雑穀の「雑」には深い意味があった!
お米を主食にしている方たちのあいだでも、白米が大好きな方や玄米を食べている方。なかには、白米と玄米を半々で食べている方もいれば、雑穀を混ぜて食べている方もいるでしょう。
特に、玄米や雑穀は、「健康・美容のために食べるようにしている」という方も多いかもしれませんね。
また、ここ数年における健康志向の高まりから、「毎日食べるものでもある主食を見直すようになった」「主食をより健康的なものに変えたい」という声もよく耳にします。
そこで今回は、後者の“雑穀”の魅力について、お話していきたいと思います。
雑穀とは?
まず、雑穀とは。「雑」という漢字が使われているためか、粗い、大まか、主要でないというイメージを持たれがち。ですが、ほかにも入り混じる、細々している、色とりどりという意味を持っていたり、雑草、雑炊、雑食などに見られるように、“力強さのあるたくましいもの”にこの漢字が使われることから、雑穀の雑も同様の意味を持つという説もあります。
具体的な例を挙げると、あわやひえ、きび、高きび、大麦(押し麦)、はと麦、黒米、赤米、そばの実、キヌア、アマランサス。ほかにもまだいくつもあるのですが、一般的には、「主食以外に利用されている穀物」をまとめて、雑穀と呼んでいます。
では、これらの雑穀を食べることで、どのような効果・効能に期待できるのでしょうか。
雑穀に期待される効果とは…
雑穀といっても、その種類はさまざまです。
それゆえ、栄養面においてもそれぞれに特徴があるのですが、ここでは代表的なものをピックアップ。そして、その栄養を豊富に含む雑穀の例を挙げていきたいと思います。
雑穀の栄養と効果・効能
●ビタミンB1
補酵素として、糖質の代謝に関わるあわ、キヌア、そばの実、高きび
●ビタミンB2
補酵素として、糖質や脂質の代謝に関わる・皮膚や髪、爪などの細胞の新生に関与するキヌア、アマランサス、高きび、そばの実
●ビタミンB6
たんぱく質の分解や再合成に関わるアマランサス、キヌア、そばの実、高きび
●鉄
赤血球を作る・酸素を全身に運搬、貯蔵するアマランサス、あわ、キヌア、高きび
●亜鉛
味覚を正常に保つ・細胞の生成、成長を促すアマランサス、キヌア、きび、あわ
●カリウム
ナトリウムの排泄を促すアマランサス、高きび、キヌア、そばの実
●食物繊維
お腹の調子を整える・糖質の吸収を穏やかにする高きび、押し麦、アマランサス、キヌア
●ポリフェノール類
活性酸素を除去する抗酸化作用を持つ赤米、黒米、あわ、きび、高きび
こうしてみると、普段の食生活からは不足しがちな栄養や、水溶性で体内に蓄えることが難しい栄養を含むことがわかりますよね。雑穀を食べることで、それらの栄養を体内に取り入れられるとわかったら、次は“食べるときのポイント”が気になってくるのではないでしょうか。
雑穀の数は多ければ多いほどいい? 毎日食べてもいいの?
雑穀の食べ方としておすすめなのは、白米に混ぜて炊く方法です。
雑穀を食べ慣れていない方や、あまり得意でない方は、少数の雑穀を少量混ぜて炊くと、比較的食べやすいでしょう。
例えば、あわやきび、ひえなどは、粒が小さくて煮えやすいうえに、白米の色・見た目・味を大きく変えることがなく、雑穀スターターの方でも取り入れやすいのが特徴です。
押し麦(※)もまた、煮えやすく味に癖が少ない雑穀です。見た目も白色をしていて、白米に馴染みやすいでしょう。お米とは異なるプリッとした食感があるものの、食べやすい雑穀に分類することができるひとつです。
※押し麦については、次の項目で解説していきます。
食べ方のポイントは、食べやすい雑穀から少しずつ慣らしていき、それから種類・量を増やしてみることです。
スーパーや健康食品売り場で購入できる十六穀米、十八穀米といった複数の雑穀がミックスされたものは、手軽により多くの栄養を補うことができる一方で、粒が大きく、味や食感、色に特徴があるものも含まれます。いろいろと試してみて、好みの雑穀・配分を見つけるのもまた楽しいでしょう。
食べる量に関しては、基本的に“毎日”でも問題ありません。ただし、極端に量が多かったり、食べていてお腹が緩くなったり、張ったりする場合は、体質に合わないものが含まれていることも考えられるので、体のようすをみながら取り入れるようにしましょう。
※雑穀に限らず、食品と薬等に不安がある方は、医療機関に相談しましょう。
ダイエット中におすすめの雑穀が知りたい!
最後に。健康や美容など、雑穀を食べる目的はさまざまですが、ダイエットに関してはどうでしょう。
ダイエットにメリットがある雑穀は…?
おすすめは、“押し麦”です。
押し麦は、大麦を精麦したあとに蒸して、ローラーで押しつぶした雑穀。糖質や脂質の代謝に関わるビタミンB2のほかにも、ナトリウムの排出を促すカリウム、歯・骨を作り、強くするカルシウム、筋肉の材料となるたんぱく質を豊富に含みます。
さらに、注目すべきなのは、水溶性食物繊維(糖質の吸収を緩やかにして、血糖値をコントロールする)と不溶性食物繊維(保水性が高く、腸のぜん動運動を活発にして便通を促す)をバランスよく含むということ。“お腹スッキリ”に期待できるだけでなく、白米に混ぜて主食として食べる以外にも、茹で押し麦にしてサラダや炒め物、煮物、和え物に混ぜても美味しく食べることができるでしょう。
食欲がない朝は、スープに茹でた押し麦をプラスするのも◎。
朝は、大腸がもっとも動く時間だと言われているため、スープで温める&バランスよく食物繊維をとることで、さらなるスッキリ効果を狙ってみてはいかがでしょうか。
鍋にたっぷりの水と塩を入れて沸騰させたら、押し麦を加えて15~20分。火が通ったらザルに移し、ぬめりがなくなるまで流水で洗って水気を切れば、茹で押し麦の完成です。
※食べきれなかった分は、ラップで平らに包んで、冷凍庫へ。1週間ほど保存が可能です。
毎日の食卓に雑穀をプラスすれば、不足しがちな栄養を手軽に取り入れたり、栄養バランスを整えたりするのに役立ってくれるでしょう。
次回は、雑穀ご飯の美味しい炊き方についてお話します。
ヨガインストラクター/発酵食品ソムリエ 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀スーパーフードマイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと、執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
Instagram:@saori_takagi