不妊治療は迷いと決断の繰り返し【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、不妊治療に対する不安を感じた話をお届けしました。今回は、凍結相談の結果の話。
凍結するタイミングの難しさ。私たちが出した結論は…
全部大事。ひとつも無駄にできない。いろんな思いで受精卵の写真を見ながらK先生に質問を続けました。
私「胚盤胞へ培養がうまくいかない場合はまた採卵からやり直しになるんですか?」
医師「そうですね」
私「自然妊娠のときって、子宮に受精卵が到達するのはどのくらいの段階なんですか?」
医師「子宮内で胚盤胞に到達した後、着床するイメージです。胚の40%くらいは染色体異常があると言われていて、そういったものは胚盤胞まで育つことができないので、いい胚だけが残せるというメリットもあります。妊娠12週未満の初期に起こる流産の主な原因も“赤ちゃんの染色体異常”と言われているんですよ」
流産かぁ…。考えたくもない2文字が胸に突き刺さりました。私にとっては宝ものみたいな9個の受精卵。今後スムーズにいってもすでに35歳以上の初産になるという、“高齢出産”という事態が確定している私にとっては、そういうリスクもこれからどんどん上がっていくわけです。都合の悪い現実から逃げるわけにもいかない。
私「どうしよう…、選べない。どれがいいかなんて、わからないよ」
凍結しても、培養しても、着床しても、妊娠が継続できなかったりする可能性がある。永遠に答えが出ることのない問題に直面して途方に暮れそうになっていたとき、夫が言いました。
夫「全部、培養して胚盤胞を目指そうよ」
期待とリスクのバランスをとる難しさ
妊娠確率が高い胚盤胞で移植をしたほうが、妊娠への期待値が高められるというのが夫の意見でした。でも胚盤胞へ全てがうまく育ってくれるかなんてわからない。けれど、初期胚を移植したところで、それがうまくいくかもわからない。不妊治療は答えの出ない問いと決めねばならないことの連続なのです。
「そうはいってもさぁ、もし培養中に全滅したら…」と不安を口にする私でしたが、夫に「移植に専念するなら、少しでも妊娠確率が高い状態の卵にしたほうがいいと思う」と言われて、ハッとしました。そうだ、採卵する前に、移植に専念しようと決めていたんだ。
事前に夫婦で立てていた治療ビジョンが決断の助けになりました。じゃなかったら、私は永遠に結論を出せなかったかも。
胚盤胞は双子になる確率が高まるという研究結果も
これはあとから知った話なのですが、胚盤胞にしてから子宮へ戻す場合、胎盤を共有するタイプの双子(慎重な周産期管理が必要になる)が生まれる確率が自然妊娠よりも高まるという研究結果があるそうです。もしこれから凍結相談の予定がある方で気になる場合は、ここの部分も医師へよく確認してみることをおすすめします。
受精卵の凍結は、不妊治療に挑む夫婦それぞれに考えがあり、夫の立場、妻の立場によっても意見がまとまりにくい場面だと思いました。やってみないとわからないことだらけで、次から次へと決めなければならないことが立て続く体外受精。
何個採卵ができるかもわからない状態で、なかなかその先の凍結をどうするかなんていう話し合いをするのも難しかったのが実情でした。が、せめて、2人の向かう未来をなるべく具体的に話し合っておけるといいかもしれませんね。
次回は採卵3日目の夜、いきなりおなかが痛くなってしまったお話です。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。