ビジネスシーンでよく耳にする「対策を講じる」というフレーズ。耳にすることはあっても、実際に使おうとしたときに、正しい意味で使えているかわからず、いささか困ったという経験はありませんか?
耳にしたことはあっても、意外と正しい意味を理解できていないことって多いですよね。今回は、そんな「対策を講じる」の意味や使い方、類語について確認していきましょう。
「対策を講じる」の意味は?
初めに、「対策を講じる」の意味について解説です。「対策を講じる」を正しく覚えていられているでしょうか?
「対策を講じる」の意味
「対策を講じる」の意味は、「ある問題を解決するために対応方法を考え出し、それを実行に移す」、「対策」には、「状況に対応するための手段や策」、「講じる」には、「書物や学問について講義をする」「手段、方法を考えて実行する」という意味があります。
この2つが組み合わさることで、「問題を解決、乗り越えるための手段を考えて実行に移す」という意味になりますよ。
「講じる」? それとも「講ずる」?
「対策を講じる」以外にも、「対策を講ずる」という表現を聞いたことがある方も多いかもしれません。どちらの表現が正しいのか、また、違いは何なのでしょうか?
実は、「講じる」と「講ずる」は辞書では同義とされています。そのため、「対策を講じる」でも、「対策を講ずる」のどちらも間違いではありません。
ただ、「講じる」と「講ずる」では、主に使われる場面が少々異なります。「対策を講じる」は話し言葉で、「対策を講ずる」は書き言葉で使われることが多いですよ。
「対策を講じる」の敬語表現
それでは、「対策を講ずる」ことを上司など目上の方に伝える場合、どのように表現する必要があるのでしょうか?
まず、「対策を講じる」の「対策」は名詞になるため、敬語では表現を変える必要がありません。そのため、敬語表現にする場合は、動詞の「講じる」を言い換えます。
上司に「対策を講じる」ことを相談する場合は、「対策を講じてもよろしいでしょうか」、提案する場合は、「対策を講じてみてはいかがでしょうか」です。
また、ほかにも「対策を講じること」と、「講じる」を名詞として使うことで、普段の敬語表現と合わせて使うことができますよ。
「対策を講じる」の使い方
ミーティングの中で使うことが多い「対策を講じる」。それでは、実際にどのように使えばいいのでしょうか? 例文と一緒に確認をしてみましょう。
「この公園内で怪我人が出る前に、対策を講じようと思う」
この「対策を講じる」は、「公園内で子供の不注意などがもとで怪我をすることがないよう、対策を考えて実行する」という意味で使われています。
この場合は、「遊具が老朽化していないか」「大怪我につながるような配置になっていないか」といった確認・点検が当てはまりますよ。
「妻の機嫌を損ねないよう、ゴミ出しをする対策を講じた」
「対策を講じる」は、日常でも使うことができます。この例の場合は、「妻の機嫌を損ねる」という事態を避けるための対策や手段として、「ゴミ出し」を自分で行ったということを表現するのに、「対策を講じる」が使われていますよ。
「昨年の失敗をもとに、対策を講じる」
ビジネスで「対策を講じる」を使う際、よく使われるのが、この「○○をもとに対策を講じる」です。過去の失敗を参考に対策を練り実施することで、現在より良い状態を生み出すために行われます。日常生活では、夜更かしなどの悪い習慣を改善する際などに使われますよ。
「対策を講じる」の類語・言い換え表現は?
「対策を講じる」は、ビジネスでも日常生活でも使うことのできる表現です。類語・言い換え表現にはどのようなものがあるでしょうか?
対策を立てる
「対策を立てる」と聞くと、「対策を考えるだけで実施はしない」というイメージが強い方も多いかもしれませんね。
実際に「対策を立てる」には、「問題解決のための対応を考えだす」という意味合いがあるものの、「対策を講じる」のように、「実施する」というニュアンスは含まれていません。「対策を立てる」を使う場合は、ニュアンスの違いに注意しましょう。
対策を打つ
「対策を打つ」は、「改善策を実行する」「措置をする」という意味があります。「対策を講じる」にも、「改善策を実行する」というニュアンスがあるため、改善策を考え実行する場合は、どちらの表現も使うことができますよ。
策を講じる
「策を講じる」は、「対策を講じる」とよく似た言葉ですが、実は意味に多少違いがあります。実は今まで同じ意味で使っていた方も少なくないのではないでしょうか?
「対策を講じる」が「問題を解決するために対応を考え、実行すること」なのに対し、「策を講じる」は、「方法を考えること、企てること」という意味があります。
つまり「対策を講じる」は「実行」、「策を講じる」は「計画」というように、使う場面に大きな違いがありますよ。
「対策を講じる」の英語表現
「対策を講じる」を英語表現で表したい場合、「take measures」や「take steps」で表現することができます。「take」は様々な意味を持っていますが、その中に「講じる」がありますよ。
そのため、「対策」「対処」という意味を持つ「measure」や、手段という意味を持つ「step」を組み合わせることで、「対策を講じる」と表現することができます。
最後に
ビジネスや日常生活でも耳にする「対策を講じる」ですが、正しい意味を知らなかった方も少なくないのではないでしょうか。
「対策を講じる」は堅い表現に見えがちですが、意外とフランクに使うことができる表現ですよ。言い換え表現も含めて、ぜひ、活用してみてくださいね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com