日本の睡眠時間はとても少ない
日本は、世界でトップクラスの「眠れていない国」と言っても過言ではありません。厚生労働省の「平成30年(2018年)国民健康・栄養調査」では、21.7%の人が「睡眠で休養が十分に取れていない」と回答。
この比率は30代に限れば33.4%に達し、2009年の調査以降年々増加傾向にあり、経済協力開発機構(OECD)が調査した33ヶ国のうち日本の平均睡眠時間は最低という結果が出ています。
良質な休養のために時間を確保することも予防医学を実践する上でとても重要です。休養は「休む」と「養う」という二つの言葉から出来ています。
「休む」とは、仕事や活動によって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態に戻すことです。「養う」とは、明日に向かっての鋭気を蓄え、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めることです。この二つが伴って始めて良質な休養と言えるのです。
睡眠には「脳や交感神経を休ませる」「成長ホルモンで代謝を促進する」「記憶の定着と整理を進める」といった、多くの重要な役割があります。従って睡眠不足が何日も続くと次第に「睡眠負債」が蓄積され、心身のパフォーマンスが落ちてしまいます。
質の良い睡眠(休養)で心も身体も健康になる方法
質の良い睡眠とは6時間以上の快適な睡眠時間が確保されていて、寝付きが良い、途中で目が覚めない等、眠りの質も重要です。
快眠のためには、メラトニンとセロトニンというホルモンが重要です。メラトニンは「睡眠ホルモン」、セロトニンは「幸福ホルモン」と呼ばれています。
メラトニンは暗くなり始めると分泌量が増え、体の深部体温を下げ、自然な眠りへと導き、セロトニンは朝日を浴びると分泌が始まり、活力をもたらします。
メラトニンを増やすカギは、必須アミノ酸のトリプトファンです。トリプトファンは主に、肉・魚・大豆・乳製品などの食品のタンパク質に含まれていて、体内に入って脳に運ばれた後、セロトニンに変化します。そして夜になるとセロトニンは「睡眠ホルモン」であるメラトニンに変わり、眠りをサポートするのです。
そのため快眠をゲットするには、トリプトファンをしっかりと摂取することが重要です。さらにトリプトファンからセロトニンを合成するときには、ビタミンB6(レバー、魚、玄米等)や、鉄(レバー、貝類、ほうれん草等)が必要で、セロトニンの合成が効率的にできます。
質の高い睡眠のための準備をして、心も身体も益々健康になれるよう生活習慣や食習慣を見直してみましょう。
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予防医学マイスター 坂田武士
薬剤師。予防医学士。スポーツファーマシスト。「サムライフ」「日本予防医学マイスター協会」代表。昭和大学薬学部薬学科を卒業後、薬剤師免許を取得。
大手製薬会社勤務や、特別養護老人ホームの施設長などを経て、予防医学やエイジングケアの重要性を感じ、2006年に独立。2009年に「サムライフ」を設立し、薬をすすめない薬剤師として、これまでに1万人以上のオーダーメイドカウンセリングを行う。
著書に『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本』(学研プラス)がある。