未婚率の増加
近年、未婚率の増加に伴う少子高齢化の急激な進展によって、さまざまな方面において影響が出始めています。昭和の時代とは異なり、生活スタイルや価値観が多様化したこともあって、未婚率は年齢別にみても増加傾向にあるようです。
この記事では、未婚についての現状や未婚を選ぶ理由、未婚に関する見方などについて解説します。
まず、未婚率についてですが、これは増加傾向にあるようです。それは20代でも30代でも40代でも、世代はあまり関係なくおおむね似ています。
厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書」によると、例えば女性の20~24歳では1980年に80%未満だったのが、2015年には90%以上に推移しました。同じく女性の30~34歳では、1980年には約10%だったのが、2015年には34%にまで上昇しています。なお、生涯未婚率については男性の方が高いです。
未婚率に関わってくるのが少子高齢化ですが、最近は今の社会経済を維持できないレベルにまで影響が及んでいるとされているのだとか。
将来的には、「ドライバー不足でネットの注文品が届かない」、「ガソリンや灯油が買えない」、「水道や橋が壊れても修復されない」などの状況が生じるのではないかという指摘があります。2021年、2022年ごろからそのような指摘が増えてきました。
今までは、コンビニや飲食店などがあるので、一人だけでも不自由なく生活することができました。また道路の修復やごみの回収、消火などの行政サービスについても携わる方々がいたからこそ、快適に安心して暮らすことができたのです。
しかし、人手不足でこれらのサービスが維持できなくなっていくとすれば、それらを自分自身でやらなければならなくなるかもしれません。
未婚率増加の原因に関して
未婚率が上昇したこと、つまり結婚できない・しない原因については一般的に、「経済状況が苦しい」「自分に合う相手がいない」と言われています。
この記事では、ちょっと違った見方をしてみましょう。まず「経済状況が苦しい」という理由ですが、世界を見渡せば日本に比べて、国全体でも一人当たりでもGDPが低い国(トルコやメキシコなど)は少なくありません。それらの国々では生活レベルの質も、日本より低いと言われています。
しかし、そのような状況であっても普通に結婚して子供を何人も生んでいる家庭はあります。もちろん社会情勢は日本とはかなり異なるので、単純に比較することはできません。とはいえ、これらの国々の状況から考えると、「経済的に苦しい」から結婚できないかというと、そうとも言い切れないと言えますね。
もう一つの「自分に合う相手がいない」については逆転の発想で、「たいていの相手なら誰とでも幸せになれるようにする」と考えてもいいのではないでしょうか? そもそも自分の理想を完璧に体現してくれるような人は、ほとんどいません。
日本経済の景気が停滞している現在において、とりわけ月収などについては、望むような月収の相手はそうそういないと思っておいた方が賢明です。年収分布を見ても、望むような金額に到達している人は少数。いたとしても、その状況が今後も続くという保証はどこにもありません。
また、付き合っている段階では理想に見えただけで、いざ結婚したら気になるところがたくさん出てくることがあるかもしれません。
しかし、そのようなことがあっても、自分の人間的な器を大きくする(自分の適応力を高める)ことで、相手を容認することができます(暴力などの深刻な問題となると話は異なりますが)。つまり、多少の我慢は必要というわけですね。我慢して、相手と向き合うことでいろいろなことを知り、人間的に成長できることもあるはず。
また、最初は相手に不満があっても、向き合う中で相手の良さに気が付いて満足する、ということもあるかもしれません。
好きな人生を選ぶ「自由」は「自己責任」と表裏一体
さて、昭和の時代では周囲が「早く結婚しなさい」「子供を産みなさい」と言うことがよくありました。この考えでは、「早く結婚しなさい」「子供を産みなさい」と言った側に、暗黙の了解で「結婚を支援する」「子育てを支える」という義務が生じます。
実際、昔(といってもせいぜい数十年前ですが)はお見合いが少なくなかったですし、子供を産むのも早かったとか。ご近所や知人など周りからの支援もあったのでしょう。
令和の今はそうではなくなりました。人生の選択肢は広がり、一般的には「結婚するのも出産するのも自由」とされています。人によって考えはさまざまですし、「正しさ」も相対的なものなので、選択肢が広がったこと自体はいいことだと言えるでしょう。しかし、「選択肢を選べる自由」について、1つ念頭に置いておくことがあります。
それは「自由と自己責任は表裏一体である」ということ。自分が選んだ結果が良くても悪くても、結果を受け入れる必要があります。
例えば、自分の好きなことをするために未婚でいて、仕事を失ってしまったとします。その後、一気に困窮するようなことがあっても、この論理に従うと、これは「自己責任」ということになります。
もちろん、物事には程度というものがありますから、ある程度は人生の選択肢が選べた方がいいのですが、「自由と自己責任は表裏一体である」ことは意識する必要がありますね。もし、人生の失敗を「自己責任」として片づけられることに違和感を覚えるのであれば、その根拠となる「自由」という考え方を疑ってみてもいいかもしれません。
未婚による人口減少などとは無縁の社会・集団もある
日本では未婚率の上昇で少子高齢化が問題とされていますが、世界にはそのようなこととは無縁の集団もあるのだそうです。最近ですと、インドの人口が世界一になったのではという指摘もありますし、アフリカも今世紀中に世界人口の半分を占めるとも言われています。ムスリムは今世紀には人口で世界最多になる、という予測もあるようです。
何が言いたいかというと、人口が減り続ける日本は、これら多数派の人々の価値観をある程度を受け入れる必要が出てくるかもしれない、ということです。基本的に、人数が多い集団ほど有利になりますよね。となれば、日本とこれらのグループとの人口差がどんどん開いていく中で、その力関係にも変化が生じるというわけです。
もちろん、平均的な日本人にとっては、それらの集団の価値観に対してまったく馴染みがないということもあるでしょう。しかし、現実味を帯びてきている以上、目をそらすこともできません。
未婚の英語表現
突然ですが、未婚は英語でどう表現するのでしょうか? 最後に、未婚の英語表現についても確認していきましょう。
未婚は英語で「unmarried」と表現されます。「married」に「結婚している」という意味になりますので、その否定形という形になるわけですね。
例文:
「an unmarried person(未婚者)」
「an unmarried mother(未婚の母)」
最後に
未婚について言葉の意味から内容まで、詳しく見てきました。未婚率の上昇に伴う少子高齢化は、国内の社会経済の維持だけではなく、海外の集団との力関係にまで影響してくるもの。なかなか個人だけの問題で完結するというわけにはいかないのかもしれませんね。
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