27歳のお金事情を紹介
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 単身世帯調査」(令和3年)から、20代の平均貯金額はいくらかをみてみましょう。
20代単身世帯の預貯金平均額は89万円
金融資産保有額平均は187万円ですから、残りの98万円は投資信託や保険商品、株式などの金融商品として保有しているということになるでしょう。預貯金と他の金融商品に分散し、貯金をしていくのはリスク分散になるのでおすすめです。
銀行口座を保有する人は多い
保有している金融商品で多いのは、預貯金(ゆうちょ銀行の貯金を含む)が95.3%で最多です。銀行口座は給与などの収入の振込みや公共料金、クレジットカードの引き落としなどで利用しますから、多いのも頷けます。
投資を利用する人は今後も増えそう
次いで多いのが、投資信託(MRF、MMFなどを含む)22.7%、株式18.8%などです。今の日本は低金利時代。銀行などの預貯金ではお金を増やすことができません。そこで注目されているのが投資です。資産形成で投資を利用する人は今後も増えていくでしょう。
保険商品は貯金しつつ保障を持てる
その次が、積立型保険商品(生保・損保)16.7%、個人年金保険14.3%です。このタイプの保険商品は、お金を貯金しつつ保障を持って万が一にも備えていくことができますから、パートナーや子供がいる人に人気があります。
貯金がない人は意外と多い
一方で、貯金がないという人もいます。20代は社会人になってそれほど年月が経っていないことから、貯金がないのは不思議ではありません。
20代で貯金できるかどうかは、収入額というより、貯金に対する興味の有無が大きく影響しているでしょう。収入があまり高くなくても、お金や貯金に興味があるとやりくりをして貯金をする人もいるからです。
27歳、これから必要になりそうなお金は
27歳といえば、環境にさまざまな変化が生じる年代ですよね。これからどんなお金が必要になるのかを知っておきましょう。
予備資金は必ず準備を
病気やケガで働くことが難しくなったり、急な退職や転職が生じたりしたときのために、予備資金を準備しておきましょう。どれだけ気を付けていても、災害や会社の倒産などは避けられません。
理想は何かあっても3~12ヶ月は生活できるくらいの貯金をしておくことです。特にひとり暮らしの人は、家賃や水道光熱費が払えるよう、相応額の準備をしておきましょう。1ヶ月どれくらいの生活費があればいいかを把握し、少しずつでも貯金するといいですね。
ライフイベント用資金
20代や30代は、結婚や出産、転職などのライフイベントが多い年代です。結婚や出産には相応のお金が必要になりますから、ライフイベント用の資金を貯金していきましょう。
・結婚
「ゼクシィ 結婚トレンド調査2022調べ」によると、挙式、披露宴などにかかる平均費用は、303.8万円です。それ以外にも新生活の準備や新婚旅行にかかるお金も意識しておくといいでしょう。
・出産
「公益社団法人 国民健康保険中央会」が発表している「出産費用の全国平均」をみると、出産には50~60万円程度かかるとされています。出産する医療機関や地域、出産の方法により金額は異なりますが、自然分娩の場合は自費扱いとなりますので、ある程度まとまったお金が必要です。
出産の場合、出産育児一時金や給付金などの公的支援もありますが、産休や育休を取得するとその間働けませんので、やはり貯金で準備しておくのが賢明でしょう。
キャリアチェンジのための準備資金
27歳というと、自分のキャリアについて意識しはじめる頃かもしれません。今の会社や仕事でキャリアを積むか、キャリアチェンジをして異業種でがんばるか、悩んでいるという人もいるのではないでしょうか。
キャリアチェンジを選択する場合で、会社を退職し転職をするのであれば、当面の生活費を確保しておく必要があります。また、スクールに通って新たな資格やスキル取得に挑む場合は、学費が必要です。
27歳からはじめる貯金
27歳から貯金をはじめる場合、何から取りかかればいいでしょうか。
【ステップ1】1ヶ月の収支を記録し、自分のお金の使い方をチェック
お金の使い方は人によってさまざまです。まずは自分がどのようにお金を使っているかを知ることからはじめましょう。現状を把握すれば、改善しやすくなります。
効率的なのは家計簿をつけることです。スケジュール帳や市販の家計簿を使ったり、家計簿ソフトやアプリを活用するといいですね。家計簿アプリは、銀行口座やクレジットカード、電子マネーと連携しておけば勝手に記録してくれますので、とても楽ですよ。
1ヶ月の収支が記録できたら、お金をどのように使ったかを見直し、無駄だと思った支出には何かを確認しましょう。そのときどんな気持ちでお金を使ったか、それを振り返ることで無駄遣い防止につながります。
収支の記録はできれば継続していきましょう。家計簿が生活の習慣になること自体が無駄遣いの防止になることもあります。支出を見直すと、おのずと貯金に回せるお金が増えていきますよ。
【ステップ2】お金について知る
貯金するのであれば、効率的にお金を増やしていきたいですよね。貯金を増やすためには、どんな金融商品があるか、どのように活用すればいいかを知る必要があります。
金融商品には、さまざまな種類があります。商品によっては元本割れのリスクが高いものもありますから注意が必要です。投資を考えるのであれば、生活に必要なお金に影響が出ないようにしましょう。少額からスターとしたり、余剰金を活用したりするのが賢明です。
27歳であれば、比較的安定している投資を選ぶのがいいですね。そのためにも、しっかりとお金について知識を得ることが大切です。メリットだけでなくデメリットも正確に把握するようにしましょう。
【ステップ3】先取り貯金をはじめる
余ったお金を貯金に回すのもいいのですが、それだとなかなか貯金は増えないかもしれません。確実に貯金をする場合は、先取り貯金を取り入れましょう。
給与などが支給されたらすぐに貯金分を貯金用口座に入れ、残ったお金は生活費やレジャーに使います。貯金用口座は、銀行の普通預金でもいいですが、定期預金や積立定期などが適しているでしょう。普通預金よりも少しだけ金利がよく、お金の引き出しに手間がかかりますので、貯金を継続しやすいというメリットがあります。
最後に
27歳で資産運用をしている人もいますが、貯金がないという人も少なくありません。27歳はライフイベントやキャリアチェンジなどを意識しはじめることもあり、変化の多い年代です。経済的に安心して暮らすには、お金の使い方を見直し、資産形成を視野にいれるのが賢明です。家計管理や先取り貯金など、取り組みやすいものからはじめてみましょう。
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益田瑛己子
ライター・キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー。金融機関の営業職として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)と就職支援をメインに活動中。3人の子供が自立し、仕事と趣味を謳歌している。
ライター所属:京都メディアライン