デリケートゾーンの悩みも身体の常在菌が関係? 正しいケアをして膣内環境を整えて
菌ケア専門家であり、総合的な菌ケアサービスを展開するKINSの代表取締役 下川穣さんの著書「腸活にも、美肌にも、ダイエットにも! 菌ケアで美しくなる」から抜粋して、デリケートゾーンと膣の関係を紹介します。
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デリケートゾーンと菌の関係
人には相談しにくい、デリケートゾーンの悩み。だからといって不調を我慢したり、調子が悪いと感じながら今までのケアを続けたりしていると、将来の大きなトラブルに繋がるかもしれません。
実は、膣トラブルにも、膣に住む菌のバランスが大きく関わっています。生理中に特に痒みが強くなったり、ニオイが気になったりなんて経験はありませんか? その原因、生理中は、膣内細菌バランスが崩れているからなのです。
◆膣内細菌は“多様性がない”ことが重要!?
膣内細菌は、ほかの細菌に比べてかなり特殊な存在です。腸内の細菌は多様性というものが本当に大切で、細菌がいればいるほど、イレギュラーな事態にも対応できるようになります。
ただ、膣に限っては、このセオリーが当てはまらないのです。膣内細菌は、とにかく“多様性”がないこと”が重要。というのも、膣のなかに棲む細菌は「乳酸菌」がほとんどで、健康な膣内細菌は8割以上が乳酸菌で占められています。その乳酸菌もメインで存在するのは4種類のみ。膣内はこの4種類の乳酸菌がいるからこそ、悪さをする菌が繁殖しにくい酸性の状態に保たれているのです。
膣内に棲む乳酸菌は「おりもの」を通して膣内環境を正常に保っています。膣の粘膜の乾燥や病原体の侵入を防ぐという、おりものの役割を果たすことができるのは乳酸菌のおかげ。
膣内の菌バランスが崩れ、アルカリ性に傾くとトラブルのもとに。具体例として生理があげられます。
普段は8割以上に保たれている膣内の乳酸菌の割合が、生理中はガクンと下がります。膣内細菌のベースが整っていれば、たとえ整理で一時的に乳酸菌の割合が低下したとしても、生理が終わると自然と回復します。しかし、もともと乳酸菌の割合が下がっているところに生理など膣内細菌バランスの乱れにつながる要因が加わると、生理が終わったあとも乳酸菌のバランスが回復しづらくなり、膣内細菌に多様性が生まれ、カンジダ膣炎などさまざまなトラブルが発生しやすくなります。
◆膣の菌ケア
膣トラブルとしてあげられる、不快なニオイや痒みの解決策として有効なのが、乳酸菌やビフィズス菌を取り入れる「プロバイオティクス」です。これは、細菌性膣症の改善もサポートしてくれることがわかっています。膣と腸は実はからだの構造的にも非常に近く関係が深い臓器。発酵食品やサプリなどから乳酸菌を取り入れて腸内環境を整えることが大切です。
ある論文で、従来の細菌性膣症に対する抗生物質による治療とプロバイオティクスによる治療が比較されました。その結果、抗生物質とプロバイオティクスを一緒に摂取した場合よりも、プロバイオティクス単体の場合がもっとも細菌性膣症が改善するという驚くべきもの。
つまり将来的にはプロバイオティクス(乳酸菌)による細菌性膣症の治療は、新たな一手として期待できるということです。
◆膣ケアNG習慣
膣は、外界に触れている臓器でもあります。その為、忘れてはいけないのが外側からのケア。実は普段何気なくやっていることの中に、膣内の乳酸菌の割合を低下させてしまう、絶対にしてはいけない行為があります。
それは、石鹸を使ってゴシゴシ洗うこと。
健康な膣内は乳酸菌により酸性に保たれています。一方、石鹸はアルカリ性という性質を持っている為、石鹸で洗うと、乳酸菌が作りだした雑菌が繁殖しにくい酸性の環境を壊し、乳酸菌の棲みにくい環境へと作り変えてしまうのです。膣内環境のバランスが崩れると、膣カンジダや細菌性膣症も発生しやすくなります。デリケートゾーンは弱酸性の専用石鹸を使って優しくケアしましょう。
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教えてくれたのは… 菌ケア専門家 下川穣
1985年4月1日生まれ 福岡県北九州市小倉出身。
岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3ヶ月)を務める。3年のクリニック経営を中心に、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導を行っている。医療法人時代に、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌ケアによる根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。現在、代表取締役を務める。
Instagram:@yutaka411985/@yourkins_official