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「左遷」の読み方や意味とは?
おそらく働く人であれば、誰でも一度は耳にしたことがある「左遷」という言葉。あまりいいイメージはありませんよね。実際は、どのような意味を持っているのでしょうか。今回は「左遷」について、ひとつずつ確認していきましょう。
読み方と意味
「左遷」は「させん」と読みます。一般的に、高い地位から低い地位に落とされることや、中央から地方に移すことを意味します。
具体的には、部長から課長、課長から係長など、高い役職から低い役職に変わることを示します。また、状況や心境にもよりますが、本社勤務から地方勤務に変わることや、花形部署から仕事が少ない地味な部署に変わることも「左遷」に当てはまるでしょう。
由来
昔、中国では「右を尊び、左を卑しむ」という習慣がありました。そのため、それまでより低い官職や地位に落とすことを「左」の文字を使い「左遷」と表現したのがはじまりと言われています。
異動にまつわる言葉の意味の違いとは?
多くの企業で、春は人事異動の季節。「左遷」「栄転」「出向」など様々な用語が飛び交いますが、それぞれどのように違うのでしょう。なんとなくイメージはあると思いますが、この機会に言葉の意味を正確に確認してみましょう。
栄転
今までよりも、高い地位や役職に就くことを表します。「栄転」は「左遷」の対義語といえますね。また、転任することの尊敬語として使われることもあります。
出向
出向は「しゅっこう」と読みます。元の企業に籍を置いたまま別の企業で勤務する「在籍出向」と、元の企業から別の企業に籍を移して勤務する「移籍出向」の二種類があります。移籍出向は別名「転籍」や「転属」ともいいます。
一方で、同一企業内における就業場所や職務の変更は、出向と言わず「配置転換」と言います。
異動
職場での地位、職務などが変わることを表します。地位や職務がどのように変化したかは関係なく、「左遷」「栄転」「出向」などすべての人の動きが「異動」に含まれます。さらに、ビジネスに限らず、広く物事に前の状態と違った動きが出ることを表すことも。
また、保険契約において、保険期間の途中で契約内容に変更が生じ、保険会社に通知して契約条件を変更するときや、現行のものと違う内容の保険契約に移るときも「異動」といいます。
「左遷」される人の特徴
「左遷」される人は「仕事ができない」というイメージがあるかもしれませんが、決してそうではありません。「左遷」には企業から何らかの意図や期待が込められているものです。それをきちんと理解し、適切に対応しましょう。
様々な職種での経験
これまでと全く別の部署に異動になった場合、企業には「豊富な経験、知識、人脈を持った人材を育てたい」という意図がある可能性があります。様々な職種で経験を積んでほしいという期待を込め、あえて短期間で複数の部署を経験させる企業もあります。
様々な部署を経験すれば、企業を多角的に観察することができるようになります。その視点は、のちに管理職として活躍するために必要なスキルとなるでしょう。
人手不足の部署での即戦力
これまでよりも規模の小さい部署に異動になった場合は、その部署が急な退職や休職で人手不足に陥っている可能性もあります。その場合、求めているのは即戦力。そのような緊急事態にも対応できる優秀な人材として、異動が決まることもあります。
人事異動は、各部署の様々な事情を考慮して決定されるものです。部署の規模だけで優劣を決めるのではなく、その時の状況によって、自分が「新しい部署から即戦力として求められた人材」であるという認識を持ちましょう。
業績不振な部署の立て直し
花形部署で活躍していた人が、業績不振の部署に異動になった場合、新しい部署を立て直してほしいという意図が込められている可能性があります。仕事のノウハウや、取り組む姿勢など、周りの従業員の新たな刺激となってほしいという期待が込められているはず。異動をポジティブに受け止め、積極的に行動する気持ちを持ち続けましょう。
より適した部署での活躍に期待
これまでの部署で思うように仕事ができず、異動が明らかに「左遷」であると感じても、落ち込んでばかりはいられません。人には必ず得手不得手があるもの。細かい確認作業は苦手でも、人の心を動かすコミュニケーション能力は高かったり、管理業務よりも現場作業が得意な人もいるでしょう。
企業は、適材適所を目的とし、個々の人材が最大のパフォーマンスを発揮できるような部署に配属したいと思っているはず。しかし、個人の能力は人それぞれ、なかなか適所が見つからない可能性もあります。
大切なことは、自分に合った部署を見つけ、自信を持って働くことではないでしょうか。異動を通して、自分の適所を見つける機会が得られたと前向きに捉えましょう。
小説『左遷された最強賢者、教師になって無敵のクラスを作り上げる』とは?
この興味深いタイトルの小説は、日本最大級のウェブ小説サイト『小説家になろう』で連載された人気作品です。2020年には『マンガUP!』にてコミック化されています。
ストーリー
魔物と人類が存在する世界で、主人公のキースは魔物を討伐する騎士団に所属していました。戦績優秀なキースは、史上最年少で賢者の称号を持つなど活躍していましたが、上司への反抗的な態度がきっかけで「左遷」されてしまいます。
「左遷」先は、騎士学校の教師。しかしキースはそこでも元騎士団員の経験を生かして、クラスの生徒たちを圧倒的な強さへと育て上げていきます。
人気の理由
主人公の、誰もが認める圧倒的な強さには、爽快さを感じます。キースの合理的な性格や、生徒の真面目な姿勢も好印象。細かく作り込まれた設定や、読みやすさ、コミック版では絵の美しさも読者を惹きつけています。
上司とトラブルになり「左遷」… という経験は現実の社会でも起こりうること。小説やマンガのようにはうまくいかないこともありますが、今の自分の仕事にやりがいを見出し、前向きに取り組む気持ちを持ち続けたいですね。
最後に
「左遷」にまつわる言葉の意味から、「左遷」された主人公を描く小説まで、解説しました。一見「左遷」だと感じる異動でも、企業の意図を知れば「自分への期待」であると気づくことも。固定観念にとらわれず、柔軟さを持ってポジティブに捉えていきたいですね。
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