社会人なら知っておきたい、お金の話〜円安・円高〜
連日、ニュースを賑わす円安。輸入・輸出以外にも、私たちにとって身近な海外旅行や日々の家計にも響いてきます。でも、一体どんな状況のことか説明できますか?
今回は、この円安・円高について解説していきます。
円安とは外国の通貨に対して円の価値が低いこと
円安とは「外国為替相場で、円貨が外国通貨に対して相対的に価値が低いこと」をいいます。
反対に「外国為替相場で、円貨が外国通貨に対して相対的に価値が高いこと」が円高ですね。
◆米ドルを基準に考えてみる
外国為替取引は異なる通貨との取引のことで、日本円と米ドル、日本円とユーロ、米ドルとユーロ… と取引通貨の組み合わせがたくさんできますね。そのすべての組み合わせについて為替レートを表示することは大変かつ複雑になるため、取引量が多い米ドルを基軸通貨として、為替レートを出しています。
例えば…
1ドル=140円
1ドル=0.5ユーロ
ということが算出されていれば、1ユーロを日本円で換算することが可能になります。
0.5ユーロ=140円
1ユーロ=280円
この考え方は米ドルの1ドルを基準にしているので、変動するのはドルと取引する通貨です。
つまり1ドル=140円となるときもあれば、1ドル=70円となるときもあります。
この変動は通貨取引の需要と供給で決まります。
通常、欲しい人が多いと価値が高まり、値段は上がります。ドルが欲しい人が多いときは140円を出しても交換をしたいと思います。つまりドルの価値が高まり、対して円の価値が下がっている状況になります。これが円安です。円の価値が安くなっているといえるんですね。
一方、ドルが欲しい人が少ないときは70円なら交換しても良いかなと思います。つまりドルの価値が下がり、比して円の価値が高まっている状況になります。
1ドル=140円のときと同様の140円を準備して1ドル=70円で交換したら2ドル手に入れられることになりますよね。このような状態のときは円の価値が高まっている、円高であることを感じていただけたでしょうか。
円安がいいの? 円高がいいの?
日本国内にいると、基本的にはお互いに取引には日本円を使っており、円安も円高もあまり意識する場面がないかもしれません。
しかし、外国との取引が発生する場面において大きな違いがでてきます。
◆円高は、輸入メインの企業がメリットを得やすい
通常100ドルで外国から買い付けている製品がある場合、円安(1ドル=140円の場合)だと14,000円必要となり、円高(1ドル=70円の場合)だと7,000円必要となります。つまり、外国からの輸入の場面を考えると円高は安く購入でき、円安は購入費用がかさみ、苦戦することになります。
そのため、輸入をメインとしている企業は円高はチャンスになりますが、外国から入ってくる製品が安くなると日本製の商品が割高に感じられてしまいます。
◆円安は、輸出メインの企業がメリットを得やすい
逆に通常100ドルで外国に販売している製品がある場合、円安だと14,000円で販売することができ、円高だと7,000円で販売することになります。そのため、外国への輸出を考えると円安は利益を得やすいことがわかりますね。
そのため、輸出をメインにしている企業は円安はチャンスになります。海外にたくさん販売できるとなれば設備投資なども促進されます。
◆海外旅行するときは?
それでは最後に。
わたしたちが米国に海外旅行をする場合には円安、円高どちらが良いでしょうか?
正解は円高。
100ドル持って行こうと思った時、円安だと14,000円必要ですが、円高だと7,000円で足ります。同じ日本円をドルに両替した場合、円高なら200ドル手にすることができます。
海外旅行を予定してる方はその国の通貨の為替動向も注目しながら、円高のタイミングで円から両替するのがいいですね。
※今回は、わかりやすくするために両替にかかる為替手数料は考慮していません。また、今回はドルで考えましたが、ドルが円安だとドル以外の通貨も円安ということではありません。それぞれの通貨において円の価値を考えた上で両替等をご検討ください。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!