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「君子、危うきに近寄らず」の意味
「君子(くんし)、危(あや)うきに近寄らず」は「自分から危ない場所には近づかず、行動に気をつけるという意味です。
慎重に行動するべき、危ない場所には近づかないようにという教訓や注意喚起として使われることが多い言葉ですが、自分が苦手なことを避けるために、冗談まじりで使われる場合もあります。
「君子、危うきに近寄らず」の由来
「君子、危うきに近寄らず」は、誰もが一度は聞いたことがある言葉だと思いますが、実は正確な出典は不明とされています。
似ている言葉として、中国の春秋時代の詩人・哲学者である孔子の歴史書『春秋』に「君子不近刑人」という一文があり、これが「君子、危うきに近寄らず」の由来という説があります。
「君子、危うきに近寄らず」の「君子」とは
「君子」とはどのような人?
「君子」とは、古代中国の言葉で、学識・人格ともに優れた立派な人物を指し、立派な人、上位の立場にある人なども「君子」と呼ばれます。
「君子、危に近寄らず」は、君子がすべき態度や行動はどのようなものかを説明しており、君子と呼ばれるほど優秀な人物であれば、危険な場所に近づいたり、自分の身を危険にさらす行動はしないということを伝えています。
賢い人は危険な場所や人には近づかないものである、と読み取れますね。
「君子」は論語に由来する
「君子、危うきに近寄らず」の出典は不明とされていますが、「君子」という言葉は中国の『論語』が由来。
『論語』は中国の思想家・哲学者、そして儒家の始祖と言われる孔子の教えを弟子達が記録した書物で、儒教における「四書」の1つ。現在でも教育やビジネス、生活面の土台となる考え方を説いています。
「君子、危うきに近寄らず」の類語
触らぬ神に祟りなし
その物事に関わらりを持たなければ、余計な問題や災いを招くことはない、という意味のことわざ。
「面倒なことに余計な手出しはするな」というニュアンスで、教訓や注意喚起として使われます。
李下(りか)に冠を正さず
「自分の行動には用心し、誤解を招くようなことはするべきではない」という意味です。
「李下」はすももの木の下を指す言葉で、そこで冠を直そうと手を伸ばすと、すももを盗んでいるように見えることから、「疑われてしまうような行動は慎むべき」という注意喚起の言葉として使われています。
瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず
「李下に冠を正さず」と同じような使われ方をします。「瓜田」は瓜の畑、「履」は履きものを指し、「瓜田に入ると瓜泥棒に間違われるから、足を踏み入れてはいけない」という意味になります。転じて、「泥棒と疑われるような行動は慎むべき」という意味で使われる言葉です。
「君子、危うきに近寄らず」を使った例文
都合の良すぎる話には「君子、危うきに近寄らず」というように気をつけた方がいい。
「ただより高いものはない」ということわざがあるように、条件の良い話にはそれなりのリスクが隠されていることが多々あります。メリットの多い話ほど、慎重に判断するよう気をつけたいですね。
危険運転をしているような車には「君子、危うきに近寄らず」を徹底しよう。
煽り運転やスピードを出しすぎている車などは、事故やトラブルの原因になる可能性があります。巻き込まれないよう注意喚起をするときに使える定文です。
悪天候の日に出かけようとしたら「君子、危うきに近寄らず」と注意された。
台風や大雪の日などは、交通機関が乱れたり転倒の危険性などが高くなります。「大丈夫だろう」と安易に出かけると、そういった危険に遭遇してしまうかもしれません。天候に関わらず、イレギュラーな環境下では「君子、危うきに近寄らず」を肝に銘じておきましょう。
「君子、危うきに近寄らず」の英語表現
A wise man never courts danger.
「wise man」は「賢人」という意味があり、「賢人は危険を犯さない」という訳になります。
Keep out of harm’s way.
「Keep out」は立ち入り禁止、「harm’s way」は「危険な場所や状況」という意味があります。「危険な場所には立ち入るな」と訳すことができ、注意喚起として使う場合はとても分かりやすい英語表現です。
The wise man keeps away from danger.
「wise man」は前述した通り「賢人」、「keeps away」は「遠ざける」という意味なので、「賢人は危険を遠ざける」と訳すことができます。英語でも元のことわざとほぼ同じ意味で表現することができますね。
最後に
「君子、危うきに近寄らず」の意味や由来、英語表現などを解説しました。英語表現もシンプルで分かりやすいことから、世界共通の教訓と言えるかもしれませんね。
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