歯と肥満って関係する?
万病の元と言われる、肥満。肥満は健康に悪い影響を及ぼすことは知られていますね。
現在の日本人女性の肥満の割合は22.3%で、30代から50代にかけて肥満の人は増えていきます(厚生労働省|国民健康・栄養調査より)。
また、肥満の状態に高血圧や高血糖、脂質代謝異常など複数の生活習慣病が組み合わさった状態であるメタボリックシンドロームも40代から徐々に増える傾向があります。
これら肥満・メタボは、生活習慣や食生活に影響していますが、実は歯にも関係していることをご存知ですか?
口の中は万病の元となるのです。今回は知っておきたい肥満・メタボと口の関係性について解説していきます。
肥満の人は歯周病になりやすい
肥満の人はそうでない人と比較して、3.4倍ほど歯周病になりやすいという研究結果があります。特に重度の肥満の人では8.6倍も歯周病になりやすいそう(九州大学の研究より)。
また、20~59歳の成人でBMI値(体格指数)が高いほど、歯周病患者の割合が高いこともわかっています(同大学研究より)。
肥満と歯周病は、肥満時の脂肪細胞から放出される“TNF-α”という炎症に大きく作用するたんぱく質が関係しているのではないかと言われています。
肥満、歯周病に関わる「糖尿病」
歯周病は糖尿病を悪化させ、糖尿病は歯周病を悪化させるという相互関係があり、メタボの人が糖尿病にかかるリスクはそうでない人の約3倍。肥満と糖尿病、メタボと歯周病はそれぞれに悪影響を及ぼします。
また、その影響だけにとどまらず、メタボと歯周病が一緒に進行していくと脳卒中や心筋梗塞のリスクをより高めるなど、他の疾患に繋がる可能性も。
メタボの主な要因である高血糖、高血圧、高脂血症は、当然ですが食生活が関係しています。体型と歯、どちらからもケアが必要なのです。
よく噛める歯が体の健康には欠かせない
歯科医からのアドバイスは、栄養バランスの良い食事をよく噛んで食べることが大切。当たり前のことですが、これが本当に大事なことです。よく噛むことは満腹中枢を刺激し、食べすぎを防ぐことができますからね。
歯周病は歯医者さんで行う専門的なメンテナンスと、ご自身で行うセルフケアの両方の力で予防していきましょう。食べたら歯磨きを行う習慣は、間食の防止にも繋がるためしっかりと習慣化したいですね。
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Oggi.jp's 野尻真里
日本審美歯科学会所属の歯科医師。朝日大学を現役卒業後「うずら歯科」に勤務。写真集『美人女医図鑑』を発売中。華道脇教授の資格を持つなど充実した趣味と、美容やファッションにもこだわっているインスタグラム@nojirimari も要チェック!