「親しい友達」「親しい仲」など、相手との関係の深さを表す時に使われる「親しい」という言葉。実は、それ以外にも複数の意味があることはご存知ですか? 今回は、「親しい」の3つの意味と近しいとの違い、類語や英語表現を紹介します。
親しいとは?
「親しい」を辞書で調べてみると、大きく分けて意味が3つあります。1つ目は、「互いに打ち解けて仲がよいこと」。みなさんがイメージするような、仲の良い友達に対して使われる意味です。2つ目は「血筋が近い」。こちらは、「親しい縁者」というように、血筋の近い親戚などを表す時に使われます。
続いて3つ目は、「いつも接していて、なじみ深い」。「その絵本は子どもの頃から読んでいて親しい」というように、なじみ深いものに対して使います。
使い方を例文でチェック!
「親しい」の意味を理解したところで、続いて使い方をみていきましょう。3つの例文を紹介します。
1:彼とは小学生の頃からの付き合いで、とても親しい間柄だ。
とても仲が良く、心を許し合っているような関係は「親しい間柄」と呼べるでしょう。特に家族ぐるみで仲良くしている幼なじみは、なんでも相談しあえるような信頼関係が育まれているもの。そんな親しみの意味を込めて「親しい間柄」と表現します。
2:同じクラスの○○さんは、実は親しい縁者ということがわかった。
血筋が近い、親戚関係であることを説明したい場合にも「親しい」は使われます。[1]に比べて使われる機会は少ないですが、念のため覚えておきましょう。
3:その歌は、学生の頃から喫茶店でよく聴いていて、耳に親しい。
「親しい」は、人以外にものとの関係を表す時にも使用します。本や音楽など、ことあるごとに接していて、愛着が感じられるものはありませんか? 個人的に思い入れのあるものなどにも「親しい」は使われます。
「親しい」と「近しい」の違いは?
親しいと響きが似た言葉に「近しい(ちかしい)」がありますが、こちらはどのような意味があるのでしょうか? 「近しい」は、「人と人とが心理的に近い関係にあるさま」。本来は「近い」と同じように、距離が近接している場合に使われていました。しかし近世になり、心理的な近さを表す時にも使われるようになったようです。
・彼とは近しい仲だ。
・家が近しいので、食事に誘った。
類語や言い換え表現
「親しい」のように、仲の良い関係を表す言葉はいくつもあります。ここでは、3つの言い換え表現を紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
1:睦まじい
仲がよく、親密なことを「睦まじい(むつまじい)」と表現します。「夫婦仲も睦まじく暮らす」というように、男女間の愛情が深い場合に用いられることが特徴です。気持ちが通じていて、互いに寄り添いあっているような様子がイメージできますね。特に恋愛関係や異性関係で用いられる言葉なので、「親しい」よりもやや意味は限定的です。
・近所の老夫婦はいつも仲睦まじい様子で歩いている。
・姉は仲睦まじいカップルになることに憧れている。
2:親密
「親密」は、「極めて仲がいいこと」。お互いの交際が深いことを意味します。「親密な間柄」というように、「親しい」とほぼ同じようなニュアンスで用いられますね。「親密」の「密」には、「隙間がないこと」「関係が深いこと」「こっそりと人に知られないようにすること」などの意味があります。ひそかに親しい関係を育んでいる様子が想像できますね。
・先輩とAちゃんは実は親密な間柄のようだ。
・2人が親密そうな様子で話しているところを目撃した。
3:懇意
「懇意(こんい)」とは、「親しく交際していること」「仲良く付き合うこと」。仕事でお世話になっている人などに対して使われます。「10年来懇意にしている」というように長年親しいお付き合いが続いている時に使われることがポイントです。ある程度お互いが打ち解けている様子が伝わってきますね。
・私は○○会社の社長と長年懇意にしている。
・今後ともご懇意にお願いいたします。
英語表現
「親しい」の英語表現には、「close」や「friendly」があります。「close」は距離が近いというニュアンスで、「親密な」という意味があり、「a close friend(親しい友人)」などと表現することができます。「friendly」は、「仲が良い」「友好的な」という意味。気さくな態度で接しているようなシチュエーションで用いられます。
・Ayaka is very close to me.(アヤカはとても親しい人です)
・Sato and I are very close friends.(佐藤さんと私はとても親しい友達です)
・The two were talking in a very friendly manner.(2人はとても親しい様子で話していた)
最後に
今回は、「親しい」の意味や使い方、言い換え表現、英語表現などをみていきました。「親しい」というと、友人関係などの「親しい間柄」をイメージしがちですが、意味はそれだけではありません。血筋の近い関係や自分にとってなじみ深いものに対しても使うことができることを覚えておきましょう。「近しい」や「睦まじい」との違いも理解して、うまく使い分けてみてはいかがでしょうか。
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