ビジネスメールは「簡潔で正確」がマナー
ビジネスにおけるメールは、手紙と電話の中間のような位置付けにあり、会話のように瞬時に判断しながらやりとりをしなくても、一呼吸おいて、適した表現を考えることができる便利なコミュニケーションツール。その名の通り「ビジネス」のメールですから、簡潔で正確が第一です。メールでは手書きの文字による好印象は伝わりませんので、その分、言葉選びや構成、タイミングに工夫が必要です。
40年近く手紙の代筆業に携わってきた手紙コンサルタントの亀井ゆかりさんの新著『短いのに感じがいいメールが悩まず書ける本』より、よくあるシーン別の上手なメールの書き方をご紹介します。
▲『短いのに感じがいいメールが悩まず書ける本』亀井ゆかり 著(日本実業出版社)
関係の浅い相手に営業メールを送る
営業メールの書き方のポイントは、まず、本文は簡潔に、要点を1つにしぼって書くことです。あれやこれやと書かずに、相手の求めるもの、あるいは興味をもってもらえるものは何か推し量り、ポイントをおさえて、相手にとっての「メリット」を伝えることが大切です。
初めての相手へのアプローチの場合は、「初めてメールを差し上げます」などの挨拶文からはじめます。そして、こちらの事業内容や扱っている商品などを簡潔に紹介し、今回はどのような主旨のメールであるかを述べます。誰かの紹介で、あるいはWeb上に掲載された記事を拝読したなど、どのような経緯でアプローチするに至ったかといったことも、記載するのがマナーと言えます。
営業や商談は、相手の貴重な時間をこちらとの交渉に費やしてもらうことからスタートします。相手に要件やメリットが伝わり、アポイントを取る段階では、提示する候補日は複数挙げるようにしましょう。
また、「○日以内に」「今週末までに」など、回答や連絡、注文などの期限を設定することで、優先度が上がり、返信率を高めることが期待できます。
【シーン事例:新規開拓先へのメール】
◆基本の文例
○○株式会社
○○部 ご担当者様
[1]初めてメールをいたします。
○○株式会社○○部の○○と申します。
弊社は業界のパイオニアとして、○○で使用される○○を扱うメーカーで、高性能な品質を評価され、○○機器では世界シェア45%を誇っております。
貴社のホームページを拝見し、現在展開されている○○の開発に関しまして、[2]弊社の技術が効率化のお役に立てるのではないかと、ご連絡させていただきました。
ご多用中と存じますので、大変恐縮ではございますが、[3]直接ご説明させていただきたく、1時間ほどお時間を頂戴できますでしょうか。
下記の日時など、ご都合はいかがでしょうか。
・○月○日(○)14:00~
・○月○日(○)11:00~
・○月○日(○)16:00~
上記日程以外をご希望の場合は、ご都合をお知らせくださいましたら幸甚です。
尚、当社の事業内容につきましては、PDFにて資料を添付させていただきます。
[4]略儀ではございますが、まずはメールにてご挨拶申し上げます。
[1]〜[4]については、下記のようなバリエイーションも考えられます。
[1]初めてメールをいたします。
▶○○様のご紹介でメールを送らせていただきました。
▶突然のメール失礼いたします。
▶初めてご連絡差し上げます。
[2]弊社の技術が効率化のお役に立てるのではないかと、ご連絡させていただきました。
▶弊社の技術をご活用いただくことで、開発のお力添えをできましたらと考えております。
▶弊社の技術と、実績ある貴社との連携により貴社ビジネスのさらなる拡大につながればと考えております。
[3]直接ご説明させていただきたく、1時間ほどお時間を頂戴できますでしょうか。
▶貴社をご訪問の上、直接ご説明の機会をいただければと思います。
▶直接ご説明と簡単なデモをお見せしたく存じますが、来週のご都合はいかがでしょうか。
▶もしご興味をお持ちであれば、直接ご説明にお伺いしたく存じます。
[4]略儀ではございますが、まずはメールにてご挨拶申し上げます。
▶お手数ではございますが、ご検討いただけましたら幸いでございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
▶ご連絡(ご返信)をお待ちしております。
▶突然のご連絡で恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
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ビジネスメールは、ちょっとしたことを心がけるだけで、相手も助かりますし、自分の仕事の効率も上がります。今すぐできることばかりなので、ぜひトライしてみてください。
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亀井ゆかり
手紙コンサルタント。兵庫県在住。関西外国語短期大学を卒業後、大手通信機器メーカーに就職し、役員秘書を務める。結婚を機に退職した後、同僚の勧めで挨拶状を中心とした代筆業を始め、大企業から個人経営の店舗まで、あらゆる業種の顧客に向けて28年間で代筆した手紙は30万通を超える。
現在は、代筆業だけでなく「自筆の手紙は思いを伝える最高の手段」という信念のもとに、手紙コンサルタントとして企業、学校、個人の手紙相談、手紙指導なども行っている。
最新刊『短いのに感じがいいメールが悩まず書ける本』(日本実業出版社)が好評発売中。