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「させていただきます」の意味
「させていただきます」は、誰もがよく使う表現ですよね。「させていただきます」は、「相手から許可を得て自分が行動をし、恩恵を受ける」という意味があり、ビジネスシーンにおいて特によく使われる表現です。
ところが、実は使い方が難しく、間違えやすい言葉でもあります。「させていただきます」は誤用だと思っている方も少なくありません。実際のところ「させていただきます」は、間違った使い方なのでしょうか?
「させていただきます」は正しい敬語
「させていただきます」は、「させてもらう」の謙譲語です。謙譲語とは、自分がへりくだることで相手への敬意を高める言葉のことを指します。
つまり、「させていただきます」は、敬語として正しい使い方です。ところが、「させていただきます」は、間違った使われ方をすることが多いため「させていただきます」そのものが間違った敬語というイメージがついてしまいました。
「させていただきます」を使う際の注意点
どうして、「させていただきます」は間違った使い方をされやすいのでしょうか。「させていただきます」を使う際に気を付けなければならないポイントを紹介します。
1:「さ」が不要になる場合がある
「させていただきます」を使う際に、「さ」を入れると誤用になってしまう場合があります。正しくは「せていただきます」としなければならないところに、「さ」を入れてしまう言葉のことを「さ入れ言葉」と言うのです。
例えば、上司より先に退社をする際、「お先に帰らさせていただきます」と使ってしまうのは間違った使い方。正しくは「帰らせていただきます」になります。
見分け方として、「させていただきます」の前が「あ行」の時は「さ」を入れないことが多いです。すべてが当てはまるわけではないのですが、参考にしてください。
2:「させていただきます」はひらがな表記
時々、「参加させて頂きます」や「確認させて頂きます」のように「いただきます」を漢字にする方がいます。口頭で述べる際は問題ありませんが、この使い方は、間違った使い方なので注意しましょう。
「頂きます」には、「頂戴する」というニュアンスが含まれているため、自分の行動を表す「させていただきます」には使いません。フォーマルな場面において、漢字にすべきところをひらがなにすることはあまり好まれません。そのため、丁寧な表現を意識して「させて頂きます」としがちなケースが多く見られます。しかし、この使い方は誤りですので注意しましょう。
ちなみに、「頂きます」を使うケースとしては、相手から何かを貰った場合です。例えば「懇意にしている方からお菓子を頂きました」というように使います。
3:二重敬語に気を付ける
二重敬語とは、ひとつの文の中で、同じ種類の敬語(今回の場合は謙譲語)を重複させる誤った表現のこと。「させていただきます」が謙譲語なので、一文の中に他の謙譲語を用いることはできません。二重敬語は相手にくどい印象を与えてしまうため、注意しましょう。
例えば、「講演を拝聴させていただきます」という使い方は二重敬語になっているので間違った使い方です。
「拝聴」は「聞く」の謙譲語なので、「拝聴」か「させていただきます」のどちらか一方を使います。「拝聴します」もしくは、「聞かせていただきます」が正しい使い方です。
「させていただきます」の正しい使い方を紹介
「させていただきます」を使う際の注意点が分かったところで、続いては正しい使い方について、例文を用いながら解説します。
1:「本日の午後3時にお伺いさせていただきます」
「させていただきます」は、「相手の許可を得て自分が行動する」というニュアンスが含まれているため、相手とのやり取りの上で成り立っている時にしか使えません。
2:「こちらから来週中にご連絡させていただきます」
「ご連絡させていただきます」も、相手とのやり取りの上で成立するものです。「ご連絡させていただきます」のほかにも、「お電話させていただきます」などの言い換えができます。
3:「こちらの資料を送付させていただきます」
資料や書類を送る際に使える表現です。特に重要書類は、相手が受け取ることができたかを確認しなければなりません。お互いの了解を得るためにも、連絡はきちんと行う必要があります。
「させていただきます」と「いたします」はどう違う?
例えば、「ご連絡させていただきます」と「ご連絡いたします」にはどのような違いがあるか分かりますか?
「させていただきます」は、「させてもらう」の謙譲語であると述べましたが、「いたします」は「する」の謙譲語にあたります。つまり、「いたします」とは自分の意志で行動するという主体的なニュアンスが強いです。
したがって、ケースによって使い分ける必要があります。主に、相手の許可を得なければならない時と、行動によって自分が恩恵を受ける時は、「させていただきます」を使うようにしてください。
「させていただきます」の英語表現とは?
最後に、「させていただきます」の英語表現を紹介します。「させていただきます」とは、自分の行動の意志を示したり、「させてください」という許可を得たりするニュアンスがありますので、意志を表す「will」や、「させてください」と許しを得る「Allow me to do」という表現を使っていきましょう。
例えば、「I will be in touch with you」で、「ご連絡させていただきます」という意味になります。
他には、「Allow me to do」を使って「Allow me to guide」などと表現することが可能です。「Allow me to guide」は、「ご案内させていただきます」という意味になります。
最後に
「させていただきます」は、よく使う表現である分、正しく理解しなければなりません。
間違った使い方をしやすい言葉ではありますが、今回紹介した3つの注意点を押さえられれば、相手に丁寧な印象を与えることができます。敬語は誤った使い方をすると逆に失礼になってしまうので今回の記事をぜひ参考にしてくださいね。
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