会話のきっかけになる魔法のトピックス「天気の話」
働く私たちにとって、「天気」は切っても切れない毎日の関心事! だからこそ、会話のきっかけにもなる天気の話は知っておいて損はなし。そんな天気にまつわるちょっとしたこぼれ話を、ラジオDJ・サッシャさんと天気予報士の杉江勇次さんに教えていただきます。明日から使える天気の話、ぜひ参考にしてみてくださいね。
▲ラジオDJ・サッシャさん(写真:左)
1976年生まれ、ドイツ・フランクフルト出身。日本語・ドイツ語・英語のトライリンガル。J-WAVE『STEP ONE』のナビゲーターをはじめとしたMC業のみならず、各種スポーツ実況などでも活躍。気象予報士になるべく、現在勉強中!
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▲気象予報士・杉江勇次さん(写真:右)
すぎえ・ゆうじ/1968年生まれ、千葉県出身。1995年に気象予報士の資格を取得し、1996年にウェザーマップに所属。主な出演番組に、日本テレビ系『ズームイン!!サタデー』『news every.サタデー』など。
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「天気はズレる」東京の天気予報は世界一難しい!?
杉江さん(以下・杉):東京の雪を予報するのは本当に難しいんですよ。世界一難しいと言っても、大袈裟ではないかもしれません。
サッシャさん(以下・サ):えっ、そんなに!? たとえば日本海側は、冬型の気圧配置があれば強い寒気によって発生した雪雲が雪を降らせますよね。
杉:東京で雪が降るのは、“南岸低気圧”が太平洋の沿岸を通るときなんですが、その通過コースだったり、そのときの地上の気温や湿度、さらには上空の温度のどれかがほんの少し変わるだけで、予報はハズレちゃうんですよ…。
サ:ただ気温が低ければ雪が降る、というわけではないですもんね。
杉:東京って気温が下がっても大体0℃。0℃か1℃か… という雨が雪になるかどうかの気温の境目にある大都市って、東京くらいなんです。でも、もし気温が1℃だとわかっていても、湿度が70%なのか75%なのか? その5%の違いで、天候はみぞれか雨かで変わってしまう。いつも悩んではよく外しがちです(苦笑)。
サ:細かな条件が重なったり、影響し合った結果が、東京の雪につながる… と。予報するのが難しいということは、予想もしなかった大雪が突然降る可能性もあるということですよね。「どうせ降らないだろう」と思わず、危機管理もしっかりしなきゃいけませんね。
杉:でも、こんなふうに予報が難しい大都市があることも、日本の天気予報がこれほどまで発達した大きな理由だと思うんです。コンピューターの計算ひとつで簡単に予報が当たるなら気象予報士はいらないし、みんなこんなにも考えない。“天気ハズレる”んじゃなくて、“天気はズレる”んです。これ、杉江論です(笑)。
サ:難しいからこそ、どんどんレベルアップしていく。これも日本の天気の面白いところですね!
働く私たちが天気を変えている!?
杉:東京は日・月曜の朝は冷え込みやすく、週の後半は雨の日が多くなりやすいって知ってます?
サ:初耳です! なぜですか?
杉:その理由は経済活動なんです。月~金曜は人工排熱(人間活動によって生じる熱)が多いので土曜までは冷え込まないんですが…。
サ:土・日曜は都心での経済活動が減少して人工排熱も減るから、日・月曜は冷えやすいんだ!
杉:週の後半に雨が多いのも同じ理由なんです。雨って、水の粒の核になるチリが空気中にないと降らないですよね?
サ:なるほど。月曜から経済活動が活発になって、人間がたくさん動いたり、車が多く走ったりする。するとチリが舞って、週後半にかけて空気中に増えていく… と。
杉:そう! だから、週の後半は雨が降りやすくなるんです。5~10年くらいの長期スパンで曜日ごとの統計をとると、この結果が見えてきます。
サ:僕たちの行動が、天気に影響を与えるなんて… 興味深い!
2023年Oggi1月号「天気の雑談力」より
撮影/谷口 巧(Pygmy Company) スタイリスト/久保コウヘイ ヘア&メイク/塩田勝樹(Sui) イラスト/mollydomon 構成/旧井菜月
再構成/Oggi.jp編集部