れてみてはいかがでしょうか?

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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