【目次】
・「不測の事態」の意味
・「不測の事態」を使うタイミング
・「不測の事態」の使い方を例文でチェック
・「不測の事態」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「不測の事態」への備え方
・「不測の事態」が起きた時の対処法
・最後に
「不測の事態」の意味
思いがけないアクシデントのことを「不測の事態」と言います。予期せぬ出来事が起こったとき、どのように対応すればいいのでしょうか。「備えあれば、憂いなし」。その対処法を知っておくと安心ですね。
「不測の事態」とはどういう事態のことでしょうか。言葉の意味と、使うタイミングを考えましょう。
◆不測の事態の意味
「不測の事態」とは、予測していなかった突然の出来事のことです。「不測」の「測」には「推し測る」という意味があります。それに打ち消しの「不」がついて、「推し測れない」、「予測できない」という意味になります。
また、この出来事はいいことではありません。悪い結果をもたらす出来事です。唐突に起こるネガティブな出来事が「不測の事態」。「不測の事態」は、話し言葉としても、書き言葉としてもよく登場する言葉です。「不足」としないよう、変換ミスには気をつけたいですね。
「不測の事態」を使うタイミング
◆アクシデントが起こったとき
思いがけない出来事が起こったとき、「不測の事態」という言葉を使うと、そのことによって動揺していることを表現することができます。
ただし、「不測の事態」という表現には少し改まった印象がありますね。「こんなことになるなんて、思っても見なかったー! 残念!」というような日常生活のなかのカジュアルなシーンで「不測の事態」という言葉を使うことはあまりありません。身近なところでは、ビジネスシーンにおいて使われることが多いと思われます。
◆事前に注意をうながすとき
「不測の事態」が起こってしまった場合のみならず、アクシデントに備えるという意味で「不測の事態」という言葉を使うことがあります。とはいえ、「不測の事態」が起こる可能性がゼロになることは考えにくく、注意喚起の意味で使われているという風に考えましょう。
「不測の事態」の使い方を例文でチェック
では、「不測の事態」の使い方をご説明します。「不測の事態」に続く言葉としては、「生じる」「起こる」などが多いですね。
1:不測の事態が起こり、全システムがダウンしています
突然のアクシデントによって、システムが正常稼働していないことを示しています。この文章から、システムダウンが突然のものだったこと、それによって混乱が生じていること、その原因究明等はまだできていないことなどが想像できます。
2:不測の事態が生じた際にも的確に対処できるよう、マニュアルを制作しておきましょう
想定外のことが起こっても大丈夫なように、マニュアルを整えておこう、という意味ですね。ビジネスシーンでは、このように、事前の備えとして「不測の事態」という言葉を用いることが多いようです。
3:不測の事態の発生により、社内がパニックに陥っている
思いがけない出来事によって、会社全体が混乱の渦に巻き込まれていることが想像できますね。「不測の事態」という言葉は、予想できたトラブルについて使うと、「わかってたよね」という印象を持たれることも。誰の目から見ても、予想できなかった事態に用いるようにしましょう。
「不測の事態」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
1:未曾有の出来事
前例のない出来事という意味で「未曾有の出来事」が、「不測の事態」の類語と言えます。同じような言葉として「青天の霹靂(へきれき)」「棚からぼた餅」という表現がありますが、いずれの言葉にも「事態が悪いほうへ進む」という意味合いがありません。「棚からぼた餅」に至っては、そのアクシデントによってラッキーが舞い込む、という逆の意味になりますので、類語とは言えませんね。
2:想定外の事態
「不測の事態」と似たような意味の、若干、カジュアルな言い方として「想定外」があります。「これは想定外だったなあ」などと同僚に言っても差し支えありません。ほかに「予期せぬ出来事」という表現もよく見られますね。
3:突拍子もない出来事
驚きや混乱を表す似たような言葉として「突拍子もない」が挙げられます。「突拍子もない出来事」という言い方は、上司など目上の人にはあまりしませんので注意が必要です。また、この表現も、発生した出来事が必ずしもネガティブなものだとは限りません。
「不測の事態」への備え方
さて、ビジネスシーンでは特に、出会いたくない「不測の事態」。その備え方について考えてみました。
◆できるだけ、多くの事態を想定する
「不測の事態」が発生する可能性を全くなしにすることはできません。けれど、その可能性をできるだけ低くしておく努力はできますね。
例えば、「納期遅延」というトラブルが発生するとしましょう。あなたの職場では、その原因についていくつの事態を想定していますか? 取引先の不備だけでなく、流通上でトラブルがあることも考えられます。できるだけたくさんの事態を想定し、それぞれについての対処法を考えておくことで、「不測の事態」を減らすことができるのです。
◆コンティンジェンシープランを制作する
「contingency」は、「不測の事態」という意味の英単語。コンティンジェンシープランというのは、その名の通り、「不測の事態」に合わせた計画のこと。「VIPが到着しない」「新製品がさっぱり売れない」など、会社にとって由々しき事態を想定し、そのときにとるべき対策を事前に用意しておくのです。対策もひとつではなく、複数用意しておくようにしましょう。
「不測の事態」が起きた時の対処法
それでも、「不測の事態」が起こったら、どうしますか? まず、とるべき行動としては「落ち着くこと」。「そんなことでは解決しないんじゃ…」と思われるかもしれませんが、混乱の中で焦ってもいいことはありません。
落ち着いて、その被害の範囲を確定し、関係する人たちと事態を共有しましょう。対策を打つのは、その後のことです。ビジネスシーンでも日常生活においても、予想外のことが起こったときには、まずは落ち着くことが大切です。
最後に
「備えあれば憂いなし」と言いますが、まさにその通り。トラブルやアクシデントを想像しておくだけでも、何もしないよりはずっといいでしょう。「不測の事態」は、「想定しておく」だけで、ずいぶんと減らすことができます。
最近では、ウイルス感染の問題がありますね。日頃の感染防止対策はもちろんですが、それでも感染することがあります。そうなったときに、会社ではどうするか、家ではどうするか、いろんなパターンで対策を考えておくと、いざというときに安心ですね。
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