【目次】
・「ご入用」の読み方や意味とは?
・「ご入用」の用例
・「ご入用」を使えない相手
・「ご入用」と「ご利用」「ご用命」の違い
・「ご入用」のその他の類語は?
・ご入用ですか? と聞かれた時の返答例
・「ご入用」の英語表現も知ろう
・最後に
「ご入用」の読み方や意味とは?
「領収書はご入用ですか?」と尋ねられたことがある人は多いでしょう。この「ご入用」という言葉、実は使う相手に注意したい言葉のひとつ。上手に使えば、あなたへの評価が少しは変わるかもしれません。
「ご入用」とは、「ごいりよう」「ごにゅうよう」と読みます。「ごいりよう」のほうが一般的なので、「ごいりよう」で覚えておいて差し支えありません。「ご入り用」と書かれることもありますが、この場合、読みは「ごいりよう」のみとなります。「入用」の意味は、主に「用事のために必要なこと」「必要な費用」の2つ。それに、尊敬を表す「ご」がついた言葉が「ご入用」です。
時折、「要用」「ご要り用」と書かれているのを見かけますが、これはNG! 「用事のために必要なこと」という意味から、漢字を間違ったものかと思われます。また、「御入用」という表記もあります。この場合、「ごいりよう」とも読めますし、「おいりよう」とも読めます。いずれも間違いではありませんが、やはりいちばん一般的なのは「ご入用」と書いて「ごいりよう」と読むこと。これで覚えておくことをおすすめします。
「ご入用」の用例
では、実際の使い方をご説明します。ビジネスシーンでたいへん役に立つ表現ですので、覚えておくといいですよ。
1:ご入用なものはございますか?
簡単に言うと「何か、必要なものはある?」という意味ですが、目上の人にそのまま尋ねるのは不躾です。そんなときに「何か、ご入用なものは」と尋ねれば、尊敬の意を添えながら尋ねることができます。メールでも「何かご入用なことがございましたら、いつでもお申し付けください」などと添えると、印象がいいかもしれませんね。
2:もし、ご入用でしたら、私が…
たとえば、一緒に出かけた上司に持ち合わせのお金がなかったとき、「お金が入りますか?」と聞くのはスマートではありませんね。「ご入用」には「必要な費用」、つまりお金の意味がありますので、お金について遠回しに言うことができます。ビジネスシーンはもちろん、改まった場所で「お金」という言葉は印象があまりよくありません。「ご入用」を上手に使いましょう。
3:最近、何かと入用で…
「ご入用」の「ご」は、尊敬を表す接頭語ですので、とってしまえば自分にも使えます。自分に使う「入用」はもっぱら、お金の意味。何かと出費が多いことを言うときによく使う言い回しです。
「ご入用」を使えない相手
「ご入用」は、尊敬を表す接頭語のついた言葉ですから、使う相手が限られます。ポイントは、目上の人に対して使うこと。これは、「ご」が付くことからもわかると思います。後輩に向かって「何かご入用?」と聞くのはおかしいですし、立場が対等な友人に「ご入用なことがあったら言ってね」とも言いません。
「ご入用」と「ご利用」「ご用命」の違い
使う相手とともに、もうひとつ気をつけたいことがあります。それは「ご利用」、「ご用命」との違いです。
まず、「ご利用」ですが、これは音が似ていることから来た誤用かと思われます。「利用」は利益になるように物を使うこと、あるいは役に立つように用いることという意味で、そこに「ご」をつけたのが「ご利用」です。「このサービスをご利用ください」は、「このサービスを使えば利益がある」ことを示しており、「このサービスはご入用ですか」とは言いません。
次に「用命」は、命令すること、言いつけることです。それに「ご」が付くので、「注文してください」と相手に頼むときに「ご用命ください」といいます。「入用」は、必要とする物や費用を指しますので、その違いには注意が必要です。ただし、この2つは併用可。「ご入用なことがございましたら、いつでもご用命ください」といったフレーズは、商談や営業の場でよく聞かれますね。
「ご入用」のその他の類語は?
「ご入用」は、ビジネスシーンで便利な言葉ですね。さらに、言い換えも知っておくと、ボキャブラリーが豊富になります。
1:ご要望
「期待すること」「望むこと」という意味ですね。「何か、ご要望はありますか」という表現は、上司など目上の人に使っても問題ありません。
2:ご必要
こちらもよく使われる言葉です。「ご必要に応じて、対処するようにいたします」などという表現はよく聞かれるのではないでしょうか。「必要」、つまりなくてはならないものという言葉に、尊敬を表す接頭語「ご」がついた言葉です。
3:ご所望
「ご入用」は、必要なものを指すと説明しましたが、「ご所望」は相手の望みを指します。「ご所望のものがございましたら、おっしゃってください」、「社長が○○をご所望です」などというように使いますね。ちなみに、「要望」「必要」は「ご」をとって、自分のこととして使うことができますが、「所望」は常に「ご」をつけて、目上の人に使う言葉です。
ご入用ですか? と聞かれた時の返答例
ここまでは、「ご入用ですか」と尋ねる側の解説をしました。では、逆に尋ねられたときはどう答えるのがいいのでしょうか。
1:イエスの場合・はい、お願いします。
「領収書はご入用ですか」と尋ねられたら、どう答えますか。答える側は、難しく考える必要はありません。「はい、お願いします」でOKです。
2:ノーの場合・いいえ、結構です
逆に断る場合はどうしましょう。こちらも「結構です」で十分です。ただし、ひと言でバッサリ断ってしまうのはキツい印象を与えることも。そんな時は「結構です、ありがとうございます」と添えるだけで、印象がやさしくなりますね。
3:何かを尋ねられたとき・では、○○をお願いします
「ご入用のものはございませんか」と尋ねられて、何かをお願いしたいときは、それを伝えましょう。「では、傘を1本お借りできますか」などと言えば十分です。
「ご入用」の英語表現も知ろう
英語表現も押さえておきましょう。「Can I help you?」や「May I help you?」も、「何かできることはありませんか」という意味ですから、「ご入用のものはございませんか」と同じシチュエーションで使えます。
また、よく使われるフレーズとして「When do you need it by?」が挙げられます。これは、「いつまでにご入用ですか?」という意味。ビジネスシーンでは頻繁に使われます。
最後に
いかがでしたか? 「ご入用」はビジネスシーンでよく使われる言葉のひとつ。日本語はもちろん、英語でも使えるようになっておくと、交渉や営業の場で、「気の利いた人だな」と思われるに違いありません。
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